ミャンマーのコウモリから未知のウイルスが発見される

7月14日(土)9時30分 カラパイア

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image credit:Smithsonian Conservation Biology Institute

 過去10年近く、人間に感染する恐れのあるウイルスの発見に努めてきた世界的監視プログラム「PREDICT」の研究者が、ミャンマーに生息するコウモリから、SARSやMERSを引き起こすものと同じ系統に属する未知のウイルスを発見した。

 このウイルスが世界的な調査で検出されたのは初めてだ。さらに以前タイで発見されていた新しい別のウイルスもコウモリから発見された。

・ウイルス調査はきわめて重要な研究

 これがきわめて重要な発見であるのは言うまでもない。ミャンマーで発生したウイルスがミャンマーに留まる保証はないからだ。

 ミャンマーは東南アジアの中央に位置するため、病気の拡散や新興感染症において重視されている地域だと、調査にあたっているペンシルバニア大学のマーク・バリトゥット博士は言う。

 今日の新興感染症の75パーセントは動物由来のものだ。しかし動物では必ずしも人間と同じ症状が生じるわけではないために人獣共通感染症の検出は難しく、その帰結は深刻なものとなりかねない。

 21世紀に入って以降、エボラ、SARS、鳥インフルエンザのような、動物から人に感染して世界的に大流行した事例は増えている。

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ミャンマーでキティブタバナコウモリからサンプルを採取する研究者
image credit:Smithsonian Conservation Biology Institute

・まだまだ数多くのウイルスが潜んでいる

 USAIDから助成を受けるPREDICTは、スミソニアン大学、カリフォルニア大学デービス校のワン・ヘルス・インスティテュートなど、さまざまな機関と協力する。

 多くの事例では、まず最初に野生生物が調査される。アウトブレイクの発端を突き止めるなら、ウイルスの故郷やそれを特定する方法を調べなければならない。

 これまでPREDICTがアフリカとアジアの30ヶ国以上で調査をした結果、生物、家畜、人間から800種以上のウイルスが発見された。しかしこれは氷山の一角だという。


・ミャンマーで3年半にわたる野生動物の調査

 今回の発見にあたっては、スミソニアンの保全生物学者らが3年半に渡りミャンマーの固有種であるコウモリ、サル、ネズミ(これまでウイルスの流行に関連した動物)を丹念に追跡した。

 研究者は動物を捕獲し、唾液、糞、尿、血液などの各種検査を行う。また最新のGPSを使って、地域のコウモリの移住パターンを追跡したりもする。

 もし一つの種が病気を媒介するならば、それがどこからやってきて、どこへ行くのか突き止めることが大切だからだ。

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image credit:Smithsonian Conservation Biology Institute

 ワン・ヘルス・インスティテュートのトレーシー・ゴールドスタイン氏によれば、問題となるウイルス(つまり病気の原因となることが知られている系統に属するウイルス)を持つサンプルは1〜3パーセント程度でしかないという。

 そこから先の研究の対象となる病原株に該当するものとなるとさらに少ない。しかし、そうしたウイルスは人間にとって脅威となる潜在的可能性が最も高いものだ。一度、こうしたウイルスが発見されれば、人や動物の細胞に対する感染力が評価される。

 今回発見された2種のウイルスはどちらも、以前大流行したことがあるウイルスに関係するものであるが、あくまで遠い関係であり、おそらくは喫緊の脅威にはならないだろうと研究者は強調する。

 だが、そうしたウイルスは、人間に感染するかどうかにかかわりなく、重要な情報を有している。

「ミャンマーのウイルスの優先順位は低く評価されるかもしれませんが、人に感染するウイルスとしないものの違いを理解する上でも重要です」とゴールドスタイン氏は言う。

 ミャンマーではさらに1500以上ものサンプルが解析を待っている。PREDICTの第一の目標は、地域の研究所が同プログラム終了後も独立してサンプルを取得・解析できるようにすることだ。世界では3300人以上もの政府関係者、医師、獣医、資源管理者、研究技師、学生らがPREDICTからの指導を受けている。

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image credit:Smithsonian Conservation Biology Institute

・パンデミックを防ぐことはもちろん、野生動物の健康を維持する重要性

 PREDICTの究極の目的は、将来的なパンデミックを回避することにある。それには動物や人間の近くにいる野生生物の健康を維持することが大切だ。

 動物が得をすれば、我々も得をする。コウモリのような動物は、病気の宿主であるかもしれないが、同時に受粉や害虫の抑制など、生態系に関する大きな利益をもたらしてもいる。

 モンタナ大学の生態学者のアンジェラ・ルイス氏(調査には不参加)は次のように話す。

 「ウイルスに関する研究は特定の種にのみ集中し、その結果、私たちはその種を悪魔扱いするようになります。ですが、危険な病気を宿しているからといって、それを殺すべきだということにはなりません」

References:New Virus Discovered in Myanmar by Smithsonian Conservation Biology Institute's Global Health Program | Smithsonian's National Zoo/ written by hiroching / edited by parumo

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