ワインでわかる地球温暖化。6世紀以上にわたるブドウ収穫記録から1988年以降の急激な気候変動が明らかに(フランス)

9月7日(土)16時30分 カラパイア

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PhotoMIX-Company/pixabay

 近年、人の手によって作物の生育環境が改良されるケースは少なくないが、やはり作物が育つには自然の恩恵が欠かせない。

 洪水や乾燥が続くと、作物の収穫に大きな影響が出る。気候の変化に左右されやすい繊細な作物の栽培は、より注意が必要だ。

 ここ数十年、ワイン大国フランスは、地球温暖化に伴うブドウの品質の劣化が確認されているという。ブドウは気候の変化に敏感なため、気温上昇によってその風味が落ち、高品質のワイン生産レベルが落ちてしまうのだ。

 今回、研究者たちは6世紀半以上にわたるブドウの収穫に関する記録を公開し、気候変動が顕著に示された事実に驚きを露わにした。
・過去664年分のブドウの収穫記録を公開

 フランス・ブルゴーニュ大学のトーマス・ラベー博士とスイス・ベルン大学のクリスチャン・フィスター教授は、東部ボーヌ周辺のブドウの収穫を調査するために、1354年に始まった史上最長とされるブドウ収穫日の記録を発表した。

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image credit: Archives Departementales de la Cote d’Or, 2918/24, Thomas Labbe

 それは、ブドウの収穫者が直接書き留めたものや、彼らへの支払い明細記録、また評議会や新聞紙面での報告などを含む毎年の収穫のタイミングが詳細に記された、実に664年という長きにわたる記録であった。

 ラベー博士は、それらの収穫日を地元の気温記録と比較することで、暑く乾燥した夏のブドウは涼しく湿ったそれよりも早く収穫されることに気付いた。

 博士が発表した声明文によると、600年以上の間、ブドウの平均収穫日は9月28日だった。しかし、1988年以降の平均収穫日は9月15日になっており、約2週間早くなっていた。

1980年半ば以降の温暖化の加速傾向が、ブドウの収穫記録によってこれほど明確に際立つとは予想していなかった。これらの記録を見る限り、1988年以降30年間の地球温暖化による例外的な特徴は、誰の目に見ても明らかだ。(フィスター教授)

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・気温上昇はワインの質に大きな影響を与える

 ワインの有名産地として地球温暖化の影響を受けているのは、もちろんフランスだけではない。西ヨーロッパ全体の気候の変化が、近年前例のないものとなっている。

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 しかし特に、ワインの産地として名高いフランスでは、温暖化により気温上昇が続けば、ブドウの収穫に大きな打撃を与え、高品質のワイン生産が困難になる可能性あると懸念されている。

 繊細なブドウは、気温が上がると酸味が落ち、糖度が増す。すると、発酵によるアルコール度数が上がり、ワイン全体の風味に大きく影響を及ぼすことになってしまう。ブドウ栽培は、気候と密接に関連しているのだ。

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jackmac34/pixabay

 近い将来、地球温暖化への対応としては、これまでブドウ栽培を一般化していなかった場所や国での生産がなされる可能性もあるようで、ワイン好きなら気になるところだろう。


・「ブドウの収穫日は気候の研究に適用できる」と研究者

 今回の研究でラベー博士らは、ワインの収穫日が早まっていることが、地球温暖化が既に30年も続いているという更なる証拠になることを示唆しており、気候と降雨に非常に敏感なブドウの収穫日を、気候の研究の代用として十分使用できると述べている。

 一方で、気候科学者らは地球温暖化など地球全体を示す状況においては、単独の場所を例に挙げることにしばしば警告を促している。というのも、地域の栽培状況は様々な要因により変化するからだ。

 だが、ラベー博士が今回発表したものは、長期にわたる気候記録の情報源として研究に使用される、年輪や氷床コア石筍(せきじゅん)などといった間接的測定よりもはるかに正確であるとされている。

 この研究論文は、8月29日に情報サイト『Climate of the Past』で発表された。

References:iflscience.comなど / written by Scarlet / edited by parumo

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