最も勢いのある精子を5分で捕えることができるデバイスが開発される。体外受精の成功率向上を期待(米研究)

9月13日(木)9時0分 カラパイア

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 億単位の参加者が一斉にスタート。ライバルを蹴落とし、その中から、最もスピードが速く勢いのある精子のみが卵子と受精することができる。

 自然な状態で妊娠できない場合、今や体外受精という選択肢がある。世界では年間1万人以上の赤ちゃんが体外受精を通じて誕生している。

 体外受精の場合、一番効率の良い方法は、最強の精子を使うことだ。

 アメリカ・コーネル大学の研究チームによって、そんな最強の精子を捕まえるトラップが考案された。

 これは繰り返し行わねばならない体外受精プロセスの負担を軽くし、そこにかかる費用も大きく削減する可能性を秘めている。

・体外受精の成功率

 体外受精を行うには、受精が成功するまで繰り返しそのプロセスを行わねばならない。それにはいくつものやり方がある。

 たとえば、顕微受精という精子1匹を卵子に注射する方法や、コンベンショナル体外受精という卵子に濃度を調整した精子をかける方法だ。

 15年前、その成功率は20パーセント程度だったが、今では30パーセントにまで改善している。だが成功率は若い夫婦の方が高く、年齢を重ねた夫婦ほど低下する傾向にある。

 特に関連するのは女性の年齢だ。しかし受精するかどうかには精子の数と質も関係するために、男性の年齢も重要である。

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・最も勢いがあり強い精子のみを5分で選別

 精子の運動能力を見定め、強い精子を選んで使おうという試みは以前より行われてきた。

 だが、それは非常に手間のかかる作業で、そこから精子を選り分ける作業を含めれば数時間は必要だった。

 研究チームが開発したトラップは、強さの推定から選別までほんの5分程度で行うことができる。

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image credit:Meisam Zaferani/Cornell


 じつは強く運動能力の高い精子には上流に遡ろうとする習性が備わっている。
 一方で、弱い精子の場合は流れに逆らわず、そのまま一緒に流されて行く。

 そこで人工的にマイクロ流体を作り、そこに小さな保持壁と馬の蹄につける蹄鉄のような形の囲いを設置する。

 すると壁に近づいた強い精子は流れに逆らって泳ぎ、囲いの中に入るのに対して、弱いものは流されて行く。あとは囲いの中に残った精子を採取すればいい。


Rheotaxis-based separation of sperm with progressive motility using a microfluidic corral system

 この方法で受精の成功率がどのくらい改善されるのかや、体外受精の費用がどの程度削減されるのかはまだはっきりと分からない。

 だが少なくとも、この分野の専門家が試す機会が間もなく訪れることは間違いない。

 この論文は米国科学アカデミー紀要に掲載された。

References:news.cornell / medgadget/ written by hiroching / edited by parumo

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