南極のピラミッドは宇宙人が建造したのか? ナチスも調査!? 科学者の見解は…

2023年8月1日(火)7時0分 tocana

 謎が謎を呼んでいる南極のピラミッドの正体は? 南極が温暖だった頃の古代文明によって建設されたのだろうか。それとも大自然の神秘のなせる業なのか——。


謎に包まれた南極のピラミッド

 南極大陸のエルスワース山脈にあるピラミッド型の形状は少なくとも7年間にわたり、宇宙人や古代文明に関わるあらゆる種類の陰謀論を焚きつけている。


 南極大陸にあるピラミッド型の山頂の衛星画像は、2016年に初めてインターネット上に登場したといわれている。エジプトのピラミッドを彷彿とさせるデザインと構造は発見から即座にあらゆる種類のオンライン陰謀論のインスピレーションとなった。


 南極が温暖だった頃の古代文明によって建設されたという主張もあれば、宇宙人の仕業だとの見解もある。これほどの大きさのピラミッドが自然に存在する可能性は低いように思えるのだが、地質学者はどう見ているのだろうか。


「これはピラミッドのようなただの山です」と科学系メディア「Live Science」に語るのはカリフォルニア大学アーバイン校の地質学教授、エリック・リグノー氏である。


「ピラミッドの形は不可能ではありません。多くの山頂は部分的にピラミッドのように見えますが、そのような面を持つのは1〜2つだけで、4つあることはまれです」(リグノー氏)


 リグノー氏はピラミッドは実際には「ピラミッド状の尖った山」として知られる氷河地域に共通する特徴であり、既存の陸地の側面に氷河が集まることによってそのような形になっていると説明する。


 一方、ドイツ・ポツダムのドイツ地球科学研究センターの地質学者ミッチ・ダーシー博士は「複雑な形ではないので、特別な偶然でもありません」と説明している。


「定義上、それはヌナタク(nunatak)であり、氷河または氷床の上に突き出ている単なる岩の頂上です。これはピラミッドの形をしていますが、それは人間の建造物ではありません」(ダーシー博士)


 ヌナタクとは氷河地域に見られる地形の一種で、氷河または氷床から頂部のみが突き出た山や丘のことである。


 科学者の見解としては、この南極のピラミッドはあくまでも自然に形成されたものであるようだ。


凍結融解による浸食によりピラミッドが形成

 南極のピラミッドがネットで話題になったの2016年だが、それ以前からその存在は知られていた。


 2007年にアメリカ地質調査所(USGS)が発表した論文の調査によると、このピラミッド型の山には正式な名前はないが、南極のエルズワース山脈を構成する多くの山の一つで、1935年11月23日にアメリカ人飛行士リンカーン・エルズワースが南極上空を飛行中に発見したという。


 1972年のUSGS 報告書によるとこのエリアは5億年以上前のカンブリア紀の三葉虫の化石を含む多くの化石が眠っていることで知られている。


 米ニコルズ大学の環境科学教授マウリ・ペルト氏は、この山の独特のピラミッド型の形状がこの山を際立たせていると語った。


 ペルト氏は凍結融解(freeze thaw)による侵食によってピラミッドのような形状になった可能性が高いと述べた。これは日中に溶解した雪や水が山の亀裂を埋めるときに起こり、夜になり気温が下がると雪が凍って膨張し氷になる。ペルト氏によると氷の膨張により亀裂が拡大するという。


 この凍結融解による浸食は数え切れないほど起こり、より大きな亀裂が生じ、最終的には岩石部分全体が壊れてしまう可能性があり、これらの力はアルプスのマッターホルンを含む他のピラミッド型の山々も形成した可能性が高いと同氏は説明する。


 山のピラミッド型の形状に疑問を抱いている“陰謀論者”については「少なくとも彼らは何かを考えている」と同氏は語った。


「結局のところ、彼らはその過程で何かを学ぶことになるかもしれない」(ペルト氏)


 いわゆる“陰謀論者”はこの南極のピラミッドは超古代文明が手がけたものであると主張し、「次元転移装置」などが隠されているという噂も囁かれているようだ。


 またナチス総裁のヒトラーは南極大陸には古代の高度な文明があると主張し、何度も調査隊を派遣していたのは有名な話であるが、このピラミッドを発見して調査に入った可能性を指摘する声もある。


 いずれにしても南極はまだまだ多くの謎に包まれており、今後も興味深い話題を提供してくれるのだろう。



参考:「Oddity Central」「Live Science」ほか

tocana

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