天下一品で「こってり」と「あっさり」を同時に頼んでわかった天一のラーメンの新たな楽しみ方とは?

2022年8月21日(日)10時51分 食楽web


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 “こってり一筋”のキャッチフレーズでおなじみ『天下一品』(通称:天一)といえば、京都の総本店を皮切りに、現在では全国240店舗以上を展開する人気ラーメンチェーン店。麺にまったりと絡みつくあの高粘度のこってりスープに魅了され続けている天一ファンも多いのでは? そして、かくいう筆者もその一人です。

 天一のラーメンは、「こってり」スープ以外に、「あっさり」や「屋台の味」(こってりとあっさりの中間のスープ・通称:こっさり)を選べますが、筆者はいつも「こってり」一択。しかも、お店で「ラーメン、細麺で」とだけ伝えても、当然のように「こってり」が登場します。そう、天一ではお店側もお客さん側も「こってり」が当たり前。

 しかし最近、ふと疑問が湧いてきたのです。一体、「あっさり」ラーメンの存在意義は何なのだろうか? と。みなさんも考えたことありませんか? 筆者は10年ほど前に一度だけ食べたことがありますが、正直な話、ほとんど味の印象が残っていません。


天一は2022年で創業50年を迎えるそう。こってり、あっさり、屋台の味のスープ以外に、最近では味噌ラーメンも登場しています

「屋台の味」はまだわかります。これこそが天下一品の創業当時のスープで、こってりとあっさりの中間。だから“元祖”を味わう意味もあるし、「今日は、こってりよりやや軽めがいいな」という体調の時にも便利。でも、天下一品に行って「今日は、あっさり気分」というシチュエーションが果たしてあるのか。そもそも天下一品なのに…。あっさりしたものが食べたければ、ほかのラーメン店に行けばいいような気がしますよね。

 そこで、昔から天一に通いまくっている友人に「天一で“あっさり”って食べたことある?」と聞いてみたところ、「天一で“あっさり”を頼んでる人なんてほぼ見たことがない」と即答されました。それでも「本当だろうか?」と思って、ネットでさらに調査すると、天下一品の社長さんのコメントを発見。

 それによれば、来客の約7割が「こってり」を注文する、という談話を見つけました。つまり残りの3割は、「屋台の味」か「あっさり」、はたまた最近登場した「味噌ラーメン」を注文していることになります。


天下一品といえば、この「こってり」スープがたまりません

 さらに、調査を続けると、ネット上には「あっさりという名前だが、こってりに負けない濃厚なコクだ」と言う人や、はたまた「俺は誰に何と言われようがあっさり派だ」と宣言する原理主義者らしきツワモノもいることが判明しました。

 こうなると、もう一度、「あっさり」を食べてみたくなってきます。そこで、いつも通っている『天下一品 高円寺店』に行って、「あっさり」を体験してみることにしました。

あっさりを食べてみて改めてわかったこととは?


J R高円寺駅から徒歩3分の場所にある『天下一品 高円寺店』。都内の直営店は、ここと神楽坂店の2軒

 店の前に到着し、いつもの赤を基調した店を見て、パブロフの犬のようにこってり味が想起され、思わず喉が鳴りそうになります。でも今回は「今日は絶対に“あっさり”を頼むぞ!」と固い決意を胸に入店。席に案内され、改めてメニューを広げてみます。

 左面に定食メニューがずらり。天一の定食は、「ラーメンと唐揚げとご飯」、「ラーメンと豚キムチとご飯」、「ラーメンとホルモン野菜炒めとご飯な」などボリューム満点です。しかし、その写真を眺めていて気づいたんですが、定食セットの写真は、すべて「こってり」ラーメン。「あっさり」も「屋台の味」も選べるにもかかわらず、見本は全部「こってり」なんですね。


メニューには、「こってり」の写真が20以上も掲載されています

 数えてみると、メニューには「こってり」の画像が20以上も! この強力なサブリミナル効果のせいか、さっそく決意が揺らぎ始めます。やっぱり「こってり」が食べたくなってきました。そう、天一に来たら「こってり」がどうしても欲しくなるのです。でも、今日のミッションは「あっさり」を食べること。ならば2杯食べるか…。でもさすがに多すぎる…。

