ラーメン官僚が激推しする『三ん寅』の「味噌ラーメン」が旨い理由

2020年8月23日(日)10時50分 食楽web


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 2019年10月29日、東京メトロ有楽町線江戸川橋駅から徒歩2分程度という好立地に、『すみれ』という札幌味噌ラーメンの名店で17年間修業した店主が、満を持して1軒のラーメン専門店をオープンさせました。そのお店の屋号は『三ん寅』。

 さて、ここで店主の修業先である『すみれ』について、簡単に紹介します。『すみれ』は、北海道札幌市に本店を構える味噌ラーメンの全国的名店。豊かなコクと芳醇な香りを兼ね備えた濃厚味噌スープと、札幌ならではのハリのある中太縮れ麺のコラボレーションは、まさに味噌ラーメンの王道といった趣です。

 スープの表面を覆うラード油は、スープを保温する効果をいかんなく発揮し、食べ終わりまで、スープを熱々の状態に保ちます。『すみれ』の味噌ラーメンは、その桁違いの美味しさが評価され、お土産ラーメンやカップラーメンとしても幅広く提供されています。ラーメンがお好きな方であれば、一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。

 こんな名店で17年にわたって研鑽を重ねてきた店主が手掛けるラーメンは、きっと、超弩級にハイレベルであるに違いない!

 そんなシンプルな確信に基づき私は、『三ん寅』がオープンした当初から、時間を見つけては、同店に足を運んできました。

 そこで判明した事実。

 店主である菅原氏は、『すみれ』の味を踏襲することのみならず、さらにその一歩先を見据えて日々、提供するラーメンのブラッシュアップに励み、しかも、わずか数ヶ月の間に、その成果が着実に、ラーメンの味に反映されていることが判明。気が付けば、同じ店をあまりリピートしない私が、定期的に江戸川橋駅の改札に降り立つようになっていました。


駅の1b出口から交差点を渡り、2分程度歩みを進めれば、お店の前に辿り着くことができます

 大通りから少し中に入った道沿いに佇む、比較的こぢんまりとした外観のお店ですが、おそらく、店の前に連なる行列がちょうど良いランドマークの役割を果たしてくれるので、まず迷うことはないと思います(笑)。

 店頭に到着すると、道路に向けられたダクトから味噌の芳醇な香りが漂い、食べる前から容赦なく食欲を刺激してきます。掲げられた暖簾の左下には、修業元である『すみれ』のサインがあり。同店が『すみれ』の暖簾分け店舗であることを示す証ですね。

 続々と店内へと吸い込まれていく客の後に続き、いよいよ入店です!

味覚中枢を刺激する非の打ち所のない「味噌らーめん」

 券売機には、代表メニューである「味噌らーめん」のほか、「醤油らーめん」、「塩らーめん」のボタンがあり、それぞれ、赤、青、緑に色分けされています。

 デフォルトの各種ラーメンの画像が券売機に貼付されており、食べる前から、提供されるラーメンのイメージが把握できるようになっている点にも、好感が持てます。


「味噌らーめん」850円

『三ん寅』は「醤油らーめん」や「塩らーめん」も高水準なんですが、初訪問時におけるおススメは、やはり「味噌らーめん」!!

 待つこと数分。提供された同品は、卓上に供された瞬間から、丼から味覚中枢を歓喜で震わせる芳香が放たれ、この1杯が並大抵のラーメンではないことを実感させられます。

 店主は、20年以上前の昔の『すみれ』の味をベースとしつつ、修業によって獲得した自らのエッセンスを加えた1杯を目指しているとのこと。

 国産豚のゲンコツ等を15時間かけて弱火でじっくりと炊き上げ、炊き上げる途上で、さらに昆布・煮干し・サバ節・干し椎茸・香味野菜を加えたスープは、上品な甘みと柔らかなうま味を兼ね備えた白味噌と相まって、レンゲを持つ手の動きが止まらなくなる味わい。

 修業元の『すみれ』の白味噌をベースに、オリジナルの味噌を一つ加えていることも特筆すべきポイントです。

「味噌は、『すみれ』が札幌の酒造場に特注して作ってもらっている白味噌に加え、同じ酒造場で私が別途選んだ白味噌をブレンドしています」(菅原店主)。

 異なる2種類の白味噌を掛け合わせることで、口の中で味噌の風味が多段階に変化。味噌を支えるスープの素材感もくっきりと際立ちます。チャーシューの上に鎮座するおろし生姜が、スープに溶け出すにつれ、食味に清涼感を付与。まさに、寸分の隙もない構成となっています。

 こんなフルボディのスープの相棒役を務め上げるのが、本場札幌の名門製麺所『西山製麺』の中太縮れ麺。

 プリッとした麺肌とシコシコとした歯ざわりが心地良い、存在感のある一品。サイコロ状にカットされたチャーシュー、豚挽き肉を麺に絡めながらいただくと、メリハリのある食感が楽しめる仕掛け。スープとの相性も抜群です!

 現状、東京はもちろん、全国で提供される味噌ラーメンの最高峰の一角と言っても過言ではない1杯。

「これからも味をどんどん改良させ、お客さんが満足できる1杯を目指していきたい」と店主。オープンから数ヶ月の間で、既に驚異的な進化を遂げた同店。今後の動きからも、目が離せそうにありません。

店主(菅原章之氏)プロフィール

・店主は、北海道札幌生まれ。
・二十歳のときに中の島で食べた『すみれ』の味に惚れ込み、同店に弟子入り。
・以降、『すみれ』本店、同京都店(閉店)、新横浜ラーメン博物館店(正確には『すみれ』の生みの親に当たる『らーめんの駅』)で店長を歴任し、今般、満を持して『三ん寅』を創業。
・屋号である『三ん寅』は、店主が寅年の3月生まれであること、敬愛する鰻屋さんの大将から「屋号に『ん』の文字を入れると縁起が良い」とのアドバイスを受けたことによるもの。

●SHOP INFO

店名:三ん寅

住:東京都新宿区山吹町362 プレステージ362
TEL:03-6265-3989
営:11:00〜15:00(L.O)、17:30〜20:30(L.O) ※材料売り切れ次第終了あり
休:不定休

●著者プロフィール

田中一明
「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。

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