【医師監修】排卵が遅れる。考えられる原因と対策について

8月30日(金)18時29分 マイナビウーマン子育て

妊活中の人はもちろん、健康に毎日を過ごしたい人にとっても生理(月経)周期の乱れは心配の種ですね。排卵時期は基礎体温表などから大まかに予想可能ですが、年齢やストレスなどのほか、病気によっても遅れることがあります。ここでは、排卵が遅れる原因と対策についてみていきましょう。

この記事の監修ドクター 産婦人科専門医 齊藤英和先生 梅ヶ丘産婦人科勤務、国立成育医療研究センター臨床研究員、神戸元町夢クリニック顧問、浅田レディースクリニック顧問、近畿大学先端技術総合研究所客員教授、1 more baby 応援団理事、ウイメンズヘルスリテラシー協会理事。山形大学医学部卒業後、同大学、国立成育医療研究センターを経て現職。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖専門医、医学博士

排卵の遅れ⇒生理周期が乱れる

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排卵はどのようにして起こるのか

排卵がなぜ遅れるのかを考える前に、まずは排卵とは何かを考えてみましょう。

排卵とは卵胞から卵子が出てくることで、生理(月経)周期で起こる出来事の1つです。生理周期は、大きく「生理(医学では、月経と表記する)」「卵胞期(生理を含む)」「排卵」「黄体期」の4つに分かれています。

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まずは「卵胞期」。子宮の左右にある卵巣の中では卵子の入った袋=「卵胞」が育っていきます。

やがて卵胞から卵巣の外に、卵子が基本的には1つ排出されます。これが「排卵」です。この卵子は卵管を通って、子宮に移動します。

卵子が抜け出たあとの卵胞は「黄体」となります。黄体は女性ホルモン(プロゲステロン、エストロゲン)を分泌して、子宮内膜を厚くふかふかにし、受精卵の着床(妊娠)に備えます。これが起こるのが「黄体期」です。

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卵巣のなかで卵胞が育ち、排卵が起こる流れ(イメージ)

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排卵後2週間経っても受精して妊娠しない場合は、子宮内膜が剥がれ落ち、出血となって体の外に出ます。こうしてふたたび生理が起こるのです。

女性の体は25〜38日のサイクルで、この「卵胞期→排卵→黄体期→生理」を繰り返すようになっています。なお、排卵日とその前後はもっとも妊娠しやすい時期で、排卵日のころにセックスを1回すると、年齢にもよりますが平均して2〜3割は妊娠すると言われています[*1]。

排卵の時期を正確に知るのは難しい

妊娠を希望している女性ではとくに、正確に排卵日を知りたいという人は多いと思います。ただ、卵巣から飛び出す卵子の大きさはわずか0.1mmほど。中には排卵のころに出血する女性もいますが(排卵期出血)、こうした出血は量が少なく、一時的なものであることがほとんどだと言われています。

また、排卵日が近くなると、精子が入り込みやすくなるように、透明でよく伸びるおりものが多くなると言われています。でもおりものの状態にはもともと個人差がありますし、さらに下着やパンティライナーについたおりものからこうした変化に気づくのは容易ではありません。おりものだけを見て、排卵期を正確に知るのは難しいでしょう。

ただし、過去のいつごろに排卵していたかは、基礎体温表からぼんやりと読み取ることはできます(排卵している場合。後半でくわしく紹介しています)。

また、これから起こる排卵の時期を予測するときには排卵検査薬が利用できます(多くの製品で「次の生理が始まる予定日の17日前から1日1回/判定に悩む場合は2回」の使用を推奨しています)。不妊症などで通院している場合は、医療機関でより詳細な検査を行い、排卵日を推測することもできます。

生理周期の乱れで気づく、排卵の遅れ

このように、もともと基礎体温表を付けていたり、何回か排卵検査薬を使っていた人などでなければ、生理が遅れたことによってはじめて「もしかして排卵が遅れていた?」と気づくのではないでしょうか。

実は排卵が起こっている人の場合、排卵後に起こる黄体期の長さはほぼ一定で14日間となっています。これは「黄体」の寿命がおよそ14日間だからです(黄体の機能に問題がある場合を除く)。

