シャーリーズ・セロン「男性キャストの中でただ1人の女性だった」、女性アクション・ヒーローとしてのキャリアを振り返る
2020年7月25日(土)7時50分 シネマカフェ
『マッドマックス 怒りのデスロード』(15)『アトミック・ブロンド』(17)などで、現代の女性アクション・ヒーロー像をアップデートし続けているシャーリーズが最初にアクション演技に挑戦したのは『ミニミニ大作戦』(03)だった。
当時は“女優にアクションは無理”という風潮が強い時代。「私は男性キャストの中でただ1人の女性だった。はっきり覚えているのは、撮影前のトレーニングで私だけが6週間余分にトレーニングを課せられたこと。すごく侮辱的だったけれど、そのおかげでやる気に火がついた。『やってやろうじゃないの』って。それで彼ら全員を負かした。車がスピンする訓練でマーク・ウォルバーグが具合が悪くなって吐いていたのを覚えてる」
『モンスター』(03)でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、日系アメリカ人の女性監督カリン・クサマの『イーオン・フラックス』(05)でアクション映画主演に挑戦したが、作品はあまり受け入れられずヒットしなかった。それから10年、転機が訪れたのは2015年の『マッドマックス 怒りのデスロード』でシタデルの女性大隊長フュリオサを演じた時。迫力のアクションで主演のトム・ハーディを凌ぐほどの存在感を放った。
「本当に誇りに思っている。フュリオサは私が演じた中で最も重要な役の1つ」「単なるキャラクターとは思えないほど、私にとってリアルなものだった」と語り、この作品によって自らの進む道も変わったという。
女性主役のアクション映画の先駆け『エイリアン』(77)で「シガーニー・ウィーヴァーがリプリーを演じるのを初めて見たとき、すべてが変わった。世界が開かれて、可能性が無限になった気がした」と言うシャーリーズはフュリオサというキャラクターについて、「リプリーが女優・女性としての私に与えたものに少しでも近づけたなら、私はとても誇りに思う」と言う。
製作も手がけた『アトミック・ブロンド』(17)は原作のグラフィックノベル出版前に映画化権を取得した入魂のプロジェクト。『ジョン・ウィック』シリーズのデヴィッド・リーチ監督のもと、“男のように”ではなく、身体性を活かして「女性が女性らしく戦うのを祝福」し、アクション映画の新機軸を開拓したのは40歳を迎えた直後。体力的な面と、「失敗したら、次の機会は与えられないかもしれない」というプレッシャーとの闘いだったと振り返る。
「私が演じてきたキャラクターは全員がサバイバー。私自身、女性としてそこに共感する。自分のことをヒーローだなんて思わない人物にインスパイアされるし、親近感がある」「感情的なフックのない役を演じることはできない」と言う。『オールド・ガード』では不死身の戦士役だが、「SFでありながら、リアリティに根ざした物語」であり、現代社会に通じる部分も多いと話す。
演じる役柄はもちろん、女性映画人としても勇敢な生き方が印象的だが、本人は「私の創造性は恐怖から生まれてくる」と語る。「ただ、それを隠すのが得意なだけ」。