流行に乗ったけど、時代から遅れていった店名たち【探訪!スナック珍名さん】

2017年7月16日(日)20時0分 Jタウンネット

こんにちは。別珍(べっちん)やサテン系布地などの、スナック映えする素材に弱い、コラムニストの中丸謙一朗です。


さて、この企画もとうとう7回目。


こりずに、本日も「全国スナック名称研究会」(全ス研)提供、「スナック珍名さん」をお送りいたします! (パチパチパチパチ)


今回も全国からのスナックが、ビンビンに登場。


看板チェックは煩悩チェック、入店ないので、チャージフリー。


コスパ最強、誰でも楽しめる、スナック「哀愁」物語。


では、今週もじっくりとお楽しみください。


【第1発目】「酒場のドットコムビジネス」(採取地・青森)


みんな、キラキラネームを揶揄するようなところあるけど、うまく時代に乗って付けたように見えたって、名前っていうのは、付けられたその時点から右肩さがりに、時代からは遅れていく運命にあるんですよ。スナックの名前だって、人の名前だって、最新で最高の瞬間があったはずなのよ。というわけで、ドットコム。まだ、フレッツ光じゃなく、ダイアルアップ接続だから、口説いても、姫乃ママにはじらされっぱなしだよ。(適当な予想)


【第2発目】「昔トレンディ、いまやバイアグラ」(採取地・長崎)


そうね、ビンビンでしたよね、なんだかんだで、当時は。。。って、けっこう昔だね。トシちゃんの『教師びんびん物語』は1988年。約30年前の話。その時代に開店したのかどうかはわからないけど、残念ながら当時のようなトレンディ感はないよね。いま、このことばはどんな語感に聞こえるのだろう。逆に、おじさんが若い娘さんに聞いてみたい案件だね。やっぱり、予想通り、バイアグラ系の語感なのかね。小脇に抱えたセカンドバッグに忍ばせてる50代的な。


【第3発目】「ひょうきん族よ、永遠に」(採取地・たぶん小田原)


このスナックは確実に古いよ。『オレたちひょうきん族』は80年代を通して放映された伝説のお笑い番組。いまや時代遅れを通り越して、貴重な80年代系レトロ酒場の匂いがする。でも、マスターはけっしてひょうきんな30代なんかじゃないよ。そこから30年だからね。でも、カウンターの片隅で、ミスターオクレみたいな素敵なおじさまが飲んでいるかもしれないね。そういえば、うなずきトリオもはるか昔。だいぶ人数減っちゃったね。ただ、ひとつこのスナックで気になるのは、表記の仕方。ひょうきん族っていうのが、単なるキャッチコピー的なもので、本当の名前が「パイプのけむり」だとすると、あまりにも話しがややこしい。おかしいんだかシブいんだかわからなくなるじゃん。


【第4発目】「横並びのダンディー」(採取地・三浦)


スナックダンディー。いや、定番だし、言いたいことはじゅうぶんにわかるよ。でも、黄色はないわな、ビニール看板。それにして、ものすごい間口の広いスナック。スナックというより、ラーメンさんみたいに、お客さんとママと女子たちが全員横並びだったりしてね。いちばん、奥の人、会話に参加できなくって、「あら、あの人静かに飲んでて、さすがダンディーだわ」って、そんな空想、余計なお世話だよね。


【第5発目】「お通しをチャームという理由(わけ)」(採取地・むつ)


まあ、ふつうに当て字系スナック文学なんだけど、もとを正すと、なんでスナックの名前って、外来のことばを小難し漢字に直すのかね。「ブーメラン」でいいし、「ライムライト(来夢来人)」でいいじゃん。たぶん、なんか「ひとひねり」を感じさせる気持ちというか、ムダな遊び心が、スナック文化の基本なんだろうね。今宵のスペシャル感というか、せっかくだから二軒目行きましょう感というか(笑)。 たしかに、お通しを「チャーム」って言い直すだけで、ひょとしたら夢のある一夜が過ごせそうな気がするよね。気のせいだけどね。


【第6発目】「お弁当屋さんじゃないよ」(採取地・不明)


今日の最後はおもいっきりふつうの店名。すなっく「まごころ」。でも、これどっちかっていうと、お弁当屋さんだね。ハートウォーミングないい名前を付ければそれでいいかって言うと、意外とそうでもなかったりする。やっぱ、奥深いね。スナックの名前は。


ということで、今週の「スナック珍名さん」、いかがでしたか?


みなさんも、この企画が続くように、ぜひ街の珍名スナックを投稿してください。


それでは、ハバ・ナイススナック!


*注 この企画はあくまでも公に公開されている風景としてのスナックの看板および名前を味わうための企画です。採取した時期もさまざまですので、現在も存在しているかどうかは不明です。また、実際のお店の状況には責任を負いませんので、個人の責任にてお楽しみください。

全国スナック名称研究会では、読者のみなさんが発見した「珍名スナック」の看板画像を募集しています。寄稿フォームかメール(toko@j-town.net)で、ペンネームと発見場所、あなたの年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。ツイッターのハッシュタグ「#全ス研」でも受け付けます。なお、いただいた投稿の一部を改変・編集する場合があります。あらかじめご了承ください



今回の筆者:中丸謙一朗(なかまる・けんいちろう)コラムニスト。1963年生。横浜市出身。『POPEYE』『BRUTUS』誌でエディターを務めた後、独立。フリー編集者として、雑誌の創刊や書籍の編集に関わる。現在は、新聞、雑誌等に、昭和の風俗や観光に関するコラムを寄稿している。主な著書に『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社、扶桑社文庫)、『車輪の上』(枻出版)、『大物講座』(講談社)など。好きなアーティストは宮史郎とジム・モリスン。座右の銘は「物見遊山」。全国スナック名称研究会代表。日本民俗学会会員。


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