海の幸「おいしい理由」は地層から? 鳥羽の男性寄稿が反響 古代「御食国」に共通点

9月12日(木)12時30分 毎日新聞

ユニークな考察が掲載された「郷土史考 第九集」を手にする椎木真夏さん=2019年8月、林一茂撮影

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 御食国(みけつくに)の豊かな海産物は地質に由来する? かつて御食国として都に貢いでいた三重県鳥羽市の海産物の「おいしい理由」について、全国的な地質分布との関連についてまとめたユニークな考察が「郷土史考 鳥羽・第九集」(鳥羽郷土史会)に掲載され、話題になっている。御食国だった地域は特定の地層が海に面しているという内容。執筆者は「偶然なのか必然なのか、科学的に解明する意義は大いにある」と主張している。


 注目を集めているのは、同会会員の鳥羽市安楽島町の団体臨時職員、椎木真夏(まなつ)さん(41)が寄稿した「鳥羽市内の地質調査活動から得た一考察——鳥羽の海産物は本当に特別なのか?」。御食国と呼ばれた志摩国や若狭国(福井県)、淡路国(兵庫県の淡路島)は、いずれも鉄やマグネシウムを含むかんらん岩や蛇紋岩の地質が海に面した地域かその近隣地であるという共通点を指摘した。


 きっかけは、昨年10月に開かれた地質調査に関する講演会だった。椎木さんは「市内の地質がマグネシウムや鉄を多く含むかんらん岩や蛇紋岩で構成されていると知った。ひょっとして鳥羽の豊かな海産物は、こうした地質と関係しているのでは」と考えたという。


 早速、「日本シームレス地質図」(産総研編)を元に、火成岩(深成岩)の一種のかんらん岩と、かんらん岩などが水と反応してできた蛇紋岩が海に面する地域を調べた。大和朝廷の力が及ばなかった北海道の2カ所を除き、鳥羽市(志摩国沿岸)▽福井県おおい町(若狭湾)▽京都府舞鶴市(同)▽和歌山県海南市など(淡路島南近海)▽愛媛県八幡浜市——の5カ所と判明。うち4カ所の海は志摩国、若狭国、淡路国の海と重なることが分かった。


 御食国は、律令制の租、庸、調の税とは別に、皇室や朝廷にアワビなどの魚介類や塩などの海産物を貢いでいた。椎木さんは「海産物のおいしさと地質との関連を科学的に示すことができれば、『海産物がおいしい観光地・鳥羽』という漠然としたイメージを観光資源として再アピールできるのではないか」と話す。


 こうした考察について海藻に詳しい鳥羽市水産研究所の岩尾豊紀博士は「実際に検証することは大変むずかしいが、想像力をかきたてる面白い視点だ」と評価している。【林一茂】

毎日新聞

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