 しばし考えていて、いい方法を思いつきました。それは「選べる麺とサイズ」というサービスを利用する方法です。天下一品では、普通麺と細麺を選べるほか、大(1.5玉)、特大(2玉)、そしてミニ(半玉)をチョイスできるのです。


ミニサイズ「ちょこってり」とミニサイズラーメンの「あっさり」を注文すればどっちも食べられることに気づきました

 つまり、こってりのミニサイズ「ちょこってり」(790円)とミニサイズラーメンの「あっさり」(790円)の2つを注文しようという作戦です。麺が半玉なので、2つ頼んでも1杯分の量。胃にも負担がありません。ただ、この頼み方だと2つで1580円になり、少々お高くなりますが、渾身のスープを2つ味わうためなので致し方なし。

 というわけで、こってりとあっさりのミニサイズをダブルで注文。待つことしばし、登場したのがこちらです。


左が「ちょこってり」、右がミニサイズラーメンの「あっさり」(ともに790円)

 いつもの丼よりやや小さめの小丼に、こってりとあっさりが並びました。かわいい&妙に嬉しい。濃厚さマックスの「こってり」から食べると味がわからなくなりそうなので、まずは、濃い色のスープに背脂が浮かぶ「あっさり」から味わっていきます。


醤油の濃い色が特徴的な「あっさり」

 具材はチャーシュー、メンマ、青ネギ。スープを飲んでみると、鶏ガラスープをベースに野菜や背脂、ニンニクなどが溶け込んだ深いコク。色は濃くても醤油のトゲトゲしさはなく、とてもまろやかです。そして時折、一味の辛さをピリリと感じます。

「こってり」のような粘度はなくても、麺をすするとスープが適度にからみつきます。「こってり」には及ぶべくもありませんが、「あっさり」のスープも、そこそこ濃厚なコクや旨味をたたえていることがわかりました。


鶏ガラスープにまろやかな醤油と背脂の甘みを感じる「あっさり」のスープ

 続いて、「こってり」も食べてみます。ポタージュのようなとろみがあり、舌の上で旨味・甘み・コクがどんどんふくらみます。期待どおりの安定の美味しさなのですが、今日は「あっさり」のすぐ後に食べているので、より一層、濃厚さとどろどろ感が際立ちます。そして今度は、「こってり」と「あっさり」を交互に食べていくことに。


いつ食べても感激する「こってり」のポタージュのような濃厚スープ

 しかし食べ進めていくうちに、なぜか「あっさり」のほうに多く箸とレンゲが進むことに気づきました。我ながら「ウソでしょ?」と思ったのですが、「あっさり」を口にすると、妙に安心できるというか、ホッとする。つまり「あっさり」を2すすって、「こってり」を1すする。この比率がちょうどイイことに気づいたわけです。

 そのうち、さらにいいことを思いつきました。「こってりとあっさりを両方があるんだから、その中間の味を自分でいろいろ作ってみよう」とひらめいたのです。「あっさり」ラーメンに、「こってり」スープを少しずつ入れてみます。


自分でカスタマイズする「こってり」と「あっさり」の融合味

 こってりとあっさりの中間味である「屋台の味」(通称:こっさり)は食べたことがありますが、今回は、自分のさじ加減で自由自在に調節して自分好みの“あいがけ”を作れるのです!


自分で作った“こっさり”スープ

 というわけで、両方を注文した結果、「こってり」は唯一無二の味ではあるのですが、「あっさり」を食べてみると、その魅力もしっかり感じられました。「あっさり」と「こってり」。どちらか1つを決めるならば、今後もやっぱり「こってり」を選ぶとは思いますが、ダブルで注文する方法もかなり面白いです。2つの味だけでなく、第3の味も楽しめるうえ、胃もたれ感も少ないのです!

 お財布に余裕があるときには、ぜひ、このミニラーメン2つという食べ方も試してみてください。余談ですが、兵庫県にある『天下一品 三田店』には「三田スペシャル」というメニューがあり、それは、まさに「こってり」と「あっさり」がセットになっているそう。ぜひ、全国の天一でもこれを定番にしてもらえたら嬉しいな、と思った次第です。

(撮影・文◎土原亜子)

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