「起訴の可能性かなり低い」堺市小3男児暴行死、両親「処分保留」で釈放の意味

9月3日(月)9時53分 弁護士ドットコム

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大阪府堺市の小学3年生が暴行により死亡した事件で、逮捕されていた両親が「処分保留」により釈放された。読売新聞(8月23日付)などの報道によれば、大阪地検堺支部は理由を明らかにしていない。両親は逮捕時「暴行を加えていない」と話していたという。


「処分保留」とはどういう判断か。また処分保留となった後も捜査が続き、改めて逮捕、起訴されることもあるのだろうか。元警察官僚で警視庁刑事の経験を有する澤井康生弁護士に聞いた。


●「勾留期間中に起訴しないときには直ちに釈放」

「通常、刑事事件で逮捕、勾留された場合、勾留期間満了時に担当検察官が起訴するか不起訴とするかの処分を決定することになります。


しかしながら、勾留期間中の取り調べで被疑者が否認するなどして自白が得られず、自宅や犯行現場を家宅捜索しても何も証拠が出てこないような場合には、そのような状態で起訴はできません。


刑事訴訟法208条は、勾留期間中に被疑者を起訴しないときは直ちに釈放しなければならないと規定しています」


起訴せずに釈放した今回のような事例は、不起訴が確定したと考えてよいのだろうか。


「釈放したからといって自動的に不起訴処分になるわけではありません。処分保留での釈放とは、起訴か不起訴とするかの処分をとりあえず保留にしたにすぎません。


釈放後の在宅事件としての捜査により、被疑者を起訴できるだけの新たな証拠が発見されれば(例えば新たな目撃者や防犯カメラの映像が見つかったとか、今まで見落としていた証拠が発見されたとか)、在宅事件のまま、あるいは再逮捕・再勾留して起訴することもできます。


しかしながら、もともと捜査機関は逮捕前に家宅捜索を含めた十分な周辺捜査を行った上で逮捕するものです。逮捕勾留期間中に起訴できるだけの十分な証拠が得られなかった場合は、処分保留後の追加捜査で新たな証拠が発見されるケースはほとんどありません。


したがって、処分保留で釈放された後、あらためて逮捕、起訴されることは理論上はありえるものの、実際にはあまりありません」


(弁護士ドットコムニュース)


【取材協力弁護士】
澤井 康生(さわい・やすお)弁護士
元警察官僚、警視庁刑事を経て旧司法試験合格。弁護士でありながらMBAも取得し現在は企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所の非常勤裁判官、東京税理士会のインハウスロイヤー(非常勤)も歴任、公認不正検査士の資格も有し企業不祥事が起きた場合の第三者委員会の経験も豊富、その他各新聞での有識者コメント、テレビ・ラジオ等の出演も多く幅広い分野で活躍。現在、朝日新聞社ウェブサイトtelling「HELP ME 弁護士センセイ」連載。東京、大阪に拠点を有する弁護士法人海星事務所のパートナー。代表著書「捜査本部というすごい仕組み」(マイナビ新書)など。
事務所名:弁護士法人海星事務所東京事務所
事務所URL:http://www.kaisei-gr.jp/partners.html

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