50歳で結婚、DAIGO姉、漫画家・影木栄貴。一番つらかった、人生の分岐点が多すぎる30代前後。若い人には「年をとるにつれてどんどん楽になるよ!」と伝えたい

2024年7月5日(金)12時30分 婦人公論.jp


『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』(著:影木栄貴/KADOKAWA)より

国勢調査によると、日本人の生涯未婚率は2020年で男性約28%、女性で約18%。この「生涯未婚率」の基準とされているのが《50歳時の未婚率》です。そんな境界線の50歳で結婚を決めたのが、タレントDAIGOさんの姉で、内閣総理大臣の故竹下登氏の孫として知られる人気漫画家・影木栄貴さん。
結婚は本当に必要なのか?全力で日々頑張り楽しんでいる女性が一度ならず何度も考える疑問に、影木さんが出した答えとは。50歳にして結婚、おひとり様をやめるまでの道のりを赤裸々に書いた初エッセイ本『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』から、自分基準の大切さ、年を取ると楽になることを紹介します。

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《右へならえ》はもうやめよう


日本人って本当に「みんなと一緒」が好きですよね。「みんながしているから」「みんなが言っているから」「みんなが着ているから」といって行動する人が多く、自分の価値観で動いている人は本当に少ないなと感じます。同調圧力が強いって言うの?

私は中学のとき、休み時間に女子がみんなでトイレに行く理由がわかりませんでした。「本当にみんな、トイレに行きたいの?」「私は今トイレに行きたくないんだけどな」と思いながら彼女たちについて行きました。

みんながみんな、同じように制服を着崩しているのも理解できませんでした。むしろ「みんながやっているからやっている」という思考がかっこ悪いとさえ思っていました。

私は流行の服装を積極的に取り入れません。とにかく自分が好きなもの、自分に似合っているものを選びます。もちろんいいと思えば流行のものも買いますけど、あくまで自分の主観で考える。

たまに「ええっ!?」って驚くようなものが流行ったりするじゃないですか。え? ヤマンバギャルとか(こそっ)。そういうものに合わせている人を見ると、「それ、本当にいいと思ってやってるんか?」と聞きたくなってしまいます。

流行に乗ることは、経済を回すという点では意味があると思います。でも、業界の提出したトレンドに転がされているという見方もできますよね。本当に自分がいいと思ってやっているのか、まわりがみんなやってるからいいと思うのか。みなさんはどちらですか?

みんなが着ているから着る。みんなが持っているから買う。みんなが行くから行く—。まわりの目ばかり気にしていると疲れませんか? 時代や流れに関係なく、自分がいいと思うものを「自分基準=自分だけの美意識」で考えられると、人生がちょっと楽になると私は思うんですよね。

自分の価値観で生きていたら、仕事のスタイルや家族の形、結婚適齢期なども多種多様であっていいのに、まわりの声や視線を気にして、型にはめようとするから窮屈になる。もっと自分の判断基準で自分の人生を決めていいのに、と思います。要するになんだってアリだと思うんだよな。

あと人と意図的に「ズラす」ことによって得することがあります。例えばランチの時間、12時に行けば混んでいる店も、11時半に行けばまったく並ばず入れたりする。連休をずらして休みを取れば、渋滞にはまらず、交通費も安く旅行に行けたりする。50歳で結婚をしたら、こうして本を出せたりもする(笑)。そうやって、敢えて人と違う行動をとるのも悪くないですよ。

現在の日本は、人の目を気にして〝普通〟の道を歩もうとする人がたくさんいます。

「人」って誰だよ?

知らない人に何を言われても、気にすることはないと思いませんか?

ここ数年、生き方の多様化がどんどん進んでいるので、今こそ自分の物差しで自分だけの人生を送ればいいと思います。

つまり、そろそろ「右へならえ」をやめてもいいんじゃないかなという話。

まわりの目も、平均もどうでもいい。

もともと特別なオンリーワンでいきましょう。


『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』(著:影木栄貴/KADOKAWA)

その悩み、年をとるとなくなります


女性の20代後半から30代半ばは、もしかしたら一生で一番精神的につらい時期じゃないかと思うことがあります。人生の分岐点が多すぎる年齢なんですよね。

仕事、結婚、出産など、さまざまな選択を迫られながら、若さという勢いが失われつつあり、社会では責任のある立場になりつつあり、先行きに不安を感じつつあり……。ちょうど結婚する人も多い時期で、環境も変わり、出産も考えなければいけないころ。

そして結婚したいけどできない人や、社会で壁にぶつかり転職を考える人など、それぞれの立場で悩みは尽きない年頃でしょう。女性の厄年も30代に集中していますし、やっぱり一番生きづらいときなのかもしれません。

私がメンタルを病んだのもそのころです。ホルモンバランスや、一人暮らしで寂しくなったのもありますけど、仕事で壁に当たって、「この先、漫画で食べていけるのかな……」と、将来が不安になったのも原因の一つだったと思います。

でも、経験として言わせてもらえば、人生、山があれば谷もあります。落ちているときは無限に落ち続けるような感覚ですが、絶対底があり、浮上するときがやってきます。

だからつらいときの衝動には従わず、もう少しだけ踏ん張ってみてください。人生には必ず楽しいことが待っています。もし、今そのくらいの年齢でつらい方がいたら、この言葉を送ろうと思います。

「年をとるにつれてどんどん楽になるよ! 不安に思わず年をとってほしい」

年をとると人生のゴールが見えてくるので、未来が見えないという不安がなくなります。黒歴史に頭を抱えることもありますが、それもどんどん遠ざかっていきます。時間がいろんなものを解決してくれます。

そして、ちょっと鈍くなった感覚が人生を楽にしてくれます。今まで気になっていたものも気にならなくなります。前は、道を歩いていて自分だけコートを着ていたら恥ずかしくてモジモジしていましたが、今はびくとも気になりません。いい意味で鈍感力が育つのかなと思っています。

そして、人は慣れる生き物なので、つらいことも何度も経験していくうちに平気になったりします。年をとればいつか楽になるから、ずっと苦しいわけじゃないから、とにかく生きてほしいと伝えたいです。

人生の選択で間違えることもあると思います。でも私から言わせれば、やってみて失敗した後悔より、やらなかった後悔のほうが後々引きずります。失敗した直後は落ち込むかもしれませんが、失敗もいつか必ず糧になるので、どうぞ恐れずやりたいことをどんどんやってください。

老いるのが怖いという人もいるかもしれません。でも50歳、意外と元気ですよ。私も50歳になってみて、「あれ? 思ったより全然変わってないな」と実感しています。

心は永遠の中二病。両親曰く「今が反抗期」。みんなが思うより、今の50歳ってそんなに老いていないんだと思います。だから、命大事にガンガンいこうぜ、です。

どうか自分の選択に自信を持って生きてください。

年をとるのを恐れないでください。

楽しい未来がきっとあなたを待っています。

※本稿は、『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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