中高年向けの筋力づくり、ゴキブリ体操やゴリラ体操のやり方

8月6日(火)7時0分 NEWSポストセブン

体全体の脂肪代謝を促進するゴキブリ体操

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 世の中が便利になって、どんどん“動かなくてもよい”生活になりつつあるが、一方で“動かないこと”による健康への悪影響も注目され始めている。それは筋力が落ちるだけでなく、ホルモン分泌や免疫力にもかかわり、内臓の病気のリスクも増大するというのだ。


 特に体力が衰え始めた中年や高齢者には、“動かないこと”によるリスクは深刻。でもいきなり本格的なトレーニングに挑むのも難しい。


 そんな中高年に向け、家の中でも気軽に体を動かし、しかも効率よく筋力アップを図れる体操を考案した、南越谷健身会クリニック院長の周東寛さんに聞いた。


「人間は動物、活発に動いてこそ健康な体を維持できる」と言う周東さん。


 年を重ねると自然に筋力は衰え、動くのが億劫になる。そして高齢者には、動かなくてもすむように、つい周囲の人が手を貸してしまう。実は、これでは健康維持とは逆行してしまうのだという。


「健康を維持する要はホルモンです。簡単に言えば、ホルモンが減ってくると体の機能が低下し、さまざまな不調が表れます。女性ホルモンが激減して起こる更年期障害が、わかりやすい例でしょう」


 ベースになるのは筋肉、骨、脂肪から分泌されるホルモン。筋肉から分泌されるマイオカインは、がん細胞抑制の働きも報告されているほか、免疫力を上げ、“若返りホルモン”とも呼ばれている。


 また骨から分泌されるオステオカルシンは、骨密度を上げ、全身の代謝をアップ。脂肪細胞、特に褐色脂肪細胞から生まれるアディポネクチンは、脂肪を燃焼させる“やせホルモン”の異名も。


「筋肉を鍛え、骨を刺激し、健康的な褐色脂肪細胞を増やすことで増えるこれらのホルモンを“基礎ホルモン”と呼んでいます。これらが増えると、内臓の動きを活発にする甲状腺ホルモン、骨を丈夫にし、認知症予防改善にも有効といわれる成長ホルモン、糖尿病を予防改善するインスリンホルモン、免疫力・体力を上げる副腎ホルモンなどが増え、結果、生き生きと健康な体になります。逆に動かずにいることで、すべての内臓は弱っていき、がんをはじめ病気のリスクが高くなるのです」


 またもう1つ重要なのが自律神経のバランスだ。


「筋肉を動かして活動することで交感神経が優位になり、体を休めてリラックスすることで副交感神経が優位になります。このバランスがメリハリよく作用することで、体がきちんと機能して体調が安定するのです。


 運動しないでいると、交感神経が充分に働かないため、スムーズに副交感神経に切り替わることもできず、不眠に陥りやすくなります」


 動かずにじっとしていることが、体にこれほど悪影響があるとは驚きだ。これは高齢者も例外ではないという。


「しかし筋肉は、何才からでも鍛えられるのです。じっとしているリスクを念頭に、まずは動きましょう」


◆中高年はゆっくり小刻みに動くのがポイント


 筋肉を鍛えるには、スクワットのように多少負荷をかけて筋肉を使うトレーニング、ゆっくり伸縮させるストレッチ、ウオーキングのような有酸素運動を組み合わせて行うのが効果的。しかし、そもそも運動不足の中年や体力に自信のない高齢者にとっては、“筋肉を鍛える”というだけでもハードルが高い。


 そんな中高年のために周東さんが提案する体操は、日常生活の中で気軽に始められるのが特徴だ。数ある中から6つの体操を後で紹介するが、たとえば目覚めた時に、布団に寝た状態のままで始められるものもある。


「中高年の健康維持のための筋トレは、ゆっくりと、小さく動かすことがポイントです。 張り切って力任せに大きく動かすと、筋を傷めることもあるので注意。それより一つひとつの動きを丁寧に、動かす筋肉を意識しながら行う方が効果的。起床時や就寝前、朝昼晩の食事の前に3分くらいずつ。効率よい代謝のためにも、体操をする前に水を飲むとよいでしょう。毎日、短時間でも継続することが大切です」


 代表的な『ゴキブリ体操』は、ひっくり返ったゴキブリのように仰向けに寝たまま手足をバタバタさせるユニークな運動だが、この手足を小刻みに震わせる動きは、末端から血行を促して自律神経を整えるという。


