話題の「PFCダイエット」を知ってますか?管理栄養士が解説

2023年6月23日(金)19時30分 ココカラネクスト

 ダイエットといえば、糖質制限などが主流になっていますが、特定の栄養素を極端に減らすようなダイエットはリバウンドしやすく、健康を損なうおそれもあります。健康的でキレイに痩せるためのカギとなるのは、たんぱく質・脂質・炭水化物のバランスです。今回は「PFCバランス」を活用したダイエットをご紹介します。

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1.PFCバランスダイエットとは?

「PFC」とは、三大栄養素であるたんぱく質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(Carbohydrate)の頭文字を取ったものです。からだにとってエネルギー源となるのは、この3つの栄養素だけ。そして、摂取エネルギー全体における三大栄養素の摂取比率を「PFCバランス」と呼びます。

厚生労働省では「エネルギー産生栄養素バランス」という名称で、生活習慣病の予防・改善を目的とした場合の望ましい摂取比率を定めています。

・たんぱく質 13〜20%
・脂質    20〜30%
・炭水化物  50〜65%(※1)

この考え方は、疾病の予防だけでなく健康的なダイエットにも共通します。

意識せずに食べていると、たんぱく質が不足したり、炭水化物を摂りすぎたりして、栄養素のバランスは崩れがちです。

また、糖質制限などで特定の栄養素を極端に減らすと、必要なエネルギー量が不足してしまいます。すると、からだは代謝を下げてエネルギー消費量を減らそうとするため、かえって太りやすくなったり、リバウンドしやすくなったりするのです。

PFCバランスを意識したダイエットでは、からだにとって必要なエネルギーを過不足なく摂りやすくなるため、健康を維持した状態でダイエットに取り組むことができます。

また、しっかり食べるダイエットなのでストレスが少なく、継続しやすいという点も魅力のひとつです。ゆっくりとしたペースで無理なく減量することで、リバウンドしにくくなりますよ。

2.PFCバランスダイエットの基本

ここで、PFCバランスの計算と、ダイエットへの活用の仕方をご紹介します。

2‐1.自分のPFCバランスを計算する

(1) 1日に必要な摂取エネルギーを計算する

自分にとって適切なPFCバランスを計算するには、まずは1日に必要とする摂取エネルギーを知る必要があります。この値は体格や年齢によって異なりますので、自分の必要量を計算してみましょう。

■1日に必要な摂取エネルギー(kcal)=基礎代謝量(kcal)×身体活動レベル

基礎代謝量を推定する数式はいくつかありますが、ここでは誤差が少ないとされている、国立健康・栄養研究所(※2)が作成した式をご紹介します。

【基礎代謝量の推定式】
男性/(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)−0.0138×年齢(歳)−0.4235)×1,000/4.186
女性/(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)−0.0138×年齢(歳)−0.9708)×1,000/4.186
(『日本人の食事摂取基準(2020年版)』より作成)

身体活動レベルは、生活の仕方によって三段階に分かれています。

低い(I)/ 1.50/ 生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合
ふつう(II)/ 1.75/ 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む場合
高い(III)/ 2.00/ 移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合
(『日本人の食事摂取基準(2020年版)』より作成)

たとえば、40歳の女性、身長158cm、体重56kg、事務的な仕事(身体活動レベルⅡ)の場合、基礎代謝量は1163kcal、1日に必要な摂取エネルギーは2035kcalとなります。

(2) 各栄養素のバランスを計算する

先ほど計算した1日に必要なエネルギー量をもとに、PFCバランスを計算します。

それぞれの栄養素1g当たりのカロリーは、P(たんぱく質)が4kcal、F(脂質)が9kcal、C(炭水化物)が4kcalです。

ここでは、厚生労働省の示す「エネルギー産生栄養素バランス」(※1)をもとに計算してみます。

たんぱく質:13〜20%
2035kcal×13〜20%=265〜407kcal
265〜407kcal÷4kcal=66.3〜101.8g

脂質:20〜30%
2035kcal×20〜30%=407〜611kcal
407〜611kcal÷9kcal=45.2〜67.9g

炭水化物:50〜65%
2035kcal×50〜65%=1018〜1323kcal
1018〜1323kcal÷4=254.5〜330.8g

計算結果をもとに合計で100%になるように調整して、それぞれの栄養素の摂取量を決めます。

2‐2.目標や減量ペースを考える

どの栄養素をどのくらい摂ればいいのかを数値化できるのが、PFCダイエットの便利なところです。

たとえば、ダイエット中ならたんぱく質をしっかり摂りたいので、たんぱく質を最大値の20%、脂質を最小値の20%とし、残りの炭水化物を60%にするとバランスがよくなります。

