氷河期と地球温暖化の関係

9月10日(火)20時30分 カラパイア

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Image by DiJay/iStock

 大都会の摩天楼が連なる風景を想像してみてほしい。次に、その下に3キロもの厚みの氷があるところを想像しよう。

 これが最後の氷河期の全盛期に広がっていた風景だ。

 地球の歴史的な視点から見れば、これは決して珍しい光景ではない。過去260万年(第四紀)において、地球は50回以上も氷河期とその合間に訪れる温暖な間氷期を経験しているのだ。

 だが、このように定期的に氷河期が訪れるのはなぜなのだろうか?

 そこにはいくつもの要因が絡んでおり、研究者は今もなおそのメカニズムの究明に努めている。そして特に昨今では、地球温暖化が、このサイクルを完全に断ち切ってしまったのかどうかに注目が集まっている。
・場違いな岩石が示す氷河の痕跡

 過去に氷に閉ざされた時代があったことが知られ始めたのは、ほんの数世紀前のことだ。
 
 19世紀半ば、地質学者のルイ・アガシーは、場違いなところにある岩やがれきが堆積した地形(モレーン)など、氷河が残した痕跡を記録。こうした調査に基づいて、古代の氷河がそれらを遠くから運んできたのではと考えた。

 そして19世紀末までには、科学者たちは更新世(260万年〜1万1700年前)に訪れていた4度の氷河期に気づくようになる。さらにそれから数十年後には、こうした氷河期は想像以上に定期的に繰り返しているのだということを理解しはじめた。

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Image by Roberto/iStock

・ミランコビッチ・サイクル

 その解明の大きな契機となったのは1940年代のこと。地球物理学者ミルティン・ミランコビッチが、「ミランコビッチ・サイクル」を明らかにしたことがきっかけとなった。

 それによると、気候が周期的に変動するのは、「公転の離心率」「自転軸の傾き」「自転軸の歳差運動」によって、地球に届く太陽放射(つまり熱)の量が変化することが原因である。

 まず地球の公転軌道は、太陽系の質量の4パーセントを占める木星の強力な重力の影響で、9万6000年の周期でほぼ円から楕円へと変化し、太陽との距離が変化する。 

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ミランコビッチ・サイクルによる地球の公転軌道。実際の離心率とは異なり、楕円であることを強調している
image credit:wikimedia commons public domain

 それから自転軸の傾きは、4万1000年周期で変化する。自転軸に傾きがあるということは、地球の一方は太陽に近く、一方は太陽から遠くなるということだ。

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現在の値は23.4度であるが、22.1度から24.5度の間を変化する。周期は4万1000年
image credit:wikimedia commons public domain

 これが夏と冬を作り出しているのだが、自転軸の傾きの変動はそれぞれの季節をより極端に変化させる。たとえば、傾きが垂直に近づけば、それだけ夏も冬も穏やかになるだろう。

 最後の歳差運動は、回転するコマのてっぺんが円を描くように動いている様子を想像してもらえばいい。そして、これにはおよそ2万年の周期がある。


・温室効果ガスが氷河期の到来を最長10万年抑制?

 ミランコビッチは、冷夏を作り出す軌道条件は氷河期の前兆として特に重要であることに気がついた。冬に氷が張るのは当たり前のことだが、氷河期が到来するには、その氷が夏でも解けないまま残っている必要がある。

 じつは氷河期に突入するには、軌道の変動だけでは十分ではない。氷河期を実際に到来させるものは、気候系の本質的なフィードバックというプラスアルファである。

 氷河の形成と融解に影響する環境要因については現在も究明が続けられているが、最近の研究によると、大気に含まれる温室効果ガスが重要な役割を担っているという。

 たとえば、ポツダム気候影響研究所の研究者は、過去に到来した氷河期は、主に二酸化炭素の減少が引き金になっていたことを証明した。

 そして、今起きている二酸化炭素の急増は、次の氷河期の到来を最長10万年は抑制する可能性があると論じている。

References:Why Do Ice Ages Happen? | Live Science/ written by hiroching / edited by parumo

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