 実際にやってみると滞ったものが流れるような実感があり気持ちがいい。この心地よさを感じることが大切だという。高齢者などは起床時に限らず、いつでもこまめに手足を震わせるのがおすすめだ。


「高齢で、今から筋肉を鍛えても…と、あきらめている人も少なくありません。でも、高齢者こそ、体を動かして筋肉を鍛え、体が変わることを実感してほしい。生きている限り健康であり続けることが大事なのです。朝さわやかに目覚め、体調がよいと気持ちも充実します。そんな一日一日を積み重ねていくことが、何よりの健康長寿の秘訣です」


 そこで、クリニックを訪れる中高年の患者の状態やアドバイスした内容を基に、周東さんが開発したオリジナル筋力作り体操を紹介しよう。


 2〜3種類を選んで計3分間ほど、起床時、就寝前、朝昼晩の食事前などに行うほか、動きを覚えたら思いついた時に気軽に行ってみよう。


◆『ゴキブリ体操』

 手足の血行を促進、腰椎を矯正して腰痛の予防にも。寝起きに行えば自律神経が整ってすっきり起床でき、就寝前ならよい睡眠が。この運動で腹筋や腸腰筋、大腰筋、骨盤内腔にある筋肉が鍛えられると腹腔を覆うコルセットのような状態になり、体全体の脂肪代謝を促進する効果も。


【1】仰向けの状態でひざを立て、両腕を伸ばしたまま、頭上へ上げたり、下ろしたりを繰り返す。

【2】両手、両足をまっすぐ垂直に伸ばす。

【3】ひっくり返って足をバタつかせるゴキブリをイメージしながら両手、両足を動かす。初めはゆっくり、だんだん速く。頭を軽く持ち上げるとより効果的。


◆『ゴリラ体操』

中腰の姿勢で、ひざを曲げ伸ばししたり、ウエストをねじったりする。腹筋を中心に、足腰の筋肉、関節を一度に効率よく鍛えられる。ゴリラになったつもりで動いて。


【1】足を肩幅に広げ、へそ下をのぞくように腹に力を入れて前屈みに。ひざを軽く曲げ伸ばししたり、ウエストから左右に体をねじったりする。

【2】前かがみのゴリラスタイルのまま、両手をブラブラさせながら歩いてもOK。


◆『グラウンドスイミング』

 布団に寝た状態で、平泳ぎのように手足を動かす。股関節がやわらかくなり、アウターマッスルとインナーマッスルが両方鍛えられる。伸び伸びと水面を泳ぐイメージで気持ちよく動いて。


【1】クッションなどを敷いて腹ばいになり、平泳ぎの要領で両手、両足を回す。

【2】仰向けに寝て、両腕を頭上にまっすぐ伸ばし、平泳ぎの要領で両ひじ、両ひざを軽く曲げて弧を描くように回す。


◆『かかとバイバイ体操』

 足首の関節の柔軟性を高める運動。腰、太もも、ふくらはぎの筋肉も同時に鍛えられる。「いってらっしゃ〜い」と出掛ける人にバイバイするつもりで。テーブルや壁に片手をつき、もう一方の手は腰に。片足を一歩前に出してつま先を上げ、左右に振る。足をできるだけ前に出して中腰で行うと、さらに効果的。


◆『ブルブルこんにゃく体操』

 背中、背骨まわり、腰の筋肉をほぐし、体全体をリラックスさせる。股関節が伸びて姿勢もよくなる。振動でブルブル震えるこんにゃくになったつもりで。就寝前に行うと、安眠できる。


【1】足は肩幅に開いてまっすぐに、腕も伸ばしてテーブルに手をついて、お尻を左右に小刻みに振る。同じリズムで1分以上は続ける。

【2】四つんばいになり、同じく息を鼻から吸って、吐きながら全身を震わせる。



◆『お尻フリフリ体操』

 体幹を鍛えて、背骨にも適度な刺激を与える。全身の血行がよくなり、ストレッチ効果もあるので、ほかの運動の後に行うと効果的。足は肩幅に開いてまっすぐに、腕も伸ばしてテーブルに手をついて、お尻を左右に小刻みに振る。同じリズムで1分以上は続ける。


【Profile】

周東寛さん●昭和大学医学部卒。医学博士。日本内科学会認定医。昭和大学藤が丘病院呼吸器内科兼任講師。西洋医学に東洋医学を取り入れ、食事や運動指導、予防医学にも尽力。心身医学療法にも取り組み、認知症予防や中高年期の筋力作りも推進。


イラスト/やまなかゆうこ


※女性セブン2019年8月15日号

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