未知との遭遇に期待度アップ。わずか11光年先でスーパーアースを発見(ドイツ研究)

6月30日(火)9時0分 カラパイア

スーパーアース
スーパーアースの発見/iStock

 宇宙望遠鏡など観測技術の発達により、太陽系外惑星の秘密は徐々に明らかになりつつある。数千もの星々を同時に捉え、その膨大なデータはソフトウェアによって効率的に分析される。その後厳選された有望な候補の確認は手作業で入念に行われる。
 こうした効率化のおかげで、最初に太陽系外惑星が発見されてからわずか28年で、4000個以上もの太陽系外惑星が発見されてきた。このまま順調に観測が進めば、地球外生命体的な意味での未知との遭遇を果たせる日も近いかもしれない。 
 
 『Science』(6月26日付)に掲載された研究によれば、これまででもっとも有望な候補がついに発見されたそうだ。地球から12番目に近い恒星「グリーゼ887」を公転するスーパーアースが発見されたという。地球からわずか11光年先にあり、2個のペアか、もしかしたら3個である可能性もあるという。
・グリーゼ887を公転するスーパーアースを発見
 スーパーアース(巨大地球型惑星)とは、地球の数倍程度の質量を持ち、かつ主成分が岩石や金属などの固体成分と推定された太陽系外惑星のことである。
 ドイツ、ゲッティンゲン大学のサンドラ・ジェファーズ氏らの共同プロジェクト「レッドドット(RedDots)」は、太陽から16光年以内にある星々を調査対象としている。そのほとんどは薄暗い赤色矮星で、プロジェクト名もこれに因んだものだ。
 通常、太陽系外惑星について軌道と大きさ以上のことを知るのは難しいが、20名を超える研究者が20年分ものデータを提供してくれた結果、赤色矮星「グリーゼ887」を公転するスーパーアースの存在を確認できた。
 太陽の半分ほどの大きさの低温の恒星、グリーゼ887で太陽系外惑星の痕跡が見つかったのは2017年のこと。
 この時点では惑星であると断定できなかったが、2018年の秋、チリのヨーロッパ南天天文台から3ヶ月毎晩、「HARPS」という恒星のふらつきを検出する分光器でグリーゼ887の観測を続けた。
 その結果、2つのスーパーアース「グリーゼ887b」と「グリーゼ887c」が、9.3日と21.8日の周期で公転していることが分かったという。
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image by:University of Gottingen

・第3の惑星が隠れている可能性も
 スーパーアース、グリーゼ887b、グリーゼ887cの質量はそれぞれ地球の4倍と7倍以上はある。
 どちらもグリーゼ887に近すぎるために、おそらくは地表に水はない。だが、もう1つ、第3の惑星が隠されている可能性があるという。
 こちらはどうも50日周期で恒星を公転しており、その軌道は温暖な領域に収まっていると考えられるそうだ。
 第3の惑星については、研究チームはさらに2ヶ月観測を延長して調べており、将来的にその存在の有無について結論が出されることだろう。
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iStock

・天文学的に近い11光年先にあるスーパーアースは絶好の観測対象
 現時点で確認されている2つのスーパーアースは、私たちが知る常識的な生命が暮らすには熱すぎるだろう。しかし、その距離は天文学的には近い、太陽からたった11光年であり、絶好の観測対象であるはずだ。
 グリーゼ887は赤色矮星にしては珍しいことに黒点がほとんどなく、フレアも滅多に吹き上がらない穏やかな星だ。激しいフレアで惑星の大気が剥ぎ取られてしまっている心配も少ない。
 ただし、地球から見て惑星が恒星の前を通過しているわけではないので、現世代の望遠鏡でそれを包む大気を観察しようとしても難しい。しかし次世代望遠鏡なら話は別だ。
 「来年には(ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が)打ち上げられるのだから、科学的な事例として理想的でしょう」と、ジェファーズ氏は期待を滲ませる。
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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 image by:public domain/wikimedia

・発見されたスーパーアースに大気は存在するのか?
 NASAエイムズ研究センターのトマス・グリーン氏は、「最初の疑問は、はたして大気があるかどうかです。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡ならそれに答える手助けをしてくれるでしょう」とコメントする。
 惑星は公転する最中に地球に対して昼と夜の面を向けるので、星系全体に微妙な温度の変化が生じる。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡ならこれを捉えられるはずだとのこと。大気がない裸の岩石惑星ならば、温度の変化は大きなものになるそうだ。
 だがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡といえども、個々の太陽系外惑星を見分け、それを取り巻くガスの種類を判別するのは難しい。そうした研究をするなら、「巨大マゼラン望遠鏡」や「30メートル望遠鏡」をはじめとする、地球上に設置される次世代望遠鏡の出番だ。
 グリーン氏によれば、こうした地上設置型の望遠鏡なら、惑星から届く光を集めて、水や酸素、あるいはメタンといった物質のサインを検出することも可能かもしれないという。

Super-Earths Discovered Orbiting a Red Dwarf Star 11 Light-Years Away
・地球外生命体の存在は?太陽系外惑星科学の未来
 異星を包む大気の解明は、太陽系外惑星科学の次のフロンティアだ。位置や大きさからではその世界について推測できることは限られているが、それを包む分子を明らかにできれば、いずれは太陽系外惑星の気候も予測できるようになるだろう。
 たとえばグリーゼ887の2つ目の惑星なら、大気さえあれば熱の分散が助けられるために、いくぶんは生命が暮らしやすい環境である可能性もあると、ジェファーズ氏は話す。
 グリーゼ887のスーパーアースは、生命発見という点では最有力候補とはいえない。それでも遠すぎて直接観測することができない他の太陽系外惑星の様子を知るヒントにはなる。
 次世代望遠鏡が登場するまでの間、レッドドット・プロジェクトのチームは、できるだけ多くの観測候補を探すことに専念するそうだ。
 すでにこのチームによって、4光年先のプロキシマ・ケンタウリや6光年先のバーナード星で太陽系外惑星が発見されている。ジェファーズ氏らは今日も1つ1つ地球の近くで隠れている太陽系外惑星を探している。
Multiple, quiet, and close by | Science
https://science.sciencemag.org/content/368/6498/1432

References:ndtv/ space/ written by hiroching / edited by parumo

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