カジキ?こいぬ?台風の名前の決め方

8月22日(木)16時0分 おたくま経済新聞


 今年も多くの台風が日本を通過し、各地に被害をもたらしましたが、みなさんは台風の名前がどのように決められているか、ご存知でしょうか?警視庁警備部災害対策課の公式Twitterが解説しています。

 台風には、それぞれ名前が付いているというのは、みなさんもご存知だと思います。「アメリカで超大型のハリケーン『カトリーナ』が甚大な被害を……」などのニュースを、よく耳にしたのを覚えている人も多いのではないでしょうか。

 ちなみにアメリカでは、在マイアミ日本国総領事館「ハリケーンの基礎知識」(2019年5月6日)の資料によると、1953年以降、アメリカ国立ハリケーン・センターが大西洋海域の熱帯低気圧のうち、熱帯暴風雨(最大風速39mph以上)、またはそれ以上まで発達したものについて、発生順にA〜Wまでのアルファベット順に名前を付けているとのことです。

 台風やハリケーンに名前を付ける試みは、オーストラリアの気象学者クレメント・ウラッジ(Clement Wragge)が1887年から1907年にかけ、発生したハリケーンにギリシャ神話やローマ神話を題材にした女性名をギリシャのアルファベット順に付けたのが初期の例として知られています。その後、アメリカの作家ジョージ・スチュアートが1941年に発表した小説「ストーム」で、ウラッジの命名にヒントを得て、作中カリフォルニアを襲ったハリケーンに「マリア」という名前を付けました。

 この小説を読んだアメリカ陸軍航空隊(空軍の前身)や海軍が、作戦行動で注意しなければいけないハリケーンや台風に名前をつけて区別することを思いつきます。1944年にサイパン気象センターが開設されたことをきっかけに、そこに勤務する職員が自分や同僚の奥さんの名前や彼女の名前を非公式に付けるようになりました。1947年にアメリカ気象局(アメリカ海洋大気局の前身)が誕生すると、ハリケーン災害の危険を分かりやすく知らせるため、アルファベット順に人名を付けることを公式にスタート。現在に至っています。

 アメリカの気象庁に当たる海洋大気局(NOAA)によれば、現在は男性名と女性名が交互に付けられる規則になっているそうです。2019年は、大西洋側で発生したハリケーンには女性名のアンドレア(Andrea)、男性名のバリー(Bally)、の順。ハワイから東の北太平洋で発生したハリケーンには、男性名のアルヴィン(Alvin)、女性名のバーバラ(Barbara)という順で命名されています。

 男性名と女性名を交互に命名するのは、アメリカが太平洋と大西洋に挟まれていて、同じ性別の名前をアルファベット順に付けてしまうと。どっちの側にあるハリケーンだか区別がつかなくなるからのようです。2020年は大西洋側で男性名のアーサー(Arther)から、北太平洋東部は女性名のアマンダ(Amanda)から命名される予定です。ちなみにハワイ周辺の北大西洋中部で発生するサイクロンには、ハワイ語の名前がアルファベット順に付けられています。

 それでは、日本ではどのようになっているのでしょうか?警視庁警備部災害対策課の公式Twitterは8月22日、「台風の名前はアジアの14か国等が加盟する台風委員会で各国が提案し、あらかじめ用意した140個の名前から順番に付けています」とツイート。



 台風防災に関するアジア太平洋14か国が加盟する政府間組織、台風委員会では、2000年から台風に対してアメリカと同じように名前を付けるようになりました。その名前は、あらかじめ加盟各国から提出された140個の名前をアルファベット順に付けているとのこと。アメリカとは違って、その年最初に発生した台風から始まるのではなく、2000年最初に発生した台風から順番に命名されているので、台風の数字とアルファベットは連動していません。

 さらに、日本は星座から名前を提案しているそうで、「次に使用される日本提案名は『カジキ』で、順番的に台風第14号で使用されます」とのこと。この名前は28個ずつ5つのコラム(グループ)に分けられていて、カジキはコラムIIの19番目、全体47番目の名前です。

 え……カジキ?カジキ座?もっとメジャーな星座にした方がいいのでは……?と思ってしまいましたが、おそらくマイナーな星座にしなければいけない理由があるのでしょう(ネット上では「企業名や商標に使われていないものを選んだ」という情報も見られますが……)。

 その他に日本が星座から提案している名前は、気象庁のHPによると、こいぬ座、やぎ座、うさぎ座、かんむり座、くじら座、こぐま座、コンパス座、とかげ座、やまねこ座。台風の年間発生数の平年値は、25〜6個なので、概ね5年で140個の台風の名前が一巡するそうです。

 他の国はどうかというと、中国は「ウーコン(悟空)」や「フーシン(風神)」「ハイシェン(海神)」など伝説や民話に出てくる名前。フィリピンは「ハリクシ(速い)」や「マラカス(強い)」といった形容詞が多く見られます。中にはマカオの「バビンカ(プリン)」やタイの「ブアローイ(ココナッツから作られる温かいスープの中に紫イモ、人参、カボチャなどを使った白玉団子が入っているタイ伝統のスイーツ)」といったお菓子の名前も。個性豊かで面白いですね。

 それにしても、ニュースで「大型で非常に強い台風『こいぬ』が……」と言われても、なんか危機感が薄れてしまうような気がしなくもないですが、台風が接近した際は、じゅうぶん注意するようにしましょう。

<出典・引用>

在マイアミ日本国総領事館「ハリケーンの基礎知識」

アメリカ海洋大気局ハリケーン調査局「70th anniversary of women’s names used for typhoons」

アメリカ海洋大気局「Tropical Cyclone Naming」

アメリカ国立ハリケーンセンター「Tropical Cyclone Names」

気象庁「台風の番号の付け方と命名の方法」

警視庁警備部災害対策課(@MPD_bousai)

※画像は警視庁警備部災害対策課公式Twitter(@MPD_bousai)のスクリーンショットです。

(佐藤圭亮)

おたくま経済新聞

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