史上初、水中での量子テレポーテーションに成功

9月7日(木)9時0分 カラパイア

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 中国の科学者は海水の中でもつれた粒子間の情報送信に成功した。この種の量子通信としては史上初の快挙だ。
 
 情報は海水が入った3.3メートルの水槽の中で送信された。同じ技術を用いれば、海で900メートル近い距離のハッキング不可能な通信を行えるそうだ。例えば、潜水艦同士の通信などでの応用が考えられる。

【量子テレポーテーションと量子のもつれ】

 量子テレポーテーションとも呼ばれる量子通信は、物理法則によって通信を傍受しようとする企てからセキュリティを保つ。それは究極の暗号である。

 その基礎にあるのは、かのアインシュタインが「不気味な遠隔作用」と評した量子もつれだ。量子もつれとは、2つの粒子が表裏一体であり、一方に生じたことがその距離にかかわりなく他方に伝わる性質のことである。

 この原理を応用して、すでに光ファイバーや宇宙空間における長距離間の情報の”テレポート”に成功している。今年初め、中国の研究チームが地上から500キロ上空を周回している人工衛星に情報をテレポートさせた。

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【水中で初となる量子テレポーテーション】

 しかし、これまで同じことが水中で試みられたことはなかった。水中にはビームが拡散されてしまうという難しさがあるからだ。空気中のレーザーポインターを水に向ける場面を想像してもらえばいい。

 今回の実験で、上海交通大学の研究チームは黄海から海水を採取し、それを実験室内に設けられた3メートルの水槽に入れた。

 次にクリスタルを通じて光のビームを照射し、もつれた光子のペアを作成。一方の光子が偏向すると、他方は必ず逆の偏向をことになる。

 粒子は水槽の両端に設置され、両者の間は海水で満たされていたが、98パーセントの精度で情報の通信が行われたことが示された。
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【実験はまだはじまったばかり】

 こうした研究はまだ初期段階にある。今回の実験結果の再現性が他の専門家によって確認される必要があることは言うまでもないが、より長距離間の通信や海水で満たさなかった場合の通信が可能であるかもまだ不明なままだ。

 しかし研究チームの計算からは、海においても885メートルまで量子通信が可能であると予測されている(一方、『New Scientist』のレポートでは、120メートルという計算結果もある)。

 水中において量子通信が可能な距離については、今後の調査が待たれる。しかしひとまず、それが可能であることが実証された。その限界が押し上げられるのも時間の問題だ。

 研究は『The Optical Society』に掲載された。

via:newscientist / sciencealertなど/ translated by hiroching / edited by parumo

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