カナダの都心部の家賃が高額すぎる問題。低所得労働者の91%が家賃払う余裕なしという深刻な住宅事情

7月28日(日)16時30分 カラパイア

rent2_e
geraldfriedrich2/pixabay

 最近は3,4年前ほどの世界的不動産ブームは去ったようだが、それでもトロントやバンクーバーなどカナダの大都市では家賃が非常に高く、現在でも手頃な価格の家がなかなか見つからないという問題があるようだ。

 今回、カナダの住宅事情に関しての新たな調査が報告された。カナダの都心部は特に家賃が高騰し、低所得労働者の91%が、家賃を払って生活していく余裕がないという状況であることがわかった。
・収入の30%以内の物件が少ないという現実

 労働で得た収入が全て家賃に消えてしまうのでは、生活することは困難だ。大体収入の30%以内が理想とされている。

 カナダの独立した非党派的シンクタンク政策研究所「Canadian Centre For Policy Alternatives (CCPA)」は今回、“レンタル賃金”に関する調査を行った。

 レンタル賃金とは、収入の30%以上を費やすことなく、平均的な値段のアパートを賃貸するために必要な最低労働時間給を意味する。

 報告書ではこのレンタル賃金を計算することによって、カナダ全土の近隣地域における賃貸料が紹介されている。

 だが、問題が浮き彫りとなったのはその賃貸料の高さだ。

rent5_e
ptra/pixabay

・時給が1,670円を超えないと家賃を払うのは厳しい

 カナダでは4分の1の人が、州の最低時給賃金よりも更に3カナダドル(約250円)ほど低い賃金しか稼いでいない。

 結果、カナダ全土の平均として2ベッドルーム(台所や浴室以外に寝室が2つ構造)のアパートに必要な平均レンタル賃金は1時間22.40カナダドル(約1,850円)、1ベッドルームでは平均レンタル賃金は1時間20.20カナダドル(約1,670円)であることがわかった。

 これはカナダのどの州の最低労働賃金(時給)よりもかなり高い。


・フルタイム労働者でも家賃の支払いは厳しい

 カナダでは、人口3分の1、つまり470万世帯が家賃を払っての生活をしているという。賃貸しているのは、主に低所得者、2000年以降生まれのミレニアル世代、1990年代後半〜2000年生まれのZ世代、カナダへの移民だ。

 しかし、彼らにとっての現実は厳しい。フルタイムの最低賃金労働者であっても、2ベッドルームのアパートを賃貸できるのは、賃貸情報として一般公開されている795地区のうち24地区(3%)のみで、更に1ベッドルームの賃貸は70地区(9%)のみとなっている。

 レンタル賃金は、最も家賃が高い市場で上昇する。例えば、バンクーバーではレンタル賃金は35.43カナダドル(約2,920円)。

 つまり、バンクーバーで1時間当たり13.85カナダドル(約1,140円)の最低賃金を稼ぐ人は、平均価格の1ベッドルームアパートを借りるために、週84時間も働かなければならないというわけだ。

 更に、独身やシングルペアレントの場合は、2ベッドルームを賃貸しようと思えば週112時間の労働が必要となる。

 カルガリーやオタワもレンタル賃金は高く、最低賃金者はフルタイムで働いていても、これらの大都市で手頃な価格の1ベッドルームや2べッドルームのアパートを賃貸する余裕はなく、低所得労働者の91%が都心では家賃を払えないという現状になっている。

rent1_e
12019/pixabay

・家賃補助金の案が出るも厳しい現実

 この問題は、ミレニアル世代など特に若い低所得労働者に大きな影響を与えている。

 今回の報告書では、そうした世代が家賃を払える余裕ができるように、最善の方法として手頃な価格の住宅を増やすことを奨励しているが、現在の状況を見ても2020年後半までは厳しいと言われている。

rent3_e
mastersenaiper/pixabay

 その間、低所得者向けの新しい家賃補助金の詳細が明らかにされたが、その年間平均額は2,500ドル(約206,000円)のみで、7億5000万カナダドル(約618億円)という政府の最大予算は、カナダ全土で家賃の支払いに苦労している人々の12%にしか及ばないことを意味する。これでは、ミレニアル世代の若者が対象になる可能性は低い。

 現在は各州が交渉中のようだが、低所得者といっても子供や高齢者を抱えているのか否かで対応も異なるとされており、いずれにしても政府の家賃補助には厳しい基準が敷かれることになりそうだ。

References:VICEなど / written by Scarlet / edited by parumo

カラパイア

「家賃」をもっと詳しく

「家賃」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