人間の脳は最大11次元の構造を作り上げることができる。スイスの科学者がその証拠を発見

9月4日(水)20時30分 カラパイア

psychedelic-769467_640_e
Image by Okan Caliskan from Pixabay

 古典的な数学を応用することで、脳の構造を観察するまったく新しい方法が考案された。それによると、脳は最大11次元で稼働する多次元幾何学的構造なのだとか。

 「想像だにしなかった世界が見つかってしまいました」とスイス連邦工科大学ローザンヌ校の神経科学者アンリ・マークラム氏は当時コメントしている。

 「脳の小さな断片ですら、こうした物体が数千も7次元を超えて存在していたのです。一部のネットワークでは11次元構造すら見つかりました。」

 人は世界を3次元の空間としてとらえる生き物だ。4次元空間でさえまともに想像できないのに、突然11次元と告げられても、何のことやらまるで理解がついていかない。いったいどういうことなのか?
・高次元幾何学物体としての脳

 この数学的脳モデルは、スーパーコンピューターでヒト脳を再現しようという計画「ブルー・ブレイン・プロジェクト」の研究チームによって作られた。

 研究チームは、「代数的位相幾何学」という形状の変化とは無関係に物体と空間の特性を記述できる数学を応用することで、神経細胞グループはクリーク(密集した神経細胞の集団)として結合していることを突き止めた。そして、クリークの神経細胞の数は高次元幾何学物体としてのサイズと関係しているという。

 そう言われても、一向に考えがまとまってくれないのは、自分の頭の中にある脳が11次元という複雑怪奇な構造であるからなのだろうか?

system-2660914_640_e
mage by Gerd Altmann from Pixabay

・ノードグループの大きさ = 次元

 念のためはっきりさせておくと、11次元とはいっても物理的な空間のことを指しているわけではない。ここでの次元とは、神経細胞クリークの結合具合について言及したものだ。

 『Frontiers in Computational Neuroscience』(2017年6月12日付)に掲載された論文ではこう説明されている。

 「ネットワークは、クリークというすべてが結合しあったノードグループの観点から解析される。クリークの神経細胞の数はその大きさを決める。より形式的に言うなら、次元を決める。」

1_e0
脳ネットワーク(l)とトポロジー(r)の概念図
image credit:Blue Brain Project

・神経細胞ネットワークの数学的モデル

 人間の脳は860億もの神経細胞を持つと推定されている。各々の神経細胞はありとあらゆる方向に網の目のように結合し、思考と意識を生じさせる広大な細胞のネットワークを構築する。

 その特徴を模した数学的脳モデルに仮想刺激を与えてみたところ、ラットの本物の脳組織と同じ結果が再現されたそうだ。

 未だ完全な理解にはいたっていない膨大な神経ネットワークを持つ脳であるが、この数学的モデルの登場によって、コンピューター上のデジタル脳モデルの完成に一歩前進できたとのことだ。


・多次元にまたがる創造と破壊のプロセス

 研究チームによれば、代数的位相幾何学は神経ネットワークを個別の神経細胞レベルでも、脳全体レベルでも詳細に調べられる数学的ツールで、いわば顕微鏡と望遠鏡の役割を同時に果たすことができるのだそうだ。

 微視的視点と巨視的視点とのふたつを組み合わせることで、神経細胞が密集するクリークとその隙間にある何もないキャビティとで構成される、脳の高次元構造が見出された。

 何もない空間であっても、キャビティもまた脳が機能するためには決定的に重要であるという。数学モデルに仮想刺激を与えてみたところ、神経細胞はきわめて秩序立って反応していた。

 その様子は、棒(1次元)から始まり、板(2次元)、立方体(3次元)、さらに複雑な図形(4次元、5次元など)へと続く多次元ブロックに、塔を建てては破壊しているかのような反応だったそうだ。

 「脳内の活動の進行は、砂で作って分解される多次元の砂の城のようでした」とスコットランド、アバディーン大学の数学者ラン・レヴィ氏は話す。

iStock-1129515493_e
Image by metamorworks/iStock

・脳の11次元と時空の11次元

 研究チームが脳が情報処理する方法について新しい図式が登場したと評する一方で、どのようなメカニズムでこの特徴的なクリークとキャビティが形成されるのかは定かではない。

 この宇宙に存在する力の挙動をすべて説明しうるとして、究極の物理理論と期待されるのが超弦理論だ。これを統合するとされるM理論によると、この世は11次元で成り立っているのだそうで、奇しくも脳の11次元と一致する。

 はたして、これは偶然の一致なのか? それとも必然なのか?

 素人の目には脳のメカニズムの解明に近づいたというよりも、その理解不能さがひとつ明らかになっただけのようにも思える。

References:Scientists Find Evidence The Human Brain Can Create Structures in Up to 11 Dimensions/ written by hiroching / edited by parumo

カラパイア

「スイス」をもっと詳しく

「スイス」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