【医師監修】揺さぶられっ子症候群はどんなことで起きる?原因と症状

8月31日(土)11時33分 マイナビウーマン子育て

揺さぶられっ子症候群という言葉を、皆さん一度は聞いたことがあるかと思います。なぜ、赤ちゃんを揺さぶってはいけないのでしょうか? 赤ちゃんをあやす時はどれくらい揺らしても大丈夫なのでしょうか? 今回は特に2歳以下の乳幼児の育児をしていく上でぜひ知っておいていただきたい、「揺さぶられっ子症候群」について解説します。

この記事の監修ドクター 産婦人科専門医 齊藤英和先生 梅ヶ丘産婦人科勤務、国立成育医療研究センター臨床研究員、神戸元町夢クリニック顧問、浅田レディースクリニック顧問、近畿大学先端技術総合研究所客員教授、1 more baby 応援団理事、ウイメンズヘルスリテラシー協会理事。山形大学医学部卒業後、同大学、国立成育医療研究センターを経て現職。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖専門医、医学博士

揺さぶられっ子症候群とは?

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揺さぶられ症候群とは、「激しく揺さぶることで、赤ちゃんの脳などが傷つき、様々な障害を引き起こしてしまう」ことをいいます。

欧米では「Shaken Baby Syndrome:SBS」と言われ、「揺さぶられっ子症候群」と訳されていますが、日本小児科学会では「乳幼児揺さぶられ症候群」としています。

医学的には「2歳以下の乳幼児」と定義されており[*1]、中でも生後半年ぐらいまでの時期は特に注意が必要です。

赤ちゃんは頭を支えきれないため、「揺さぶられる」ことに弱い

なぜ、揺さぶられることで乳幼児は揺さぶられっ子症候群を発症してしまうのでしょうか。

大人ならば、たとえ強く揺さぶられても首の筋肉が強いため、頭を支えることができますが、赤ちゃんは頭が大きくて重いのに首の筋肉は弱いものです。そのため、赤ちゃんを激しく揺さぶることで頭もさらに激しく揺れ動き、赤ちゃんの頭蓋骨と脳が何度もぶつかり、血管などが引きちぎられ、脳や目に深刻な損傷を引き起こします。

これによって、言語障害、学習障害、歩行困難、失明などの重い後遺症が、一時的ではなく将来的にも残る可能性があります[*2]。また、最悪の場合は赤ちゃんの命も失ってしまうのです。

揺さぶられっ子症候群の症状は?

揺さぶられっ子症候群の症状として、

〇急激、もしくはゆるやかに意識が低下する 〇呼吸のリズムが一定でなくなる〇手足をピンと伸ばした状態になる(除脳硬直) 〇活気がない〇食欲がなくなる、飲んでも吐いてしまう 〇起きてもすぐに寝てしまう(傾眠状態)

などがあります[*1][*3]。

そのため、万が一、お子さんを強く揺さぶってしまった後にこれらの症状が出てきた、または「いつもと違う」と感じる症状が現れた場合には、すぐに救急要請し医師の診断を受けてください。

揺さぶられっ子症候群はなぜ起きる?

ここまで主に、揺さぶられっ子症候群についてご紹介してきました。

記事を読み進める中で、「虐待するつもりは全くないけれど、自分のこれまでの揺さぶりも、何らかの影響を与えてしまっていたのではないか」と不安になってしまった人もいるかと思います。

実は虐待によって揺さぶられっ子症候群を発症してしまうケースの他にも、故意ではなく、むしろ好意的な行動によっても「揺さぶられっ子症候群」を発症してしまうリスクがあります。

ここからは、虐待ではなくても揺さぶられっ子症候群を発症するリスクについて解説します。

赤ちゃんが泣き止まない…

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揺さぶられっ子症候群の発症原因として「赤ちゃんが泣き止まないなどして、感情的に激しく揺さぶってしまう」ことが一番にあげられているため、「児童虐待」が主な発症原因とされています。また、虐待の中でも死に至る確率が高いとされています[*4]。

赤ちゃんには何をやっても泣き止まない時期があるとされています。あなたが悪いわけでは決してありません。そして、赤ちゃんが泣き止まないような時期がずっと続くわけではなく、いつかは治まってくるものです[*2]。

もし赤ちゃんが泣き止まず、自身の気持ちがイライラしてしまったら、一度赤ちゃんを安全な位置で寝かした上で少し赤ちゃんと距離を置き、自分の気持ちを落ち着かせてみましょう。深呼吸をしたり、両親や友人などと電話で話すのもストレスを感じている時に有効です。

「あやしている」のに揺さぶられっ子症候群は起きる?

ぐずっているときなど、あやすように赤ちゃんの体を揺らすということはよくあるかと思います。では、あやす時にどれくらい揺さぶってしまうと、揺さぶられっ子症候群を発症してしまうのでしょうか?

ある研究では「1秒間に3〜4回往復するほどの激しい揺さぶり」によって、頭蓋骨内に出血が起ることがわかっています[*5]。この揺さぶりは、外から見ると「そんなに揺さぶっては赤ちゃんが危険だ」と感じるほどの激しい揺さぶりで、普通にあやしているのとは明らかに異なる状態です。

ただし、「赤ちゃんを手から離すくらいの高い高い」など、一見すると赤ちゃんをあやしているような行為であっても、頭が激しく揺さぶられてしまうようなものだと、発症リスクがあるので注意が必要です。

揺さぶられっ子症候群を防ぐために

大切な我が子を揺さぶられっ子症候群を防ぐために、赤ちゃんの頭の中の脳は「ボウルの中の水にぷかぷか浮いているお豆腐」とイメージしていただけたらと思います。そして、ステンレスのボールを激しく揺らしてお豆腐を崩してしまわないように、普段から「頭を激しく揺さぶらないよう」に心がけることが大切です。

また、揺さぶることの危険性は、母親など主に育児を担う人だけが知っておけばいいものではありません。赤ちゃんに関わる家族全員が、赤ちゃんを揺さぶってしまうことの危険性を理解しましょう。

育児がつらい、泣き止まなくてイライラするなどがあっても、自分を責めることをせず、周囲の人や地域の保健センター、かかりつけの小児科医などに相談してください。

まとめ

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赤ちゃんは泣くもの・ぐずるもの。無理に泣き止まそうと、揺さぶるのは絶対にやめましょう。毎日の寝かしつけなどで赤ちゃんを揺らしている場合、「どれくらいのペースで揺らすといいのか」を知るために、赤ちゃん用具売り場などに展示されている「電動揺らし機」のリズムを参考にしたり、「1秒間に1回程度に揺らす」ことを目安にされるといいかと思います。ぜひ、赤ちゃんとの生活を楽しく、そして安全に過ごしていただけたらと思います。

(文:山村真子/監修:齊藤英和先生)

※画像はイメージです

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