もし、現在よりも体重を落としたいなら、この比率をキープしながら摂取エネルギーを減らしましょう。しかし、急激な減量は健康を損ないやすく、リバウンドもしやすくなるのでおすすめできません。現在の体重の5%程度を、1か月1〜2kgのペースで落としていくと負担が少なく安全です。

脂肪1kgを減らすためには、7,200kcalほどの消費エネルギーが必要とされています。つまり、1か月で1kg落とすなら摂取エネルギーを1日当たり240kcal減らす、というのが目安となります。

2‐3.たんぱく質多め、脂質少なめを意識する

ダイエット中にたんぱく質多めの比率にするのは、筋肉量を維持するためです。たんぱく質は筋肉の材料となります。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、痩せやすいからだ作りに役立ちます。できれば毎食取り入れてみましょう。

脂質は三大栄養素のなかでもっともカロリーが高く、摂りすぎれば生活習慣病の原因となります。しかし、細胞膜やホルモンの材料となる栄養素なので、制限しすぎるとからだの不調を招くことがあります。調理に使う植物油やバターなどを減らし、良質の脂肪酸が含まれる魚やオリーブオイルなどを適量摂るのがおすすめです。

コンビニで食事を購入するときは、ぜひ成分表示を確認してみてください。習慣にすることで、自分で作る食事でも徐々にバランスが掴めてきますよ。

3.ダイエットには漢方もおすすめ

食事を意識して整えるだけでは効果が出にくいという場合は、根本的な体質改善を目指すために漢方薬を活用するのもひとつの方法です。

ダイエットに対しては、「脂肪の吸収を抑える」「脂肪を燃焼する」「脂肪を便と一緒に排出する」などの作用を持つ漢方薬のなかから選びます。

体内にため込んだ老廃物を排出したり、血流の改善をしたりすることで代謝を上げて、太りにくく痩せやすい体質を目指せます。さらに、自律神経も整い、ストレスに負けないからだも目指せるでしょう。漢方薬は副作用も少ないといわれているので、安心して服用できますよ。

<ダイエットをしたい方におすすめの漢方薬2種>

・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
からだの余分な熱を取り除き、血流や水分代謝を促す働きがあります。便や汗などで不要物を体外へ排出し、からだを軽くします。また、脂質代謝を促すので、ため込んでいる脂肪を減らすのに役立ちます。

・大柴胡湯(だいさいことう)
気のめぐりをよくし、食欲や気持ちを整えてくれるので、イライラによる過食、脇腹が張る便秘を解消するのに役立ちます。

漢方薬を使うときは、自分の状態や体質に合う生薬を選んでいるかどうか、という点が重要です。合っていないと効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が起こることもあります。

インターネット相談窓口を設けている「あんしん漢方」のようなサービスを利用して、薬効や副作用、漢方薬との相性、日常生活の養生法などを相談してみましょう。

●あんしん漢方

4.PFCバランスを整えて、きちんと食べてキレイになろう

たんぱく質、脂質、炭水化物をどれくらい食べたらいいかわかると、健康を保ちながらダイエットに取り組めます。はじめは、コンビニなどで成分表示を確認してみるとイメージしやすくなりますよ。

根本的な体質改善を目指したい方は、漢方薬の助けを借りるのもひとつの方法です。信頼できる専門家に、一度相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献:
(※1)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
(※2)健康・栄養フォーラム「国立健康・栄養研究所の式を用いた基礎代謝量の推定」

[文:あんしん漢方]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。


管理栄養士 池田明日香

大学卒業後、管理栄養士として治験コーディネーター業務に携わる。その後、食品メーカーにて料理教室運営や商品・メニュー開発などに従事する。食事を楽しむことと健康的な食生活の大切さを感じ、現在は食と健康関連のコラム執筆、オンラインでのダイエットサポートなどで活動中。漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。

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