がん早期発見 生活習慣やがんリスクに応じた検査の選択を

8月23日(金)7時0分 NEWSポストセブン

自分にあった検査とは

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 国立がん研究センターは8月8日、2009年から2010年にがんと診断された患者57万例を集計した最新の「5年生存率」を発表した。


 5年生存率とは、がんと診断された患者が5年後に生存している割合で、治療成果の目安となる。部位別(全期)にみると、5年生存率が最も高いのは前立腺がんの98.6%で、最低は膵臓がんの9.6%だった。


 生存率が低いがんは進行が早かったり、進行に気づかないケースが多い。ステージが進めば手術もより難しいものになりがちだ。


 医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が指摘する。


「近年では、肝臓がんは開腹手術ではなく、より負担が少ない腹腔鏡手術などを行なうケースが増えつつあります。しかし、それはあくまで“幸運にも早期で見つかったケース”の話。生存率が低い部位のがんの場合、見つかり次第、可能な限りがんを切除することが優先されます」


 そうした「切ったほうがいいがん」については、一刻も早い発見が求められる。全期の5年生存率が9.6%と、全がんの中で群を抜いて低い膵臓がんは、自覚症状がほとんどないうえ進行が早く、見つかった時は末期ということが多い。住吉内科・消化器内科クリニック院長の倉持章医師が指摘する。


「膵臓は胃の後ろに位置するため通常の腹部超音波(エコー)検査では病変を探しにくく、早期発見が難しい。しかし造影剤を用いたマルチスライスCT検査ならば多方向から観察でき、早期でもほぼ見つけられます」


 こうした厄介ながんは自治体のがん検診で見つからないことも多く、それぞれの部位に適した特別な検査を受ける必要がある。


「胃内視鏡検査(胃カメラ)を受ければ、胃がんだけでなく食道がんや重病につながる胃腸の病変を観察できます。またCT検査を行なえば、肺がんや膵臓がんのリスクが見つかりやすい」(倉持医師)


 肺、大腸、胃に続いて死亡者数の多いのが肝臓がんだ。肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれるように、がんが進行するまで自覚症状が現われず、発見が遅れがちだ。


「肝臓がんにかかる主な原因は『B型またはC型肝炎ウイルス』ということがわかっています。つまり、このウイルスに感染していないかを血液検査でチェックすることが、肝臓がんの予防に繋がるのです。


 また、早期発見のためには腹部超音波(エコー)検査も有効です。これは自治体の無料の健康診断には入っていません。2〜3年に1度でよいので、かかりつけ医に相談して受けるようにしたほうがよい」(倉持医師)


◆タバコや酒などの生活習慣に応じた検査を


 だが、これらの“早期発見できる検査”はコストがかかったり、肉体的にも負担が大きかったりする。これら全てを受けるわけにはいかないからこそ、それぞれの生活習慣やがんリスクに応じた検査を取捨選択する必要が出てくる。


「タバコを大量に吸う人は肺がん、お酒を大量に飲む人は肝臓がん、コップ一杯のビールで顔が赤くなるのに週に半分以上飲酒する人は食道がんのリスクが高い。また膵臓がんは家族歴が関係するとされるので、二親等以内に膵臓がんを経験した人がいれば詳しい検査を受けたほうがよいでしょう」(倉持医師)


 いまや、がんは誰もがかかりうる病気だ。「切る」が正解の時もあれば、「切らない」が幸せな人生につながることもある。いずれ来るかもしれない“そのとき”に冷静な判断ができるよう、最新の知見を把握しておきたい。


※週刊ポスト2019年8月30日号

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