元国税芸人さんきゅう倉田の「役に立ちそうで立たない少し役に立つ金知識」 第109回 芸人はなぜ貧しいのか(前編)

7月24日(水)22時8分 マイナビニュース

元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな職業は「お笑い芸人」です。

芸人...①芸能を職業とする人②多芸な人(三省堂国語辞典より)

現在、日本で活動する芸人の数は、およそ1万人と言われています。その中で、芸人としての収入だけで生活できる人たちが、果たしてどれくらいいるでしょうか。おそらく、300人くらいではないかと考えられます。門を叩くのは誰にでもできるけれど、生活できるくらいの収入が得られるのは3%という世界なのです。

そこだけ見ると、厳しい世界のように思えます。実際に、「お笑い」という文化やスキルをお金に変えるのは難しく、どんなに才能や技術があっても同世代の平均所得に満たない方がたくさんいます。ただ、そういったマネタイズの難しさ以外にも、貧しさの要因があります。

○芸人はどんな生活をしているのか

売れていない芸人の主な活動は、ライブとネタ合わせ、そしてアルバイトです。その合間に、同期の芸人と遊んだり、異性と遊んだりしています。

都内で4万円〜6万円のアパートに住み、生活水準を下げ、月に15万円ほどで生活しています。

それでも、タバコを吸い、ギャンブルに興じ、女遊びを欠かさない人間が大勢いるのが、若手芸人の世界です。
○芸人はどうやってお金を稼いでいるのか

知らない方も多いと思いますが、若手のライブはお金になりません。芸人がお金を払って出ている場合も多く、ギャラがあっても劇場からの支払いが拘束1時間あたり1000円を超えることはほとんどありません。そんな状況なので、交通費も出ません。衣装や小道具も自分で用意するので、収支はマイナスです。
お金にならないのに「なぜ出るのか」と聞かれれば、「たのしいから」とぼくは答えます。出演する理由は、個人によって異なりますが、「たのしければ報酬が低くても構わない」と考える方は、お笑いの世界以外にもいらっしゃるのではないでしょうか。

何かしらのきっかけがあると、テレビの出演や営業が入るようになりますが、売れていない芸人に振られる仕事の頻度は、それほど多くありません。

キー局の番組に出演すると、3万円〜5万円の報酬が支払われるのが相場で、それを事務所と按分することになります。ネット番組や、地方ローカルだとその金額はもっと低くなります。

若手の場合、営業では1万〜15万円が報酬としてもらえます。事務所や営業の内容によって、クライアントの支払額と芸人に支払われる金額が異なりますが、テレビで知名度を得て、報酬の高い営業を生活の糧とするのは、一般的な方法です。
また、みなさんが全く知らないような芸人でも、特殊能力があることで企業とタイアップしたり、行政から仕事を依頼されたり、ウェブCMに出演したりすることがあります。そういった仕事の収入は、5万円だったり、8万円だったり、15万円だったり、60万円だったり、80万円だったりします。
○なぜ芸人は貧乏?

芸人は、基本的には、ぐうたらの集まりです。どんなにお金がなくとも「アルバイト行きたくないなあ」と言いますし、「事務所が仕事くれないんだ」と他人のせいにします。仕事は自分で取るものだ、ということが分かっていません。

最近は、お笑い以外のスキルや特技が必要だということが周知され、そしてそれらを売りにすることが恥ずかしいことである、という意識が消えました。

ぼくが“元国税局”を掲げ始めたときは、元○○とか○○芸人と名乗る若手はほとんどいませんでした。やはり、プレーンなネタやトークで活躍したい、売れたい、という考え方が主流だったのだと思います。

同期や先輩・後輩の中で、抜きん出て面白いのならそれだけで売れるのかもしれません。ただ、何年か芸人として活動して、自分の位置が分かっているのに、それに目を背けて努力を怠っている芸人は、ずっと貧乏のままです。

どうすれば収入を得られるか、自分に何ができるか、それを考えないので、アルバイトをする生活から抜け出せないのです。

○さんきゅう倉田
芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。

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