バイデン氏、カマラ・ハリス副大統領支持で浮動票はどうなる?「トランプ氏を絶対に当選させたくない女性と、マイノリティが多い若者の関心を飛躍的に高める可能性はある」
2024年7月31日(水)19時50分 TOKYO FM+
7月24日(水)のテーマは『アメリカZ世代「誰が候補でも民主党に投票する」』。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、バイデン氏撤退後のアメリカ大統領選の行く末について語り合いました。
◆バイデン氏撤退後の民主党に票は集まる?
7月21日、アメリカのジョー・バイデン大統領が、11月の大統領選から撤退すると突如として表明。バイデン氏は自身に代わる大統領候補として、カマラ・ハリス副大統領を推薦する意思を示しています。ABCやCBSなどのネットワーク局は日曜午後のスポーツ中継などを中断して特別報道番組を放送、世界中に衝撃が走りました。
アメリカは大統領選まであと3ヵ月あまり。トランプ氏の暗殺未遂事件、続く共和党大会でヴァンス副大統領候補が指名され、勢いにのる共和党に対し、現職バイデン大統領のコロナ感染をきっかけに、出馬を取りやめるべきという声が高まっていました。
コロナ感染してからのバイデン大統領は自宅で自主隔離。そのあいだ彼に一番近い位置にいる政治家が、バイデン氏に撤退を促す発言をするようになり、時間の問題かと思われていましたが、これほど早い撤退への決断にはアメリカ人もメディアも驚いたことでしょう。
バイデン氏も推薦するカマラ・ハリス氏が最有力候補ですが、現時点ではまだ何も決定していません。アメリカZ世代で構成されたラボメンバーのなかには「バイデンよりはずっといい」と期待を寄せる声もあります。一方で、「元気なら誰でもいい。バイデンが集めた選挙資金をそのまま受け継げるのは大きなプラスだと思う」という冷静な意見も出ました。
ラボメンバーには以前、「もしバイデン氏の代わりに新しい候補者が立ったら、有権者はその人に投票すると思いますか?」という質問をしていました。回答をご覧ください。
メアリー:ありえると思う。今みんなパニックになっているでしょう? だから、普通っぽい新しい人が出てきたら票を集めるかもしれない。ある世論調査で人々にバイデンに投票する理由を聞いたら、「バイデンがいいから」という人は3割程度で、残りは「トランプではないから」と答えたんだよね。
ミクア:もしバイデンの代わりが出てきたら、その人に投票するよ。もっといい候補者が出てくるかはわからないけれど。
シャンシャン:私は民主党支持者なので、バイデンでも代わりの誰かでも民主党に投票するつもり。
メアリー:私も。誰であっても共和党以外、つまり民主党に投票する
バイデン氏に代わる候補者が誰であっても投票する。その理由は民主党所属で、トランプ氏ではないから、というのがラボメンバーの意見です。
以前の記事でも紹介した通り、トランプ氏もバイデン氏も拒否したいから投票を棄権する、あるいは第三党の候補への投票を考える若者もいます。
「そういう人の多くは4年前にはバイデン氏に投票しています。つまり、今回彼らが投票しないことで、トランプ氏が有利になります。なぜなら、トランプ氏の支持層はもう固まっていて、不動だからです。それもあって、今回はトランプ氏が有利と考えられていましたが、バイデン大統領が撤退した今、その状況も変わってくるかもしれません」とZ世代専門家のシェリーは説明しました。
カマラ・ハリス副大統領は女性で人種的マイノリティです。そういう意味では、浮動票のなかでも、トランプ氏を絶対に当選させたくないという女性とマイノリティが多い若者の関心を飛躍的に高める可能性はあります。一方で、年配白人男性の支持を得られるのかという疑問の声もありますが、それは副大統領候補を誰にするか次第で変わってくると考えられています。
◆トランプ氏の再選で最高裁の保守化が加速する
なんとかして第二次トランプ政権誕生を阻まなければ、という危機感をさらにエスカレートさせているのが、極右の最高裁の存在です。
トランプ氏が3人の保守判事を指名したことで圧倒的に保守となった最高裁は、トランプ氏に対して大統領免責特権を一部認めただけでなく、多くの女性から中絶の権利を奪い、気候変動対策を後退させるなどの判断を続けています。
この動きが第二次トランプ政権でさらにエスカレートする可能性が懸念されています。ラボのZ世代はどのような考えを持っているのでしょうか?
メアリー:最高裁判事は向こう4年間にリベラルの2人が辞める可能性があるんだよね。そうなると、トランプがまた保守を指名したら“ウルトラ保守”になってしまう。そうなったら多くの権利が奪われることになってしまうと思う。
ミクア:最高裁の動きに関して本当に心配している。父もそのことを話していて、今回投票すべき一番の理由はそれだと言っていた。
トランプ氏が当選した場合に想定されるのは、彼が新たに2人の保守判事を指名して、保守対リベラルが8対1の、極めて保守的な最高裁になることです。そうなると気候変動対策や銃規制など、多くの若者が願う政策の実現はほぼ絶望的になるだけでなく、今は州ごとに定められている人工妊娠中絶禁止が国全体でも禁止される可能性も出ています。さらには、今は合法の同性婚でさえ覆される可能性もあります。
そればかりか、大統領の独裁状態になり、4年後にまともな選挙がおこなわれるかどうかもわからないと、民主主義の存続自体に強い危機感を持つ人も少なくありません。こうした極端な政策に危機感を持つ保守層や中道の有権者もたくさんいます。
バイデン大統領の撤退により、年齢問題がなくなった今、ようやくこうした政策で戦えるようになったとも言えると思います。シェリーは「民主党は新大統領候補と共に、“打倒トランプ”で結束できるのでしょうか? NY Future Labでは今後も刻々と変わる政治状況と共に、日本ではなかなか聞けないアメリカの若者の視点・本音をお伝えしていきます」とコメントし、話題を締めくくりました。
<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40〜18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/