「体育倉庫のマットの上で“処理”させられて……」教師によるスクールセクハラ被害者たちが声をあげた!

8月23日(金)11時0分 文春オンライン

 その私立高校のホームページを開くと、笑顔を向ける男性美術教師の写真がある。


 田村千尋さん(仮名、28)は一瞥して「気持ち悪い」と口にし、目を背けた。


 彼女は高校生だった約10年前、当時30代後半だったこの教師から、下半身を触られるなどの性被害を継続的に受けていた。信頼していた教師から突然下着に手を入れられた際、混乱と恐怖で抵抗できなかったのが始まりだった。


言いなりになった自分を責め、うつ病に


「絵を描く資料にする」という理由で裸にされ、緊縛されて写真を撮られてもいる。後に、「写真は口止めの意味もありますよ」と言われた。


 田村さんは言いなりになった自分を責め、卒業後にうつ病になった。その教師は今も教壇に立っている。他の女子生徒とも性的接触があったようだ。田村さんは言う。


「すべてをぶちまけてやりたいと何度も考えました。でも、そのたびにリベンジポルノ的に写真を流出させられるかもしれないとよぎって怖くなるんです」



©iStock.com


 文部科学省によると、平成29年度に性的行為などで懲戒処分された公立小中高校などの教員は、210人。このように明るみに出るのは氷山の一角であり、さらに公的調査がない私立学校はこの数字に含まれておらず、実態も不明だ。


部活の顧問から毎日のように呼び出されて……


 こうした事案は、教師による児童生徒へのセクシュアル・ハラスメント、「スクールセクハラ」と総称される。スクールセクハラの被害者の苦しみは、被害の渦中にある時だけでなく、成人してからも長く続く。


 公立高校で被害に遭った小野香織さん(仮名、52)は、部活動の顧問だった男性教師を「鬼畜やね」と言い捨て、当時をこう振り返る。


「普通の真面目な高校生だったのに、毎日のように呼び出されては、体育倉庫のマットの上などで“処理”させられました」



 所属していた部活動は強豪で、顧問は絶対的存在。男性との交際経験も性経験もなかった小野さんは「部員としての義務、練習の一環だ」と考え、行為の最中は頭と体の感覚を切り離してやり過ごした。たびたび現場となったマットのそばには窓があり、顧問に「民家から見られたら通報される、伏せろ」と指示されてはレイプされた。卒業とともに接触は止んだ。「次のターゲットの子が出てきていたと感じます」と小野さんは語る。


 被害を明確に自覚した時には35歳になっていた。心療内科でPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断された。一方の顧問は、定年退職まで勤め上げ、今も子どもたちに関わる立場にある。



加害側には「指導に熱心な先生」と評判の教師も多い


 スクールセクハラの背景には、「指導し評価する者」と「教え子」という力関係がある。加害側は小児性愛者などがわいせつ目的で教師になったと推測されるケースもあるが、妻子がいて「指導に熱心な先生」と評判の教師も多い。その中には性によって子どもを支配し、それを「教育」であるかのように都合よく正当化するような教師さえいる。


「これは普通の行為で別に悪いことじゃないと君に繰り返し教えた」


「普通だから大丈夫や」


「絶対良くなるから、君のためだよ」


 これらは加害教師たちが被害者に教え諭すようにかけた言葉だ。「全く罪の意識がない」と後に悟ったという被害者がいたが、こうした教師を野放しにしておけば悲劇は繰り返されるばかりだろう。



スクールセクハラという性的虐待


「文藝春秋」9月号 では、「スクールセクハラ『犠牲者』たちの告発」と題し、被害に遭った20〜50代の男女5人の証言とともに、全国どこでも似通った事案が起こり続けているというスクールセクハラの特徴やその影響などを詳報している。


 スクールセクハラという語は、被害に遭った子どもが自分のされたことをどう言葉にしたらいいかわからない場合でも言い出しやすいようにと、被害者支援の目線で90年代から使われてきた。ただ、加害行為を見れば、その実態は教師による性的虐待だ。



 冒頭の田村さんは、自身の実感も込めて「どの子にも起こりうるし、どの学校でもありうること」だと語った。こういう問題があること、子どもを守るためにはどうしたらいいかを、彼女たちの告発から考えてもらえればと願う。



(秋山 千佳/文藝春秋 2019年9月号)

文春オンライン

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