タイタニック号潜水艇の事故は100年以上前に予言されていた!? 小説『タイタン号の遭難』とは?

2023年6月26日(月)14時0分 tocana


 6月18日、有名な豪華客船タイタニック号の残骸が眠る海底へ向かうツアー用潜水艇「タイタン号」がカナダ南東部沖で母船と連絡が途絶えるという事故が発生した。タイタン号はオーシャンゲート社が運用する潜水艇で全長約6.4メートル。


 20日と21日にはカナダの哨戒機が海中から30分間隔で鳴る打撃音のような音を感知したと発表していたが、実際には潜水艇の母船が出港してから数時間後に米海軍の音響探査システムが潜水艇の圧壊音を検出していた。また周辺海域で残骸が散乱している状態だったため、潜水艇が消息を経ってまもなく水圧で圧壊ないしは爆発したものと思われている。定期的に確認されていた音も当初は「潜水艇の中からの音ではないか」とされていたが、現在は潜水艇の破片によるものだったのではないかとする見方が強いようだ。そのため、搭乗していた5人の生存はほぼ絶望的とみられており、今後は破片を回収しながら事故の発生した原因について調査が行われていく予定だという。


 さて、今回の潜水艇タイタン号の事故で注目を集めている一冊の書物がある。それが「タイタン号の遭難」という小説だ。この小説は1898年にアメリカの小説家モーガン・ロバートソンによって執筆されたもので、大型客船のタイタン号が大西洋を航海中に氷山にぶつかり、沈没してしまうという内容だ。この小説で描写されたタイタン号の大きさや性能、乗客数に航路、遭難した時間や原因に至まで、後に世界最悪の海難事故に数えられることとなるタイタニック号沈没事件と酷似していたのだ。タイタニック号沈没事件は1912年4月15日と、小説が出版された14年後。そのため、10年以上前に出版されていた小説が実際に起こる事故を予言していたとして話題になったのだ。


 だが、この話には裏がある。この小説は1898年に出版された当初は「Futility(無駄、徒労などの意)」というタイトルであったのだが、事故が起きた後に「Futility: or The Wreck of the Titan(タイタン号の遭難)」と副題を添え、タイタニック号の沈没事故の報道を受けて細部を加筆修正してあたかも初めから事故を予言していたように現実と近づけたのだ。


 しかし、本の出版から1世紀以上の時が経ち、タイタニック号沈没事故の起こった場所で、まさか同じ「タイタン号」と名付けられた潜水艇が沈没事故を起こすとは、流石に著者も予想できなかったのではないだろうか。なお、タイタニック号も小説・潜水艇どちらのタイタン号も、ギリシャ神話に登場する巨神族のティターンにちなんでいるそうだ。


参考:「The Wall Street Journal」


【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】



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