関東大震災からの復興へ...希望与えた「震災イチョウ」 猛火の中を生き延びた「奇跡の木」は今ここに在る

2023年9月1日(金)8時0分 Jタウンネット

1923年9月1日午前11時58分、関東大震災が発生した。

内閣府のウェブサイトによると、大地震の規模はマグニチュード7.9。全壊・全焼した住家は約29万棟。死者・行方不明者は約10万5000人。明治以降の自然災害の中で、最大の犠牲者の数である。

この大災害から100年の節目を迎える直前——2023年8月31日、Jタウンネット記者は東京都千代田区のある場所を訪れた。

東京メトロ竹橋駅2番出口を出てすぐ、気象庁前交差点に面した大手濠緑地の隅に、1本の木が堂々と立っている。

その名を、「震災イチョウ」という。

何の変哲もないように見えるが、関東大震災を乗り越えた木なのだ。

震災イチョウから伝ってきたメッセージ

8月30日、記者が千代田区文化振興課文化財係担当者に取材したところ、震災イチョウは樹齢150年と推定される。元々は、旧・文部省の構内(現在のパレスサイドビル付近)にあった。

関東大震災に襲われ、旧・文部省があった地域一帯は焼け野原に。しかし、震災イチョウは奇跡的に生き延びた。

国民公園協会・皇居外苑のウェブサイトは、震災イチョウを「震災復興希望のシンボル」として紹介。木のすぐ下に立つ看板では、その由来が説明されている。現在の看板にはないが、2019年に立て替えられる以前は、

「このイチョウは当時の人々に復興への希望を与えました」

と記されていたようだ。

打ちひしがれた人々の希望の光となったイチョウは、震災の復興計画による区画整理事業の中で切り倒されることになっていたが、当時の中央気象台長の岡田武松氏がそれを惜しみ、復興局長官の清野長太郎氏に申し入れをして現在の場所に移されることに。記者が訪れた23年8月31日13時頃にはランナーやスーツ姿の人々が震災イチョウの周りで束の間の休息をとるなど、憩いの場になっていた。

大きなイチョウが作る木陰の中で、大災害を乗り換えたその姿をじっと見つめていると、困難な状況になっても必ず立ち直れる......そんなメッセージが聞こえてくるようだ。

Jタウンネット

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