成果を上げながら定時で帰る仕事術 第14回 会議は始まる前に半分終わっている

9月13日(金)7時30分 マイナビニュース

本連載の第13回では「いつもの会議が実はムダの温床かもしれない」と題し、会議に潜む多くのムダについてお伝えしました。今回は前回に続き「会議」に着目し、成功させるために準備段階にやっておくべきことをお伝えします。

○準備段階で会議を成功に導く

紀元前の中国の軍事戦略家が著した孫氏の兵法に「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む」という言葉が残されています。これは「勝つ兵というのは先に勝てる状況を作ってから戦う一方で、負ける兵というのは、まず戦ってから勝ちを求める」という意味です。この考え方は現代のビジネスにも当てはまるもので、「勝ち」を「成功」と捉えなおすことで会議にも応用できます。それは、準備段階で会議を成功に導く算段を練っておくということです。それでは、以下で詳しく見ていきましょう。
○狙いを定める

これまでに見てきた会議の多くは「以前からやっているから、とりあえず開催する」というもので、何のために開催するのか、何を達成したら成功なのかが全くわからない状態のまま開かれるものでした。このような会議では参加者がどこを目指してよいかわからず、互いに言いたいことを言い合うだけで、極めて生産性が低い会議になりかねません。

この状況をサッカーやバスケットボールに例えると、コートの両端にあるべきゴールが存在せず、両チームの選手がひたすらボールの奪い合いをしているようなものです。それだけでも選手は必死に動いて練習にはなるかもしれませんが、勝敗はつかず試合になりません。

これと同じことが会議にも当てはまります。例えば「顧客からのクレームへの対応を話し合う会議」であれば、目標を「クレームの内容を精査して原因を突き止める」とするのか、「対応方針を合意する」とするのか、「対応方針の実行計画を策定する」とするのかによって参加者の意気込みと話し方が変わってくるはずですし、会議のアプローチ(進め方)も同様に影響を受けるはずです。

なお狙いを定める際には「できればここまで達成したい」というストレッチ目標と「最低限、これだけは死守したい」という目標の2つを設定しておくことをお勧めします。会議には考え方が異なる人が複数参加するので、程度の差はあれ、不確実性を伴うものです。そのため、初っ端から議論が紛糾するようならば、予め設定しておいた「最低防衛ライン」を死守できるようにファシリテーションし、議論が円滑に進みそうならストレッチ目標の達成を全員で目指すようにするのです。
○アプローチを決める

狙いが決まったら、今度はアプローチ(進め方)です。アプローチを考えずに会議に臨むというのは「どこかに移動する際、行き先は決まっているが行き方がわかっていない」状態に等しく、議論がなかなか前進せずに彷徨ってしまうことになりかねません。

なお、先ほどのサッカーやバスケットボールの例でいえば、狙うべきゴールがわかっているからといってもゴールを決められるとは限らない、ということです。敵チームは当然ゴールを阻止しようとするので、それをメンバー間でのパスの連携やドリブルでどうかわして誰がシュートを打つのか、など考えなければなりません。会議も同様に、ゴールに至る作戦を練るのです。

アプローチを考える際には「何をどういう順番で話すか」と「どのような形式で話すか」の2点について考えましょう。

前者については、会議の最終的な目標を達成するためには先に何について合意しておかなければならないか、などの小目標を設定し、それを議題として定義します。例えば会議の狙いが「経営陣に自部門の来年度予算案を承認してもらうこと」であれば、予算案の背景などを説明した上で予算案の各項目についての金額と、その妥当性について説明して理解を得た上で、予算案総額の承認を得るというのがアプローチの1つとして考えられます。

後者については、会議で予算案の承認のような意思決定をするのか、それともこれまでにない斬新な商品のアイディアを出すのか、などの狙いに相応しい形式を選びましょう。厳格な意思決定のための会議ならば、司会者と提案者、決裁者がずらりと席に並んだ一般的な会議の形式でよいかもしれませんが、参加者の創造性を発揮して自由闊達な意見を多く出したいなら、ワークショップ形式や、場合によってはワールドカフェという形式を検討してもよいかもしれません。いずれにせよ大事なことは、狙いに応じて適切な形式を選択することです。
○シミュレーションする

会議の狙いとアプローチが決まっても、まだ安心できません。その会議が重要であればあるほど、そして不確実性が高いほど、入念にシミュレーションしておくことをお勧めします。シミュレーションせずに会議に臨んでしまうと、参加者の中に「何に対しても否定的な意見しか言わない人」や、「いつもプレゼン内容について些末な指摘をする人」がいる場合や、部署間で揉めそうな議題を扱う場合などに、本番で右往左往して議事が滞ってしまいかねません。

逆に事前に入念なシミュレーションを行うことで、会議本番で失敗につながりかねない波乱要因が現れたときに、迅速かつ適切な対処ができます。先ほど同様サッカーやバスケットボールの例でいえば、波乱要因とは敵チームの戦術の柔軟な変化や自チームのエースへの過剰な負担によるパフォーマンスの急低下などです。試合のシミュレーションをしておくことで、このような波乱要因をある程度予測できれば、迅速かつ効果的に対処できるはずです。

これと同じことが会議にも当てはまります。同じ波乱要因でも、予め想定しているのといないのとでは、対処の仕方に雲泥の差があるということです。そしてシミュレーションする際は、特に「想定される会議の雰囲気」「参加者の性格」「議題の中での難所」の3つを意識するとよいでしょう。

最初の「想定される会議の雰囲気」については、最初から会議自体に対して否定的な雰囲気が想定されるようならば、本題に入る前に会議の意義について丁寧な説明を入れたり、アイスブレイク(緊張を解きほぐす手法)を入れたりして対処することが考えられます。

次の「参加者の性格」については、否定的な意見しか言わない参加者がいれば、最初に会議の趣旨について説明した上で建設的な意見を心がけるよう要請し、おとなしい参加者がいれば、こちらから発言を促したりするなどの対応を考えておきましょう。そして「議題の中での難所」については、会議の中で揉めそうな議題とやり取りを想定し、どう乗り切るかを予め考えておくのです。

このように、重要な会議では事前にシミュレーションをしておくことで、本番での失敗のパターンを想定し、十分に備えることができます。

今回は重要な会議を成功させるために準備段階でしておくべきことをお伝えしました。しっかりと会議の狙いを定め、アプローチを決めて、シミュレーションしておくことで、会議の成功確率は飛躍的に上がるはずです。ぜひご自身の会議準備でも実行していただければ幸いです。また、次回は会議本番でうまく乗り切るコツをお伝えする予定ですので、こちらもぜひご一読ください。

○筆者プロフィール: 相原秀哉(あいはら ひでや)
株式会社ビジネスウォリアーズ代表取締役
慶應義塾大学大学院修了後、IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)入社。グローバルスタンダードの業務改革手法、Lean Six Sigmaを活用したコンサルティングを得意とし、2012年に日本IBMで初めて同手法の伝道師 "Lean Master"に 認定される。その後、幅広い組織や個人の生産性向上に寄与するべく独立。生産性向上による働き方改革コンサルティングや、コンサルティングスキルを実践形式で学べるビジネスブートキャンプを手掛ける。

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