つまり、生理周期に25〜38日の幅があるのは、基本的には「卵胞期(生理開始〜排卵まで)」の日数に11〜24日と個人差があるからです。

では、卵胞期の間、女性の体では何が起こっているのでしょうか。もう少しくわしく見ていきましょう。不要になった子宮内膜が生理によって剥がれ落ちたあと、脳の視床下部からの指令により下垂体で卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されます。卵胞刺激ホルモンは卵巣にある卵胞を刺激してエストロゲンを産生させるようになります。

エストロゲンの作用で、子宮内膜は次の排卵に備えてふたたび厚くなり始めます。その後、エストロゲンの分泌が最大量に増えると、今度は黄体形成ホルモン(LH)が一気に増えていき、その刺激によって排卵が起こります。

卵胞期の間に起こるこの過程が何かの影響を受けることで、排卵が遅れることになります。その原因については、次の項で紹介します。

排卵が遅れる・生理周期が乱れる原因とは?

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過度の運動やストレスが原因となることも

排卵の遅れは、病気になっていなくても起こることがあります。

たとえば仕事や人間関係の悩み、睡眠不足などの精神的なストレスが強いと、排卵が遅れて生理周期が乱れることがあります。それは前の項で紹介したように、卵胞期の出来事の最初のきっかけを起こす視床下部がストレスの影響を受けるからです。毎日激しい運動をしたり、急激にやせたり太ったりすることも同じように視床下部に影響して、排卵の遅れを引き起こすことがあります。

ただし、生理周期の乱れは、思いもよらない病気が原因となっていることもあります。

病気が原因の場合

排卵の遅れ・生理周期の乱れを引き起こす主な病気には、次の4つがあります。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

排卵を引き起こすホルモンのバランスが崩れて、排卵が起こりにくくなる病気です。卵胞がまったく育たないのではなく、排卵されない卵胞が卵巣内にいくつも育ってしまいます。

この病気になると排卵が遅れるだけでなく、排卵しないようにもなります。そのため生理不順だけでなく無月経が起こることもあり、血液の中の男性ホルモンや卵胞ホルモン(エストロン:エストロゲンの仲間)の濃度が高くなります。にきびや多毛、肥満が見られることもあります。

高プロラクチン血症

プロラクチンとは脳下垂体から分泌されるホルモンで、乳腺の発達を促したり母乳を分泌させる働きをします。また、排卵も抑制します。

高プロラクチン血症になると、このプロラクチンが授乳期間中ではないのに多く分泌されます。そのため、排卵が起こりにくくなることがあるのです。この病気の原因としては、脳下垂体の腫瘍、内分泌系の病気、服用中の薬の影響などがあげられます。

無排卵周期症(一部PCOSを含む)

「無排卵周期症」は生理のような出血はあるのに、排卵はしていない病気です。さきに紹介したとおり、日常生活ではなかなか排卵の有無に気づけないため、生理不順や不正出血などが起こって初めて排卵がないかもしれないことに気がつきます。この場合も生理周期が崩れやすく、生理期間も短すぎたり長すぎたりします。

アスリートのように激しい運動を続けていたり、ストレス、ダイエットによる体重減少などがあったりすると引き起こされます。また、PCOSや高プロラクチン血症により引き起こされることもあります。

黄体機能不全

黄体とは、卵巣から卵胞が排卵された後に一時的にできる組織です。この黄体は、受精卵が子宮内膜に着床したり、妊娠を維持するために重要な役割を果たします。

黄体がしっかりと働かないと、子宮内膜が十分に厚く育っていかなくなるため、不妊の原因になります。黄体機能不全では、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌される量が少ないため、黄体期が短くなって、生理の予定時期よりも早く出血が起こります(黄体機能不全では、卵胞の発育が悪く、排卵までに通常より時間がかかることもあります。この場合は生理周期自体は短くなりません)。

その他、子宮内膜症や子宮がんも、排卵の遅れや生理周期の乱れを引き起こします。

なお、日本人の女性の場合、排卵や生理がなくなり閉経を迎えるのは45〜56歳の間が多いのですが、まれに20歳台・30歳台の女性の中にも、卵巣機能が低下して排卵しなくなる「早発卵巣不全」が起こることがあります[*2]。いずれにしても、そのまま見過ごしていると、妊娠しにくくなったり妊娠できなくなる可能性があるのです。

