優先席に座る子供は立ったほうがいいの?

8月4日(日)20時15分 All About

子どもを我先にと電車の空席に座らせる親、優先席に堂々と座る小学生など、はてなと思うご経験はありませんか?

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優先席に座る子ども……これでいいの?

子どもにはどこまで優しく接していいのでしょう? 世の中、そんな明確な基準がないだけに快・不快の度合いも人によって異なります。子どもを我先にと電車の空席に座らせる親もいれば、座らず他の人のために空けなさいという親もあり……。

いまや、電車の優先席の表示には、お年寄りや体の不自由な人だけでなく、妊婦さんや小さな子ども連れも加わっています。果たして、小さい子どもとは、どれくらいまでなのか? まだ幼稚園くらいの、足の筋肉がそれほど発達していない子どもなら、揺れる車内で長時間立たせることは物理的に困難。

そんな子どもに「疲れたー」と泣かれるくらいなら、静かに座らせておいたほうが周りにも迷惑がかからないと考える人もいるでしょう。

でも例えば優先席で一心不乱に携帯ゲーム機に興じる小学校低学年の子どもと、大きな買い物袋を提げてその傍に立っている母親を見て、「なぜ子どもが座っていて、母親が立っているのか?」と思う人もいるかもしれません。

みなさんも電車の中で、それぞれの立場から「何だかこれっておかしいんじゃない?」と思った経験がありませんか。

子どもに厳しい欧米

そもそも、公共の交通機関で子どもをどうするかという話題は、日本特有のものといえるかもしれません。

欧米、特にヨーロッパでは大人と子どもの間には厳然とした区分けがあり、大人のパーティーやレストラン、美容院などの「大人の場所」に子どもを連れて行くことは、暗黙のうちに避けるべきとされています。

イギリス、フランスなどで特に有名なのは、かつての上流階級では子どもと大人が夕食を一緒に取らなかった、という話。「見るに耐えるまともな食事マナー」を身に着けるまでは、子どもは親との同席を許されなかったのだとか。そのような習慣を持つ国々では、いきおい公共の場でのしつけは厳しいものになります。

ドイツ在住の方から聞いた話によると、ヨーロッパでは、子どもが電車に乗るのは一般的。でも、子どもが優先席に座るというのは基本的に許されず、普通の席での高齢者がいたら、席を譲るものとされているとか。ヨーロッパでは他人の子でもよく叱り、その点でも日本とは違うなぁと感じられるそうです。

また、スイスでのビジネス経験のある方からは、

「路面電車で移動中に電停で老婆が乗って来ました。すると昇降口附近に座っていた鼻ピアス、鎖ジャラジャラのヘビメタ風若者がスーッと席を立って、その老婆を座らせました。それがなんとも自然ですがすがしく、この国の『教育』を肌で感じた瞬間でした」

と、日本とヨーロッパとの教育の違いを実感したエピソードが寄せられました。

アメリカでは少し様相が異なって、そもそもが車社会。鉄道や地下鉄は主に都市部に限られ、公共の交通機関は子どもを乗せるには危険な環境のものも多く、小さな子どもを見かけることはまれ。というわけで、子どもの交通手段は、まず自家用車なのです。

しかし、人種のるつぼだけあって、子どもたちのしつけは千差万別。むしろ、高級レストランなどに積極的に子どもを同伴する親もいて、ヨーロッパに比べると普段の生活はちょっと甘いところがあるかもしれません。

ただ、アメリカは国土が広いので大都市間の交通手段として飛行機が一般的。飛行機の中で大騒ぎする子どもには、周りからも明確な「不快」の意思が伝えられ、おとなしく座っている子どもはちゃんとほめられます。

子どもに甘いアジア?

一方で、「子どもは社会の宝」という観点から、子どもの行状に比較的甘い傾向のあるアジア。

特に中国や、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどの中国文化の影響の強い国の都市部は、一人っ子政策などの影響もあってか、「いいよいいよ」と大人がニコニコ笑いながら許し、あまり子どもを叱らないのんびりした風土があります。

ですが、もともと公共の交通機関などに子どもが乗るような機会もそれほどなく、「電車の中でどうするか?」などということ自体、話題にはならないようです。

儒教精神の根強い韓国では、子どもはしつけられるのが当然、かと思いきや?確かに竹の棒でしつけるなどの習慣はあるものの、街なかでは子どもたちはかなりのやんちゃぶりを発揮しています。

これは、昔ながらの大家族による育児体制が都市化で崩れ、日本と同じような核家族化が原因の一つといわれているとか。早期教育熱も過熱する一方で、試験で良い結果を出すためなら、普段の生活では甘やかしてもいいという傾向もなきにしもあらず。このあたりも、日本に近いものがあるかもしれません。

何歳から立たせる?は鉄道国家ならではのマナー議論か

世界の様子を眺めてみると、「電車の中の子どものあり方」を議論するのは日本ならでは、という気もしてきます。

日本各地、どこへ行くにも鉄道網が整備されていて、短時間で快適に移動できる。遅延が少なく安全、日常の交通手段として信頼できるからこそ、子どもも利用する機会が多いというわけで。

子育てする立場からすれば、渋滞が恒常化している都市部では電車の移動が一番効率的。子どもが飽きて泣き叫ぶ長時間のドライブになるくらいなら、上手に電車を利用したいところです。

ちなみに、私は「電車の空席に子どもを座らせる」派。

これにはたくさん異論もあると思いますが、そこをあえて!ベビー時代は親のひざの上。車内の揺れに耐えられる脚力が育っていない幼児の時代は「泣いて周囲に迷惑をかけるくらいなら」周囲を見て、その時に自分が譲るべき人がいないようなら、自分よりも子どもを静かに座らせます。それでもうるさくするようなら、いっそ降りてしまいます。

十分立っていられるようになれば(5〜6歳くらいでしょうか)、親と一緒に立たせておきます。その時、親だけが座ったりということはありません。他の人のために席を空けておきます。

優先席には、もちろん躊躇はするけれども、周りに譲るべき人がおらず、「どうぞ」という雰囲気なら「すみません」と恐縮しながら小さな子どもを座らせることもあります。もちろん、脚力がついてきたかなと頃合を見計らいつつ、時々車内で訓練のために立たせてみて様子を見ながら「電車内でのマナー」を移行するのですが……。

「東京の満員電車の中では、子どもはマナー以前に座っていなければ危険だ(体格が小さいのでつぶされる)」という意見も聞いたことがあり、なるほどとも思わされます。

さて、そんな日本ならではのマナー論議ではありますが、電車の中で、子どもは優先されるべきか? 優先席が一つだけ空いていたら、子どもを座らせますか? それとも立たせるべきでしょうか?
(文:河崎 環(子育てガイド))

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