沖永良部島 和泊町役場が仕掛ける域内観光×経済支援プロジェクト

6月26日(金)11時30分 ソトコト

沖永良部島の和泊町役場が仕掛ける島泊キャンペーンロゴ

地元にどんな宿泊施設がありますか?と聞かれたら、名前と場所を答えることはできますよね。では、そこのサービスや魅力を体感し、自分の言葉で伝えることはできますか?鹿児島県の離島 沖永良部島。人口6,384名(令和2年4月1日時点)の和泊町では、町民を対象とした町内宿泊事業「島泊(しまはく)キャンペーン」を5月22日(金)から始めました。リリースの翌日には30件もの予約が入り、対象宿泊施設も続々と増加するなど、早くも多くの注目を集めています。キャンペーン仕掛け人の一人である和泊町役場企画課の吉成大さんにお話を伺いました。

Cover image by 和泊町役場

いつも気になっていたあの地元ホテルを7割引で!和泊町民限定「島泊キャンペーン」

島泊(しまはく)キャンペーンとは、鹿児島県沖永良部島の和泊町役場がはじめた和泊町民限定の宿泊キャンペーンです。

自然が豊富で観光客向けの宿泊施設やアクティビティプログラムなどを展開する事業者が多い沖永良部島は、今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響で深刻な打撃を受けています。

本来なら島を訪れる観光客で賑わうこれからのレジャーシーズン。
しかし、医療体制にも限りがあるため現在は来島自粛を呼びかけており、これまで通りの観光客向けアプローチはできそうにありません…

「この状況をどうにか打開できないか?」

和泊町役場と町内の宿泊事業者とが一丸となって生み出した施策、それが”和泊町民が地元ホテルなどの宿泊施設に泊まる”島泊キャンペーンなのです。

島泊キャンペーン広告ロゴ
デザイナーでもある地域おこし協力隊の並木建吾さんは、協力隊としての活動のほかに「並木図案」として島内外のデザインの仕事も請け負っている。

和泊町民は、「知ってはいるけど泊まったことは無い」いわばいつも気になっていた地元宿泊施設に最大7割引きで泊まることができます。(キャンペーン対象施設のみ、1人7千円が上限)
割引部分の費用は政府の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して町が負担します。

町民にとっては家族の思い出づくりや日頃のリフレッシュに地元でも有名な観光ホテルなどを活用することができ、宿泊施設側にとっても売上だけでなく、地元住民からの口コミ強化や関係性づくりに繋がるという、win-winのモデルなのです。

リリース翌日には早速30件もの予約が入り、提携宿泊施設も続々と増えている島泊キャンペーン。
その人気の裏にはたくさんの試行錯誤と工夫がありました。

4月1日の衝撃。そこから和泊町役場企画課の試行錯誤が始まった。

毎年3月に大きなジョギング大会を企画している沖永良部島。島外からもたくさんの参加者が集まる島の一大イベントなのですが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を考慮して中止の判断となりました。

沖永良部島は鹿児島県本土から約552km、沖縄本島からも約60km離れた離島。
医療体制が限られているため、もしも島内で感染症が流行してしまうと取り返しがつかなくなります。

いつになったら終息するのか、今年のレジャーシーズンはどうなるのだろうか…そんな不安が漂いはじめた4月1日、島内に衝撃が走りました。

沖永良部島で新型コロナウイルス感染者1名、確認。
一気に島内の緊張感が高まった瞬間でした。

「これは長期戦になる。島の未来を見据えて行動を起こさなければ」

商工観光支援に携わる和泊町役場企画課を中心に、様々な課の職員とも一緒に膝を突き合わせながら考え、一つ一つ計画を練っていきました。

町の方々が楽しめて、観光事業者への支援にもなるものをつくりたい

撮影風景
キャンペーン対象施設のプロモーション動画も撮影。完成した動画は町内の有線テレビで放映している。写真右側に写っている方が今回お話を伺った企画課の吉成さん。

今回の新型コロナウイルスの流行を受けて、政府から全国の市町村へ交付された新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金。
島泊キャンペーンはこの交付金を活用して運営されています。

島外から島内への訪問自粛が呼びかけられているのと同時に、島内から島外への移動も制限されている現在。

「地元住民の方々も楽しめて、それが町の観光事業者への支援にもなるものをつくれないだろうか?」

沖永良部島の自然の美しさ・美味しい食べ物・心地の良いリラックス空間…
そういった町の魅力を地元住民が満喫できて、知り合いに知らせたい!連れていきたい!と思うような機会を今回の交付金を活用して作ろう!

そんな想いからこのキャンペーンが生まれました。

地元の宿泊施設に泊まって、美味しい地元の料理を食べる。

沖永良部の海
沖永良部の綺麗な海。写っているホテルはキャンペーン対象宿泊施設のひとつ。

和泊町では早速、多くの住民の方々が島泊キャンペーンを使って地元の宿泊施設を訪れています。

小さな子ども連れのご家族が「日々のリフレッシュに」と団欒のひとときを過ごしたり、友人同士で近くの飲食店やカラオケを思いっきり楽しんだ後の宿泊も。

観光客のような気分で地元の宿泊施設に泊まってみるという体験は、日常の中では気づけない地域の魅力を地元住民が再発見するきっかけにもなっています。

キャンペーンを通じて生まれる新たな関係性

料理
周辺飲食店と連携した食事メニューも。町民が宿泊することで宿泊施設だけでなく周辺地域にも経済の流れが起こる。

今回のキャンペーンを通じて、宿泊施設と周辺飲食店との間には新たな関係性も育ちつつあります。

これまでにはなかった食事メニューの開発や、お客様の声を共有する連携体制など、地域で協力しながらサービスを向上させる取り組みが行われているのです。

地域の事業者同士の連携体制や経験値は、このキャンペーンが終わった後も活き続ける地域経済の原動力となります。

このように、島泊キャンペーンは単発の経済支援だけでは成し得なかった地域ビジネスの成長をも後押ししているのです。

島泊キャンペーン これからの展望

沖永良部の星空
沖永良部島の満点の星空。地元住民にとっては日常の風景が、この島の大きな魅力でもある。

5月22日(金)から始まった島泊キャンペーン。実施期間は8月31日(月)までとなっています。(ただし事業費がなくなり次第終了)

既に多くの波及効果を生み出していますが、今後はケイビングなど自然アクティビティプログラムとの連携強化も意識していきたいとのこと。

周辺の町や離島とも連携しながら、島泊キャンペーンの取り組みの輪が地域振興の新たなモデルとして広がっていく未来も近いかもしれません。

「島泊キャンペーン」公式WEB

白水 梨恵

ソトコト

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