「はだしのゲン」使った「ゲンコラ」流行、出版社「転載お断り」と警告…法的問題は?

6月26日(火)7時51分 弁護士ドットコム

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漫画『はだしのゲン』の版元である汐文社(ちょうぶんしゃ)が6月上旬、「弊社書籍内のイラストやマンガの転載は基本的にお断りしている」という見解を公式ホームページで発表した。同作品の一場面を使ったコラージュ(コラ画像)がツイッター上で広まっていることを受けてのものとみられる。


『はだしのゲン』は、作者である故・中沢啓治さんが、自身の被爆体験をもとに、当時の惨状や戦後もつづく被爆者の苦しみを描いた自伝的な作品だ。そのワンシーンを使ったコラ画像が「#ゲンコラ」というハッシュタグがついて、ツイッター上で人気になっている。


コラ画像のほとんどは、一部の吹き出しを変えて、おすすめしたい事があるけれど、うまくいかない様子を表現している。一方、汐文社は「作品の著作権者が不利益を被るような内容であると弊社が判断した場合には、著作権者にお知らせしている」としている。


漫画や写真を使ったコラ画像はインターネットの文化ともいえなくはないが、法的にはどんな問題があるのだろうか。著作権法にくわしい杉浦健二弁護士に聞いた。


●著作権者が「黙認したこと」で醸成されてきた文化

「漫画のワンシーンを切り取って、無断でツイッターなどに投稿する行為は、著作権者の複製権(著作権法21条)や公衆送信権(送信可能化権・同23条1項)を侵害するものです。


さらに、ワンシーンを切り取るだけでなく、吹き出しの内容を変更して投稿すれば、著作権者の翻案権(同27条)や、漫画家が有する同一性保持権(同20条)を侵害する可能性が高くなります」


ということは、「コラ画像=違法」ということになるのだろうか。


「ただし、現在の著作権法では、著作権侵害があったとしても、権利者自身が削除や損害賠償を請求したり、告訴したりしなければ、少なくとも法的な問題になることはありません。


これまでネットを中心に、多くのパロディ作品が作られてきましたが、著作権者がこれらのパロディを黙認してきたことによって、醸成されてきた文化であるといえます。


逆にいえば、作品の著作権者が削除請求をおこなえば、パロディ作品の投稿者は削除に応じなければならないケースが大半です」


●「今後の投稿は控えるべき」

今回、出版社は「作品の著作権者が不利益を被るような内容であると弊社が判断した場合には、著作権者にお知らせしている」とサイト上で明記した。


「これは、出版社が、自社出版物の著作権侵害を発見した場合は、著作権者に知らせるという姿勢を明確にしたものといえます。


出版社から知らされた漫画家などの著作権者は、削除請求や損害賠償請求をおこなうかどうかを検討することになるでしょう。


『ゲンコラ』は、そのほぼすべてが著作権侵害にあたるものです。今回出版社が明示した姿勢を考慮すると、今後の投稿は控えるべきといえます。


そのほかのパロディ作品も、その多くは著作権を侵害するものであり、あくまで著作権者が黙認してくれているがゆえに成り立つものだと、理解しておくことが重要といえます」


(弁護士ドットコムニュース)


【取材協力弁護士】
杉浦 健二(すぎうら・けんじ)弁護士
第一東京弁護士会所属。コンテンツビジネス、IT系企業からの相談・依頼案件が多い。事務所サイトでは著作権、IT、AIに関する記事を多数掲載。
事務所名:STORIA法律事務所東京オフィス
事務所URL:https://storialaw.jp/

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