個別指導塾「労働環境」めぐり是正勧告——バイト講師「コマ給が問題の根幹」

8月25日(火)19時59分 弁護士ドットコム

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茨城県で個別指導塾を運営する会社に対して、土浦労働基準監督署がこのほど、アルバイト講師の労働環境について、労働基準法に違反しているとして是正勧告をおこなった。これを受けて、労基署に申告したアルバイト講師の大学院生が8月25日、東京・霞が関の厚生労働省で記者会見を開いた。



この是正勧告は8月7日付けで、(1)所定の労働時間を超える労働の有無など、労働条件が明示されていない、(2)6時間を超える労働に対して、45分の休憩が与えられていない、(3)午後10時以降働いたにもかかわらず、深夜割増の賃金を支払っていない、という内容だ。



大学院生は会見で、「ずっと、おかしいと思いながら働いてきた。違法行為があると認められたのは当然だと思う」と述べた。会見に同席した個別指導塾ユニオン事務局長の坂倉昇平氏は、この大学院生に関する是正勧告で触れられていない「コマ給」という制度をあげて、その問題点を指摘した。大学院生も「コマ給が問題の根幹」と語った。



●「授業時間以外に十分に賃金が支払われないことに疑問」


今回、是正勧告を受けたのは、茨城県を中心に個別指導塾「明光義塾」のフランチャイズ教室を展開する「株式会社ワールドオーエー」(水戸市)。大学院生は2010年9月ごろ、ワールドオーエーと契約して、講師のアルバイトを始めた。



坂倉氏によると、明光義塾をはじめとする個別指導塾のほとんどは、一コマ数十分の授業に対して賃金を支払う「コマ給」という仕組みをとっている。しかし、講師は授業をするだけでなく、その前後にプリント作りをしたり、報告書を書いたりしないといけない場合が多い。「その時間に対する賃金が十分に支払われないことがある」(坂倉氏)という。



大学院生が勤務する明光義塾の教室では、一コマ90分あたりの賃金が1600円だが、授業開始20分前に教室に入ることを義務付けていた。その分の特別手当として、大学院生には250円が支払われていたが、このような条件などに疑問を感じた大学院生は、今年2月にユニオンに相談した。



ユニオンは今年6月上旬、ワールドオーエーと、「明光義塾」を展開する「明光ネットワークジャパン」(東京都)に団体交渉を申し入れた。坂倉氏によると、これまで6月と7月の計2回、団体交渉をおこなったが、2社とも大学院生に対する違法行為を認めていなかったという。



●「コマ給はブラックアルバイトを広める装置になっている」


坂倉氏はこの日の会見で、「これまでユニオンに、個別指導塾の『コマ給』問題についての相談が多かった」「ブラックバイト全体の問題として、学生の責任が大きくなり、労働時間も長くなるという特徴がある」と述べた。そのうえで、「コマ給という制度が元凶だ」と強調した。



一方、大学院生に関する是正勧告で、労基署は「コマ給」そのものについては、判断していないという。会見後、弁護士ドットコムニュースの取材に、坂倉氏は「コマ給は、個別指導塾の業界全体でブラックアルバイトを広める装置になっている。学生に過大な責任や労働時間をもたらしている」と話していた。


(弁護士ドットコムニュース)

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