目に注入すると暗闇が見えるようになるナノ粒子を開発中(米研究)

9月10日(火)9時30分 カラパイア

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 夜空に広がる宇宙は、本当は私たちの目に見えているものとはまるで違った姿をしているのかもしれない。なぜって、人間の目で見ることができる光は限られた範囲のものでしかないからだ。

 でももしかしたら、近い将来、裸眼であっても赤外線をとらえて、これまではわからなかった宇宙の表情を観察したり、かさばる暗視ゴーグルなしでも暗闇を見通せたりできるようになるかもしれない。

 アメリカ化学会の秋季学会で米マサチューセッツ大学医学部のハン・ガン氏らが、研究を続けているアップコンバージョン・ナノ粒子(UCNP)に関する進捗状況を発表した。

 普通は見えない近赤外線が見えるようになるという技術らしく、医療やさまざまな分野での活用に期待が寄せられているようだ。
・人間など哺乳類が裸眼ではとらえられない近赤外線光の波長


Nanoparticles could someday give humans built-in night vision

 人間をはじめとする哺乳類の目は、400〜700nm(ナノメートル)の波長の範囲の光をとらえることができる。しかし近赤外線光の波長は750〜1400nmであるため、裸眼には見えない。

 赤外線ゴーグルは、近赤外線光を可視光の波長に変換することで、裸眼には見えない光を見えるようにする。

 これを着用した姿はかなりカッコいいのだが、大きくてかさばるので、そのスタイルが大好きというのでなければ、できればなしで済ませたいところだ。

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・大きくてかさばるゴーグルなしで近赤外線が見えるようになる!?

 そこで、ハン氏らが研究しているアップコンバージョン・ナノ粒子(UCNP)の出番だ。

 この粒子は近赤外線を可視光にアップコンバージョン(高い周波数に変換する)することが可能で、低エネルギーのフォトンを高エネルギーの緑光に変えてくれる。

 つまり、普通は見えない近赤外線が見えるようになるのだ。

 ハン氏は、

宇宙を見渡しても、私たちには可視光しか見えない。でももし近赤外線が見えるとしたら、今まで見たこともない宇宙の姿を目にできるだろう

とニュースリリースで述べている。

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・マウスの目に注入する実験

 ハン氏らは、レアアース金属から作られたこのナノ粒子を、マウスの目の網膜の真後ろに注入。一連の生理・行動テストから、ナノ粒子によって夜目が利いていることを確認した。

 たとえば、プールに入れたマウスを、可視光の明かりに向かって泳ぐよう訓練したテストがある。

 明かりの形状は三角と丸の2種類がある。三角の明かりのところは浅くなっており、プールから脱出することができる。しかし丸の場合、深さに変化はなく脱出はできない。

 この訓練を完了してから、今度は明かりを赤外線に変えて、マウスがどのように行動するのか観察した。

 すると、粒子を注入したマウスには三角がはっきり見えるため、毎回そちらへ向かって泳いだ。一方、注入していないマウスは光が見えていないか、形を区別できていないようだったとのこと。

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・ただし人体で利用するにはさらなる改善が必要

 現在、ハン氏らは、有機色素で作られたナノ粒子の研究を進めているらしく、

発表したUCNPは無機物だったので欠点もあった。生体適合性があるのかどうかはっきりしないし、人体で利用するには輝度を改善する必要もある

とのこと。

 ハン氏の研究チームは、引き続きさまざまなナノ粒子を試して、その中から効果的かつ安全性の高いものを見つけていく予定だそうだ。

 直近では、マウスの目に注入してから10日後も、目に見えるような副作用が出ないナノ粒子が見つかっているという。

References:Science dailyなど / written by hiroching / edited by usagi

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