【法律相談】隠し子が相続で不当な要求 どう対処する?

8月19日(月)7時0分 NEWSポストセブン

隠し子との相続トラブルにどう対処?

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 仲が良い家族でも、相続ともなればモメるケースは少なくない。そこに隠し子が登場すれば、いよいよ話がこじれるのは必至だ。いきなり現われた親の隠し子が不当な要求をした場合、どう対処すべきか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。


【相談】

 父が20年前に死去。土地は私が、建物は母が相続して同居。その母も半年前に逝ったある日、「自分は隠し子だ」と主張する女性が母の遺産に家賃の上乗せ分を要求。つまり、母の建物に私が住んでいたのだから、母に支払うべきだった家賃分を相続にプラスしてほしい、と。こんな難癖は通じませんよね。


【回答】

 20年前に亡くなった、お父さんの遺産の土地は、相談者が相続済みで、今は半年前に死亡した、お母さんの相続が問題となります。


 女性がお父さんの隠し子というのなら、お母さんの子供ではなく、今度の相続に介入できません。また、本当であれば、20年前の遺産分割の当事者になったはず。そうでなかったとすれば、認知されていなかったことになります。


 死後3年を経過すると認知の請求ができず、相続人たる子にならないので、彼女はお父さんの相続を蒸し返せません。お母さんが、お父さんの隠し子を養子にしていれば、法定相続人になりますが、ありそうもないことです。


 お母さんの隠し子というのなら、お母さんの婚姻前の戸籍で確認できます。仮にそうだとして、この女性が家賃分の上乗せを要求しているのは「特別受益」のことです。


 共同相続人の中に遺贈を受けたり、婚姻、もしくは養子縁組のため、あるいは生計の資本として贈与を受けた者がいたときには、公平を期するために、その利益(「特別受益」)を実際の遺産に加算して法定相続分で分割、特別受益があった相続人は、計算上の相続分から、特別受益の額を控除して現実の分割をする考え方です。


 要するに、遺産の前渡し分を調整する制度といえます。例えば、アパートのように収入が期待できる建物に無償で住まわせていれば、管理人の役割と引き換えであるような場合を除き、生計の資本ともいえるでしょうが、被相続人が自宅に子供を無償で同居させるのは、一種の恩恵であって、生計の資本の前渡しとは言い難いでしょう。


 しかも同居することで、お母さんの面倒も日常的に見ていたはずであり、一方的な利益でもありません。よって「特別受益」には該当しない、との立場での交渉には、十分に理があると思います。


【プロフィール】竹下正己●1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。


※週刊ポスト2019年8月30日号

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