排卵の遅れが起こりやすい年齢もある

排卵の遅れが起こっても珍しくない年齢もあります。思春期と更年期です。

17〜18歳ごろまでの思春期は、まだ体が大人になりきっていません。女の子の95%は15歳までに初潮が起こるとされていますが[*3]、その後も一時的に生理周期や排卵の遅れが見られることがあるのです。

とはいえ病気を見逃してしまったり、将来の不妊につながることがないように、思春期でも排卵の遅れや生理周期の乱れが見られたら、医療機関で一度チェックしてもらうのがおすすめです。

また、更年期になると今度は女性ホルモンが低下するために、生理周期が乱れたり、排卵が遅れることになります。更年期とは閉経を迎える10年くらい前、生理周期が不順になってきたころからを指すもので、閉経年齢の中央値は50.5歳[*4]とされているため、40歳を超えるころからと考えておくと良いですね。

なお、30代後半からのプレ更年期の時期にも、先にお伝えしたような「早発卵巣不全」を発症していなくても、女性ホルモンのバランスが崩れて生理不順や排卵の遅れが起こることは珍しくありません。

もしかして妊娠?

排卵や生理周期の遅れは、もちろん妊娠した時にも見られます。妊娠したかどうかは、市販の妊娠判定キットで可能性を確かめたり、産婦人科を受診することで確認してもらいます。

市販の妊娠判定キットには生理予定日の当日から検査できるものと、生理予定日の1週間後から検査できるものがあります。検査をするのが早すぎると、妊娠していても検査結果に出ないことがあります。使う前には必ず説明書をよく読みましょう。

なお、妊娠していたとしても子宮以外の場所に着床していることがあります。これは「異所性妊娠(子宮外妊娠)」という状態で、出産できないばかりか、着床した場所から少量の出血を起こしたり、破裂して大出血を起こすことがあります。

妊娠判定キットで陽性の反応が出たら、必ず産婦人科で診察を受けるようにしてくださいね。

排卵の遅れが疑われたらやっておきたいこと

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基礎体温表をチェックしてみよう

排卵が周期的に来ているかを自分でチェックするには、基礎体温表をつけるのがおすすめです。基礎体温表は、毎朝同じ時間に起きて、横になったままで計った基礎体温を記録した表です。体を起こすだけで体温は高くなってしまうのでので、起きたら動かずにすぐ測るのがポイントです。

生理がはじまり、卵胞が育ち排卵するまで(卵胞期)は、体温はやや低めです(低温相)。排卵し黄体期に入ると、体温は11〜16日の間、高くなります(高温相)。そして、生理がはじまると、体温は再び低くなります。

できるだけ毎朝、同じ時間に体温を測っていると、自分の生理周期の傾向がほぼわかるようになります。低温相と高温相の差が0.3℃以上あれば、排卵はしていると考えていいでしょう。また、体温が上昇する前日(体温がいったん下がるころ)あたりに排卵が起こっていると考えられています。

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病気を見過ごさないために受診する

今まで安定していたのに、急に生理周期が乱れたら、自分の生活をふり返ってみることも忘れずに。過度な運動やストレス、過激なダイエットなど、体に負担をかけていることがあれば見直すチャンスです。

1回だけでなく何回も生理が遅れるようであれば、体に何かが起こっていると考えられます。体の中で起こっていることは自分自身ではわかりません。痛みや不快感がなくても、前にあげたような病気が潜んでいることもあります。

明るい気分で毎日を送るためにも、放っておかずに婦人科もしくは産婦人科で相談するようにしましょう。受診の際は基礎体温表を持参します。

まとめ

排卵の時期含め生理周期は、過度な運動やストレス、ダイエットなど、生活習慣によって乱れることがあります。これまで安定していたのに急に生理不順になったという場合は、まず自身の生活を振り返り、見直してみましょう。

排卵が遅れたり無排卵を起こしている裏には何かしらの病気が隠れている可能性もあります。生理不順を放っておくと妊娠に影響を与える可能性もあります。

おかしいと感じたら、医療機関を受診して検査してもらうようにしましょう。

(文:大崎典子/監修:齊藤英和先生)

※画像はイメージです

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