これで見納め? まもなく「一部停止」する和歌山製油所の工場夜景が美しいから覚えておきたい

2023年7月24日(月)20時0分 Jタウンネット

夕闇迫るにつれ、無数のパイプが組み込まれた巨大な工場が、まるで宝石箱のように輝き始める——。

「工場萌え」の人々にとって、工場夜景ほどエモい光景はないらしい。

その魅力がビンビンに伝わってくる写真たちが2023年7月18日、ツイッター上に投稿された。

ツイッターユーザー「ハッチ」(@hacci_0731)さんによるものだ。ツイートには、2万6000件を超える「いいね」(7月24日現在)が付けられ、こんな声も寄せられている。

「製油工場とは、思えない綺麗な夜景」
「夜のプラントって、幻想的で好きだなぁ」
「SF映画に出て来そうな感じがいいですね」

ハッチさんのツイートが注目を浴びたのは、写真の美しさだけでなく、次のようなコメントが添えられていたからでもあるだろう。

「和歌山製油所 ※10月予定閉鎖という事で最後に撮ってきました」

「10月予定閉鎖」。この景色はまもなく見られなくなってしまうということだろうか。

Jタウンネット記者は投稿者「ハッチ」さんと、ENEOS和歌山製油所に話を聞いた。

「閉鎖」ではなく、「一部停止」

投稿者「ハッチ」さんによると、話題の写真を撮影したのは、2023年7月18日。この製油所のことは、「昔から有名な工場夜景の名所なので知っていましたし、今回のこの場所の撮影も2回目です」とのことだった。「やはりここのロケーションは素晴らしいな」と、撮影時の感想を語る。

次にJタウンネット記者は、ENEOS和歌山製油所に電話した。取材に応じた広報担当者は早速こう語った。

「まず訂正しておきたいのは、『閉鎖』というのは正しくありません。『一部停止』とお考えいただきたいと思います」(ENEOS和歌山製油所広報担当者)

原油を精製する工場と物流機能の一部は停止するのだが、新たな事業を検討しているとのこと。その一例が、「SAF(サフ)」と呼ばれる航空燃料の製造だ。「SAF」とは「Sustainable Aviation Fuel」の略、「持続可能な航空燃料」を意味する。

「次世代の航空燃料」とも呼ばれるSAF最大の特長は、従来の化石燃料と比べて、二酸化炭素の排出量を約80パーセント削減できる点だ。現在、行政とも検討を重ねている段階だという。

また「SAF」製造事業以外にも、企業誘致活動が進められており、跡地活用のビジョンが検討されているようだ。

ENEOS和歌山製油所は、有田みかんの産地として知られる和歌山県有田市にある。1941年に東亜燃料工業和歌山工場として操業をはじめ、ガソリンなどの燃料や潤滑油、石油化学品など、多種多様な石油製品を生産してきた。重化学工業が盛んだった高度成長期の昭和を経て、平成、令和と、80年以上も操業してきたわけだ。

ENEOS和歌山製油所の一部停止まで、あと数か月。跡地活用も検討されているとはいえ、この壮大な工場夜景の全貌を見ることができる時間は残り少なくなった。

ツイッターに投稿された写真について、ENEOS和歌山製油所の広報担当者はこうコメントした。

「こういった写真は、みかん畑が広がる山を車で登って、山の上から撮影されたと思われます。地元の農家の軽トラが走る狭い農道を、苦労して登られたのでしょう。きれいな写真を撮っていただき、ありがとうございます」

いつまでも記憶にとどめておきたい、貴重な光景かもしれない。

Jタウンネット

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