「ここにペコがいた事わすれないで」 37年の歴史に幕を閉じる三島駅の不二家。その店頭に掲げられたメッセージに反響「涙出た」

2020年8月12日(水)20時0分 Jタウンネット


JR三島駅(静岡県三島市)の構内にある「不二家 三島ステーション店」が2020年8月20日をもって閉店する。この場所で37年、通勤客や観光客を見守り続けた洋菓子店の幕引きに、ネット上では別れを惜しむ声が多く上がっている。

そんな中、ツイッター上で注目を集めているのが、店頭に置かれた不二家の看板娘・ペコちゃんからのメッセージだ。三島ステーション店のペコちゃんは、最後に何を伝えたかったのだろうか。

ペコちゃんからのメッセージは以下の通り。

「今日も頑張ってるみんなへ
37年間、毎日毎日みんなの頑張るすがたをここで見守ってきたけど、お別れの時がやって来ちゃった。ペコが来た時、子供だったみんなももう立派な大人になって、ペコの身長を追い抜いて行ったもんね。
本当はもっとみんなと一緒にいたかったけど...ずっ〜と一緒にいてくれた店長もだいぶ歳を取ったしね(笑)。私達『頑張ったよね!ゆっくり休もー』って言っちゃった
ペコはおうちにかえります。でも、ペコがここ三島駅にいた事みんなわすれないでほしいな
本当に本当に長い間ありがとね!暑い日も寒い日も雨の日も頑張るみんなを応援しているよ!
みんな元気でね〜本当にありがと!またね!!
ペコより」

メッセージはマスク姿のペコちゃんと並ぶように立てられている。綴られた文章からはペコちゃんの明るく元気な雰囲気が伝わってくるが、やはり閉店することへの寂しさは拭いきれない。ツイッターではこのメッセージが話題となり、

「ペコちゃんからのメッセージ読んだら不思議と鳥肌たったし涙出た...そんな...」
「三島駅のシンボルだったのにね」
「小中高ずっと三島だったので思い出たくさんあります・・・悲しい」
「37年営業するって本当に凄い事です ご苦労様でした」
「幼少時より見慣れた風景のひとつだった。お別れとなると寂しいな」

といった声が寄せられている。

「52年間、不二家一筋」

注目を集めたペコちゃんのメッセージだが、なぜこれを店頭に置くに至ったのだろうか。Jタウンネットは8月12日、三島ステーション店の代表・原田重利さん(72)を取材した。

「52年間、不二家一筋でやってきました」

取材に対し、明るく答える原田さん。もとも板前を目指していた原田さんだが、身内の事情でJR三島駅前にできる不二家のフランチャイズ店に勤めることになったという。

そこで15年勤めたのち、原田さんは駅構内で店を持つことに。三島ステーション店の代表を勤めて37年、計52年を不二家に捧げてきた。まさに不二家一筋の人生だが、その大事な店の閉店を決意するとは、いったいどんな事情があったのか。

「今年の1月頃、私も72になるし、体力的にもあれなので辞めようかという話が出ました。でも長男が継いでみようかという話になり、(閉店の件は)2月の初めごろに0に戻しました。あと半年〜1年頑張ったら継ぐ予定でいましたが、急遽コロナという最悪なものが来てしまって...」

店舗は駅の構内、しかも改札内にあるため、利用者は基本的に駅の利用者のみ。外出自粛などの影響で客が減り、平常時の1割ほどまでになってしまっていたという。

「(コロナの影響が)こんなに続くと思わなかったです。営業的にも難しくなったし、体力の問題もあるのでやめることを6月頃に決断しました」

長男がメッセージを制作

閉店のメッセージは、店を継ぐはずだった長男が、原田さんの誕生日に合わせて制作した。メッセージは7月下旬から店頭に置いているという。

原田さんはメッセージを見た時の感想を、

「核心をついているな、私の思っていることを言ってくれてるな、と思いました。やっぱり感動しましたよ。涙が出そうになりました」

と話す。不二家一筋で働き続けてきた原田さんの思いは、その姿をずっと見てきた人にしっかりと伝わっていたということだ。

また、新型コロナウイルスの影響で一時減っていた客足も、最近は回復傾向にあるとのこと。閉店の情報を聞きつけた人が、「閉店前に一度は」と訪れるそうだ。

半世紀以上にわたる原田さんの不二家人生はいったん終了となるわけだが、今後はどうする予定なのか。原田さんに聞くと、

「未知の世界ですよ、私だって。52年間、朝から晩まであまり休みも取らないでずっとやって来ましたので、どうしたらいいか分からないじゃない」

とのこと。まずはゆっくり、ペコちゃんと一休みしてほしい。


Jタウンネット

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