子どもが自分の血を引いてなかった…離婚しても養育費は必要?

8月11日(金)22時40分 シェアしたくなる法律相談所

*画像はイメージです:https://pixta.jp/


夫婦で子どもを育てていたらふと「子どもが自分に全く似てない……?」などと疑問を持ち、DNA鑑定をしてみたら、自分の子どもではなかったというケースが意外にも結構な割合であるようです。


育てていた子どもが自分と血がつながっていなければ受けるショックは相当なものでしょうし、離婚を考えたくなっても当然かもしれません。


離婚する場合、基本的には収入に応じて養育費を払うことになりますが、この場合も養育費を払う必要があるのでしょうか? 解説していきたいと思います。


 


■子どもが自分の血を引いていなかった…離婚はできる?

自分の血を継いでいると思っていた子が、実は自分と血がつながっていなかったと夫が知った場合、妻に対する信用を失い、離婚を希望することもあると思います。


では、その場合に離婚できるかどうかですが、妻が離婚に応じれば、当然、離婚できます。


しかし、妻が離婚に応じない場合に、裁判所が離婚を認めるかどうかについては、確実に離婚が認められるとまではいいきれませんが、妻が婚姻期間中に不貞行為をしたことが明らかであれば、離婚が認められる可能性が大きいと考えられます。


また、妻が、他の男性の子どもであることを隠して「あなたの子どもよ」と虚偽の説明をしていたような場合は、そのこと自体が「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると判断され、離婚が認められる可能性もあります。


一方で、婚姻前に妻が他の男性と関係をもったことにより生まれた子であったが、妻も夫も、自分たちの子どもだと信じていたような場合等、妻に大きな非が認められないような場合は、離婚が認められない可能性もあると考えられます。


 


■こんなケースで離婚したら養育費は払う必要がある?

夫婦が離婚しても、親子関係に変わりはありません。そして、親子関係がある以上は養育費を支払う義務があります。


したがって、養育費の支払い義務を免れるためには、親子関係がないということを確定させる必要がある、ということになります。


親子関係がないことを確定するための手段としては、(1)嫡出否認の訴えと(2)親子関係不存在確認の訴えの2つがあり、主に子どもが生まれた時期によって使い分ける必要があります。


 


(1)嫡出否認の訴え

子どもが“婚姻の成立の日から200日を経過した後あるいは婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内”に出生した場合には、嫡出否認の訴えによらない限り、親子関係を否定できません。


婚姻期間中の性行為で生まれた子どもは、通常この場合に該当することが多いでしょう。この訴えは、訴えを提起できるのは夫だけという制限の他に、「子の出生を知った時から1年以内に提起しなければならない」という非常に厳しい制限があります。


したがって、1年を過ぎてしまって嫡出否認の訴えが提起できなくなると、理屈としては、もはや裁判で「その子は自分の子ではない」と認めてもらうことはできなくなります。


ただし、上記の期間(“婚姻の成立の日から200日を経過した後あるいは婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内”)に出生した子どもであっても、妻が妊娠した時に夫は海外赴任していた、服役していたといったように、夫の子どもではありえない外形的・客観的な事情がある場合は、夫は親子関係不存在確認の訴え(後述)を提起することが認められています。


これに勝訴すれば子どもとの親子関係を否定でき、制限の厳しい嫡出否認の訴えを使う必要はありません。


 


(2)親子関係不存在確認の訴え

“婚姻の成立の日から200日を経過した後あるいは婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内”に当てはまらない時期に出生した子ども(ex.離婚日から350日後に生まれた子ども)については、親子関係不存在確認の訴えで父子関係を争うことになります。


親子関係不存在確認の訴えは、“夫と子どもに親子関係がない”という点について、法律上利害関係を有する者なら誰でも訴えを提起できますし、出生を知ってから1年以内というような期間の制限もありません。


すなわち、嫡出否認の訴えに比べると、訴えを提起するための制限は緩やかです。


 


■判例のご紹介

嫡出否認の訴えを提起できなくなった後に夫の子ではないというDNA鑑定結果が出たという場合に、夫が親子関係不存在確認の訴えを提起したケースがあります。※1


最高裁は、結論としては、親子関係不存在確認の訴えを認めませんでした。


「法律上の父子関係が生物学上の父子関係と一致しない場合が生ずることになるが」、民法は「このような不一致が生ずることをも容認している」とも述べています(夫としては、そんな風に開き直られても困ると言いたくなるでしょうが……)。


結局、夫は、DNA鑑定で自分の子ではないと判明しているにもかかわらず、法律上の親子関係を否定することができなかったのです。


 


婚姻成立日から200日経過後あるいは婚姻解消日から300日以内というのはかなり広いため、子どもが生まれたのはこの期間中という場合がほとんどです。


子どもが自分の血を引いていなかったからということで妻と離婚できるとしても、1年の期間制限を過ぎてしまい嫡出否認の訴えを提起できず、したがって養育費だけは支払わなければならないということになってしまう可能性も高いです。


離婚についてはともかく、親子関係を否定したいなら悠長なことは言っていられませんので、注意しておく必要があります。


 


※1:最高裁平成26年7月17日判決


*著者:弁護士近藤美香(秋葉原よすが法律事務所。家事事件を専門的に取り扱い、500件以上の家事事件を取り扱った経験を持つ。JADP認定の夫婦カウンセラーの資格を保持している。)


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*cba / PIXTA(ピクスタ)

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