元国税芸人さんきゅう倉田の「役に立ちそうで立たない少し役に立つ金知識」 第111回 チェーンの居酒屋のコースって、人数分の料理が出ているかどうか曖昧だよね

8月7日(水)23時45分 マイナビニュース

元国税局職員さんきゅう倉田です。
好きな居酒屋は「ランチ営業でちゃんとレジを打つ居酒屋」です。

昔、居酒屋でアルバイトをしていました。日本中に店舗のある大手チェーンの居酒屋です。

その日も、いつものように17時に出勤し、仕事帰りの会社員や合コンをする若者たちに、アルコールを運んでいました。19時には、複数の予約が入っています。その中の10名の予約を、ぼくは担当することになっていました。

定刻に10名全員が揃い、ビールで乾杯し、枝豆とえびせんに手を伸ばす彼らは、どうやら大学生のようです。サークルや教授の話に華を咲かせ、時折、思い出したようにお酒の進みそうな掛け声を発し、ジョッキの中のビールを一息に飲み干していました。

彼らは、料理7品の2時間飲み放題、3000円コースを予約していました。「飲み放題3000円」という言葉を、座右の銘にしていそうな雰囲気をまとっています。

ぼくは、料理の消化具合を見て、次の料理をそつなく提供します。しかし、3品目の「サクサクからあげ」を提供したところで、異変に気づきます。大学生の人数が多い気がするのです。数えると、10人から13人に増えていました。

念の為、もう一度数え、伝票の客数を変更し、店長に伝えます。その後、90分でドリンクのラストオーダーを取り、2時間経ったところで、会計伝票を持っていき決済を促します。

そのとき、伝票を見ながら、幹事と思われる大学生が言いました。

「料理って、全部出てましたっけ?」
「出てると思うんですけど、確認します」

ぼくは、厨房とホールを繋ぐカウンターにいた店長に確認しました。

「店長、料理全部出てますか?って、13名のところのお客さんが言ってます」「出してるよ」
「じゃあ、ぼくの代わりに説明してもらえませんか」
「自分で説明できるだろ」
「いや、ぼくも料理出てないと思うんで」
「出してるだろ、7品、おまえ運んだだろ」

そう言いながら、店長は大学生たちのテーブルに向かいました。

「お客様、大変お待たせいたしました」
「あの、料理って全部出てますか?」
「出ております」
「ほんとに?」
「はい」
「お会計39000円なんですか?」
「13名様3000円のコースで承っております」
「13名分、料理出てるんですか?」
「お出しししてますよ」
「途中で人数増えたのに?」
「はい」

「俺ら、10名で予約してて、料理が3品出たところで、3人増えたんです。その後の料理が13人分出ている可能性はあるけど、その前の3品が遡って出なかったんで、料理は10名のままだと思うんですよ」
「はあ‥」
「俺らが13名に増えるのを超能力で予知して、最初から13名で料理出してたのならいいけど」
「いいえ」

「もう一度確認します。13名分の料理、出してたんですか?」
「10名分しかお出ししてませんでした」
「そうですよね。すると、会計が変わるはずです」
「分かりました。ただ、お酒はお飲みになってらっしゃるので、3名様分の飲み放題の分は支払っていただけますでしょうか?」
「もちろん払いますよ」

「それでは、10名分の30000円と3名様の飲み放題1000円×3で、33000円でよろしいでしょうか?」
「それはだめだよ」
「はい?」
「だって、嘘ついたじゃない。33000円が適正な金額なのに、嘘ついて39000円取ろうとしたじゃない。あなたが、6000円多く取ろうとしたんだから、ぼくらが6000円得してもいいはずなんで、33000円から6000円引いて、27000円にしてください」

店長は、不快感を隠すことなく、しかし、何も言い返せず、伝票を打ち直していました。

店長は嘘をつきました。嘘をついて、それがバレ、謝罪だけで済まそうなんて、考えが甘い。ミスならまだしも、嘘をついてはいけない。提供していない料理の代金を取ろうとするなんて、SNSが普及していたら、大事になっていたかもしれません。

ぼくは、厨房で苛立つ店長を見て、「この短絡的な27歳は、自分の愚かさに永遠に気づかないんだろうな」と思いながら、山盛りポテトをお盆に乗せました。

○さんきゅう倉田
芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。

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