総額1344億円、氷河期世代の正社員化を促す政策に識者苦言 「数字で成果を競わせると絶対に補助金詐欺のようなものが出る」

9月12日(木)20時28分 キャリコネニュース

数字ばかり求める支援に効果はあるのか

作家の江上剛氏が9月11日、「モーニングcross」(TOKYO MX)で「氷河期世代の正社員化政策」に物申すとして、数字の成果だけを求める政策に苦言を呈した。

政府は8月末、30〜40代の「就職氷河期世代」の就労支援策として、2020年度予算の概算要求に総額1344億円を計上した。この世代の正規雇用者を、今後3年間で30万人増やす目標を掲げている。しかし、支援の柱は研修業者に成功報酬型の助成金を出すといった内容で、ネット上では効果を疑問視する声も上がっている。江上氏が問題として指摘したのも、まさにその点だった。(文:okei)

「引きこもりの人を連れ出して正社員にすれば40万円入る」と指摘

江上氏は、自身が引きこもり支援のNPO活動をしていることもあり、氷河期世代の就労問題を、中高年の引きこもりおよそ61万人といった問題と関連付けて語った。

江上氏が問題とするのは、支援の方法が民間の教育機関に対する報奨金制度になっている点だ。民間業者が非正規雇用の人に半年程度の訓練や職業実習をすると、経費として最大20万円が支給される。受講者が研修から8か月以内に職に就き、正規雇用で半年間就労できれば、追加で最大40万円を支給するという。

江上氏は、これが「悪徳業者や補助金詐欺」が増える要因だと警鐘を鳴らす。NPOを騙りながら引きこもりの人を無理やり部屋から出して、家族に何百万円と負担させる悪徳業者も多いと説明し、

「単に数字で成果を競うと、絶対に補助金詐欺のようなものが出る」
「勝手に会社を作って、引きこもりの人を連れてきて自社の正社員にすれば40万円入ってくる」

と指摘した。精神科医の斎藤環氏も以前、こうした業者の行為は、金銭的な被害だけでなく家族との関係もこじらせ問題がさらに深刻になっていくとツイッターなどで批判していた。支援のつもりが逆効果では本末転倒だ。

江上氏は、正社員化政策は何もしないよりはいいが、 単にお金をつけて数字で形を整えるようなことでなく、実際に支援に携わっている関係者とよく相談しながら、実態に沿うものにして欲しいと要望。

「就職よりもまず、その人たちが自己肯定して"仕事をする喜び"を得られるような、そういう政策をやってもらいたい」

と語った。結局それが、救済や社会参加に繋がっていくということだろう。

「今までの政策の失敗を、この小さな金額でなんとかなるとでも?」と厳しい声も

公認会計士の森井じゅん氏も、「名ばかり正社員を増やすことが正解なのか」と疑問を呈し、補助金が補助金ビジネスの温床になっていると指摘。さらに、

「1344億円というのも正直、私すごく小っちゃいと思っていて。一人当たりいくらよ?って話ですよね。今までの政策の失敗をこの小さな金額でなんとかなるとでも思っているのでしょうかと」

と、厳しい一言を付け加えた。

1344億円は、厚生労働省など8府省の関連施策をまとめた額だ。就職氷河期世代に限った施策分は計129億円で、残る1215億円は同世代以外を対象とした支援策の予算となっている。ツイッターではこの報道に対し、「大した効果も上げられずに1344億無駄にする結果しか見えない」、企業にやるより「直接バラまけ」といった声が上がっていた。


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