驚異的に成長中の甘酒市場 新規参入組も続々の内幕

8月4日(日)16時0分 NEWSポストセブン

参入企業も多く販売競争が激しい「甘酒」

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 甘酒は日本の伝統的な甘味飲料。この市場が5年で5倍になっていると聞くと、意外だという印象を受ける人も多いのではないか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏がレポートする。


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 マルコメ、ハナマルキなど長野県の大手味噌メーカーが甘酒に本気で乗り出している。7月下旬には、女優ののんが出演するマルコメ糀甘酒の新テレビCMが公開。今年の春先にはハナマルキがほんのり琥珀色、透明なタイプの「透き通った甘酒」を発売されている。


 国内の甘酒市場は現在、大きく伸びている。2017年の売上は223億円。実に2012年の約5倍という驚異的な成長市場であり、とりわけ麹を原料とするメーカーは成長する甘酒市場との親和性が非常に高い。


 ハナマルキは2017年に初めての甘酒商品として500ml×400セット限定で自社サイトを通じて販売したところ早々に完売。今年、サイズなどを見直し、満を持して甘酒市場へと本格参入した。


 同じく長野県のひかり味噌も2017年から甘酒市場に本格参入。本来、味噌は仕込んで数か月以上寝かさなければ商品にならないが、糀は水を加えて温めれば数時間で甘酒になる。同じ原料でも味噌に比べて甘酒は現金化しやすく、扱いやすい商品なのだ。


 この構造は、蒸留酒メーカーにおけるウイスキーとクラフトジンの関係にも似ている。熟成に時間がかかるウイスキーを寝かせている間に、蒸留すればすぐ販売できるクラフトジンでつなぐ。同業界の生産者や生産物が増えれば、棚の専有面積やメディア露出も相乗効果で増え、トレンドの腰は強くなる。


 のんをCMのキャラクターに起用したマルコメは、新工場を作るほどの気合の入れっぷり。マルコメももともと長野県の会社だが、今年の春、完全子会社である魚沼醸造の新工場を新潟県魚沼市にオープン。長野県外に初の製造拠点を置くことになった。一般向けスペースのサロンには工場直送の糀甘酒や、甘酒で甘みを加えたソフトクリームなどを提供。ライブラリーも併設し、予約制ながら工場見学も受け付けていて、観光型の工場で新たな展開を目指している。


 甘「酒」となれば、もちろん酒造メーカーも指を咥えて見ているわけがない。新潟県魚沼市の「八海山」で知られる八海醸造も「麹だけでつくったあまさけ」を10年前から販売しているが、注文の多さにその後、専用工場を立ち上げた。2年前からはさらに規模の大きな工場で製造中。京都・伏見の黄桜も2年前から「黄桜 甘酒カップ170g」を冷蔵アイテムとして発売している。


 その昔から、味噌蔵や酒蔵は本業の傍らであっても、必ずと言っていいほど甘酒を作ってきた。近年では自然由来の甘みが抽出できるナチュラル甘味料として、国内のみならず、外国への展開も視野に入れるメーカーもあるという。実は甘酒市場でトップシェアを誇る森永製菓も、「夏の甘酒」を視野に入れて、今年の春から冷蔵タイプの甘酒を投入した。


 今年の夏は、熱中症対策飲料など機能性飲料が花盛り。そんななか元祖機能性飲料とも言われる甘酒の勢いはとどまるところを知らない。

NEWSポストセブン

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