米7月雇用統計レビュー - 米中貿易摩擦に対する市場の不安拭えず

8月5日(月)18時50分 マイナビニュース

米労働省が2019年8月2日に発表した7月雇用統計の主な結果は、(1)非農業部門雇用者数16.4人増、(2)失業率3.7%、(3)平均時給27.98ドル(前月比0.3%増、前年比3.2%増)という内容であった。

(1) 7月の米非農業部門雇用者数は前月比16.4万人増となり、市場予想の16.5万人増とほぼ一致。ただ、5月および6月分の雇用者数が合計で4.1万人下方修正されたこともあって、3カ月平均の増加幅は14.0万人と、今年最低の水準に鈍化した。業種別では、小売業で小幅に減少した以外は概ね増加しており、貿易摩擦の影響が懸念された製造業でも1.8万人増加した。

(2) 7月の米失業率は3.7%となり、3.6%への低下予想に反して6月から横ばいだった。もっとも、失業率が低下しなかったのは労働参加率が62.9%から63.0%に上昇したためであり、労働力人口に占める働く意欲を持つ人が増加したことが背景だ。

また、フルタイムの就職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)は7.0%へ0.2ポイント低下して、2000年12月以来の水準に改善した。

(3) 7月の米平均時給は27.98ドルとなり、前月から0.08ドル増加して過去最高を更新。伸び率は前月比+0.3%、前年比+3.2%と、いずれも市場予想(+0.2%、+3.1%)を上回った。前年比の伸び率は5カ月ぶりに前月から加速した。

(4) 米7月雇用統計は、非農業部門雇用者数の鈍化こそやや気になるところだが、広義の失業率の低下や賃金の伸び加速などを踏まえると、及第点以上という評価が妥当だろう。市場でも、発表直後は米長期金利が上昇し、ドル買いがやや優勢だった。ところが、米中貿易摩擦激化への懸念から米国株が値下がりすると、米長期金利も低下に転じ、ドルも売りが優勢となった。

前日にトランプ米大統領が対中関税第4弾を発表したことで米中貿易摩擦激化への懸念が再燃。貿易摩擦の影響で世界的に景気が減速に向かうとの懸念が広がり、株価が下落する中、米連邦準備制度理事会(FRB)は9月に追加利下げに動かざるを得なくなるとの見方が強まった。米7月雇用統計では、米中貿易摩擦に対する市場の不安を拭うことはできなかったということになるのだろう。

○執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya

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