加山雄三も苦しんだ誤嚥 ペットボトルのラッパ飲みに注意

9月7日(月)16時5分 NEWSポストセブン

一歩間違えると死のリスクが

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“若大将”があわやの事態に見舞われた。8月29日夜、加山雄三(83)は自宅で水分補給のために水を飲んだ直後、激しくむせかえって嘔吐を繰り返し、妻が119番。都内の病院に救急搬送され、そのまま入院した。


 加山を襲ったのは、食べ物や飲み物が気管に入り込む「誤嚥」だった。


 事務所は9月2日、咳き込んだ際に軽度の小脳出血を起こしていたことを報告。現在、症状は安定し、会話もできる状況だとしており、〈トレーニングしたあとの水がうまくてさ、がぶ飲みしちゃったんだよな。年相応の飲み方をしなきゃね…〉という加山のコメントも合わせて発表された。


深酒するとむせる


 誤嚥に詳しい西山耳鼻咽喉科医院理事長の西山耕一郎医師が語る。


「誤嚥は、年齢とともに喉の嚥下(物を飲み込む)機能が衰えることで起こります。この時、食べ物や飲み物と一緒に口腔内の雑菌が肺に入り、誤嚥性肺炎を引き起こすこともある。


 加山さんはむせるだけでなく嘔吐を繰り返したそうですが、誤嚥した時に気管から異物を吐き出そうとして嘔吐することは珍しくなく、この際、吐瀉物が肺に入ることで窒息のリスクも高まります。加山さんのように脳出血に至るケースは稀ですが、脳に強い圧力を受けるほどむせかえったということでしょう」


 東京消防庁の統計によれば、2018年の1年間で8436人が誤嚥や誤飲など「のどの詰まり」で救急搬送されている。


「現在、高齢者(65歳以上)の死因の第4位は肺炎で、うち7割が誤嚥性肺炎と言われています」


 西山医師によれば、誤嚥は食べ物よりも「飲み物」で起こりやすいという。


「喉は普段、呼吸をするために気道へと通じていますが、飲食物を飲み込む瞬間だけ気道のフタを閉じ、食道が開く。飲み物は喉を素早く通過するため、一瞬でも気道のフタを閉じるタイミングが遅れると誤嚥してしまう。とくに液体は固形物に比べてスルスルと喉を通るうえ嚥下中に小さな雫となるので、気管に入りやすいのです」


 さらに飲み物のなかにも、誤嚥しやすいものがある。


「一番誤嚥しやすいのが普通の冷たい水。一気に飲めてしまうからです。逆に白湯やお茶など温かいものは、一口ずつ飲むことが多く、水に比べて誤嚥しにくい。炭酸飲料も刺激が強く一気飲みしないという点で、水より誤嚥のリスクは低くなる。


 一方でお酒は筋肉を弛緩させ、神経伝達を遅らせるので、誤嚥を招きやすい。実際、お酒好きの高齢者の中で、深酒するとむせるかたは散見されます。個人的にすすめるのはスムージーやヨーグルト系の、とろみのある飲料です。こうした飲料は誤嚥しにくいことが分かっています」(西山医師)


「ラッパ飲み」は厳禁


 残暑厳しいこの季節、「水分補給は白湯かスムージーで」というのはさすがに現実的ではないかもしれない。安全に水を飲むためには、どんな点に注意すればいいのか。


「一番やってはいけないのが、ペットボトルのラッパ飲みです。上を向いて水を一気に飲もうとすると、嚥下処理能力を超えてしまい、気管に入りやすくなる。コップで飲むほうが上を向くことがないため安全です。少量を口の中に入れて、軽くお辞儀をするように下を向いて、一口ずつ飲み込むように意識しましょう。背筋を伸ばすのもポイントです」(同前)


 毎食後に高血圧など持病の薬(錠剤)を服用する際も、水は「少量でゆっくり」を心がけたい。ゼリーなどを混ぜて水にとろみをつけるのも有効だという。


「口腔から喉にかけて、水分が小さな雫になりにくくなります」(同前)


 高齢者が一日に必要な水分摂取量は1.5リットルとされる。


「誤嚥を恐れて水を飲まなくなるのは避けましょう。脱水症にならないよう、正しい飲み方を知り、適切な水分補給を怠らないようにしてください」(同前)


 万一、誤嚥した際に、周囲の人がやってはいけない行動もある。


「よくやってしまうのが、背中をトントンと叩くことです。これにより気管に入った水が肺に入ってしまう。むせかえっている人に水やお茶を飲ませるのもNG。誤嚥を加速させるだけです。


 正しい対処法は、まず座った状態で上半身を前方へ倒し、気管を水平にして咳をさせること。この状態なら背中を叩いても大丈夫。気管に入った水を吐き出しやすくなります」(同前)


※週刊ポスト2020年9月18・25日号

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