マジックマッシュルームがストレスで損傷した脳の神経接続を修復。抗うつ薬としての応用に期待

7月21日(水)19時30分 FINDERS

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文: カレイジアン里奈

日本をはじめ、世界中で幻覚剤は規制対象となってきたが、近年は精神障害治療の利用に焦点が当てられ、研究が盛んに行われている。この潮流は「サイケデリック・ルネッサンス」、つまり幻覚剤の再評価と呼ばれている。

そして今月、マジックマッシュルームに含まれる幻覚作用成分「シロシビン」の効果を裏付ける論文が、米国の神経科学雑誌『Neuron』に掲載され、注目を集めている。

たった1回の投与で長期間効果

イェール大学の精神科学者リンシャオ・シャオ氏率いる研究チームは、電気ショックによるストレスを与えたマウスのグループにシロシビンを1回投与。レーザー顕微鏡で、マウスの脳の変化を観察する実験を行った。

その結果、シロシビンが投与されたマウスは、樹状突起スパインが大きく増加したしたことが判明した。樹状突起スパインとはニューロンの情報伝達を助ける組織で、長期間ストレスに晒されたり、うつ病を患っていたりすると減少することで知られている。シロシビンにより、ストレスによって損傷した脳の神経結合が修復したのだ。

樹状突起スパインの密度と大きさは、シロシビンの投与から24時間で反応が見られ、投与の7日後で半分が持続し、34日後でも約3分の1が残った。さらに行動面でも変化が見られ、シロシビンを投与したマウスは電気ショックなどのストレスに対処するようになったという。シロシビンによりニューロンの情報伝達が活発になったと結論付けた。

論文の共著者のアレックス・クワン氏は「ニューロンの神経結合が10%増加し、平均10%大きく強力になりました」と語った。

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人体への応用に慎重姿勢

マジックマッシュルームのシロシビンに抗うつ薬としての大きな期待がかかるが、人体への応用はまだまだ先のことになりそうだ。アレックス氏は、まだ判明していないことが多くあると前置きした上で「シロシビンを治療薬として実用化する、あるいは類似のより良い薬を見つけるには、細胞レベルでこの薬が及ぼす影響をもっと知る必要があります」と、慎重な姿勢を見せた。

「マジックマッシュルームといえば違法薬物」といった社会的スティグマを払拭していくことも課題になるだろう。米国オレゴン州では合法化されており、少しずつではあるが実用化に向けて歩みを進めている。精神疾患に苦しむ多くの人のためにも、今後のさらなる研究が待たれる。


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