夏休み自由研究、なぜ子供達の間で「かぶり」が頻発するのか

8月21日(水)7時0分 NEWSポストセブン

室内で完結できる“キット”も人気

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 小学生の夏休みの宿題のなかでも、最も手間がかかる自由研究。昭和世代の大人は、アリの巣を作ったり、アサガオの観察日記をつけたり、電池とモーター、豆電球などを使った工作をしたりと、苦心した記憶が思い起こされるが、今やそうした場面はまったく様変わりしている。


 2020年度から、コンピュータに意図した動作をさせるためのプログラムを組む「プログラミング教育」が小学生に必修化される影響もあり、子供向けサイトで作成したプログラムを自由研究の作品として提出させる学校が増えているという。とある都内の公立小学校の教師によると、昨年はクラス25人中10人がプログラミングの自由研究を提出したという。


 2学期の最初の日に学校に行き、周りの子の自由研究を見て、“そんなやり方があったのか”と驚く──そうした場面も、年々減っているという。都内公立小学校の教諭はこういう。


「昨年はクラスの中で3人が、『水だんご』を提出してきた。これは水にアルギン酸ナトリウムと乳酸カルシウムを混ぜることで膜を作り、水を玉状にしたものです。中に入れるビーズやフィギュアなどの装飾こそ違いましたが……他にもまったく同じ木製工作を提出してきた生徒2人がいました」


 こうした“かぶり”が起きるのは、自由研究の“対策キット”が売られているからだ。


『東急ハンズ』では毎年夏に「自由研究」関連商品を展開し、キットを販売している。前述の「水だんご」も『触れる図鑑コレクション つかめる水』としてキットで販売されている。


「身近な『水』を題材に、不思議な体験ができるということで、2016年の発売以来、毎年、非常に人気を集めています。今年も自由研究工作キットでは2番人気です」(東急ハンズ広報)


 価格は税抜き1200円で、小学生でも1時間もあれば作ることができる。


 水だんごを除く1位から5位までの商品は、「ロッジ型の貯金箱」(1位)、「万年カレンダー」(3位)、「ビー玉迷路」(4位)、「スマートボール」(5位)で、すべて木工工作用キットである。いずれも1000〜2000円ほどで、家庭で用意するのは木工用ボンドと、着色用の絵の具だけ。


 木工工作は古くから自由研究の定番だったが、いまやノコギリを使う必要もなくなっている。


 子供は減ったが、そのぶん親たちが一人あたりにかける予算が増えたからか、自由研究は“市場”としてメーカーにとっても狙い目になっているようだ。教育事業を展開する企業がこぞって参入している。


 学研は「指紋採取」「ビタミンCの研究」「おいしい水の研究」など11種類から展開する『自由研究おたすけキット』を販売し、〈たった1日で自由研究はカンペキ!〉と謳っている。こちらも価格は1000円台が中心だ。


「こうしたキットが流行るのは、親に“手っ取り早く済ませたい”という気持ちがあるのだと思います。公園で見つけたダンゴムシを虫眼鏡で観察しながら1枚のスケッチにすれば、十分に立派な自由研究ですが、それに親が付き合うのは面倒ですし、成果物も地味に見えてしまう。それよりは説明書通りにできるキットを与えておけば、“カッコいい研究”をしたように見える」(教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏)


 流行の背景には、「親世代の変化」もあるようだ。


※週刊ポスト2019年8月30日号

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