[特集]夏の害虫対策マニュアル 第6回 夏が危ない! クローゼットの衣類に穴を開ける虫の対策

7月31日(火)7時0分 マイナビニュース

真夏。冬の間愛用していた、カシミアのセーターやウールのストール、とろんとしたシルクのブラウスやスカートなどなどは、クローゼットの奥の方で眠っているころです。

そして来る晩秋。いよいよあれらの、しなやかで暖かな服の出番となりました。しかしクローゼットを開けたところで、もし、お気に入りで値も張った、あの服たちに無残な穴が開いていたら……!?

「ヒメマルカツオブシムシ」「ヒメカツオブシムシ」「イガ」「コイガ」といった虫の名前は、あまり頻繁に耳にするものではないかもしれません。でも、自分自身は未体験であっても、知り合いの誰かしらは衣類を食害された経験があるのでは。そういう意味で、決して珍しくはない虫たちです。

主に冬物の衣類を収納している春から秋にかけて、特に夏の間にこれらいずれかの「衣類害虫」がクローゼットで発生してしまうのは、何故なのでしょう? そしていったいどうすれば発生を予防したり、食害を妨げたり、退治することができるのでしょうか?
○「ヒメマルカツオブシムシ」ってどんな虫?

「ヒメマルカツオブシムシ(姫丸鰹節虫)」は、その名にもあるように鰹節を始めとする干し魚を食害することでも知られる害虫です。成虫は体長3ミリほどの、白・灰黄色・茶色のマダラ模様で、小さく地味なテントウムシ様の外見をしています。

ただし衣類を食害するのは成虫ではなくその幼虫の方で、こちらは体長約4ミリ。細長い灰褐色のダルマ型をしており、その全体は剛毛に覆われています。

ほぼ全世界に生息している虫なのですが、日本では年に1回、4〜5月の初夏に出現します。屋外の、マーガレットなどの白い花の周りをよく訪れ、成虫は花の蜜を吸ったりしています。そうして、毛羽立った、柔らかく暗い場所を好んで産卵します。

この卵は約1カ月で孵り、幼虫は鰹節や干し魚の他、毛織物や毛皮、乾燥した虫の死骸などを食害します。幼虫期間は脱皮を繰り返しながら約300日から2〜3年間と長期にわたります。

ちなみに名前のよく似た「ヒメカツオブシムシ」「カツオブシムシ」も似通った生態や加害をしめします。
○「イガ」ってどんな虫?

「イガ(衣蛾)」は羽を広げた成虫の体長は10〜14ミリ程度。蛾にしては小さく感じるサイズですが、衣類を食害するのはヒメマルカツオブシムシ同様、幼虫のほうになります。

幼虫は白い胴体、うっすら黄色味を帯び、体長は6ミリ程度。ヒメマルカツオブシムシの幼虫が毛虫なら、こちらはイモムシといった様相をしています。うすぐらい繊維の隙間などに産卵、一週間程度で孵化したのちは周囲の気温に応じて幼虫期間が変わり、最適温度28度程度下で1カ月強とされています。

幼虫は、毛織物や毛皮、敷物(じゅうたん、カーペット)、絹織物など動物性の繊維を使った服飾品を好んで食害します。このとき綺麗な衣類よりも、食べこぼしのような汚れやシミ、洗われていない、汗が残っているような衣類が被害に遭いやすいのですが、それはこれらの「汚れ」もまた幼虫の栄養分として活用されているからだと考えられています。

また、名前の似ている「コイガ」も、同様の生態や加害をしめします。
○これら衣類害虫を予防、駆逐するには?

古来より「虫干し」という習慣があります。夏場、冬の衣類を一度取り出して収納部を清掃し、衣類を広げて風通しよく乾いた環境に干し、全体からっとさせることです。

つまるところ繁殖シーズン真っただ中である夏に、そのように衣類をあつかうことで、各々の幼虫による食害を妨げたわけです。衣類ではありませんが食害されやすい、羊毛などによる敷物類などもこの時期はときどき外し、掃除機をかけついでに日光にさらして乾燥がちにしておくと良いでしょう。

収納部の隅などに溜まった繊維ホコリはこれら衣類害虫の格好の住み処になります。オフシーズンの衣類をしまっておくクローゼットなどの内部、特に底部はこまめに掃除機がけを行っておくことで、また衣類害虫の予防に役立ちます。

そもそも、どうしても食害されたくない衣類であるならば、しっかりクリーニングをかけて汚れを落としたのちに、防虫剤のガスを充満させられる密閉性の高い収納にしまうのが最も安全です。

ただ残念ながら「ヒメマルカツオブシムシ」「ヒメカツオブシムシ」「イガ」「コイガ」、いずれも多く発生してしまった場合の簡便で確実な駆除方法というのは、実はありません。ピレスロイド系の燻蒸剤などをかける方法もありますが、おのおのの幼虫は生育するに連れて殺虫剤に対し強い抵抗性をしめし、期待するほどの効果をあげないことが多いのです。

食害され、穴の空いてしまった衣類は、可能な限り廃棄するのが無難ですが、どうしても捨てられない衣類である場合には、ドライクリーニングにかけて薬剤と温度とで殺虫を試み、そののちに修繕、保管するようにしましょう。

○筆者プロフィール: 藤原千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして18年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は家事サービス、商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、高1、小6、小2の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー!!』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。

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