世界が認めるサントリー「甲州」ワインの挑戦! 登美の丘ワイナリーを訪れ、その実態を探った

2024年9月13日(金)10時49分 食楽web


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 一度は訪れてみたい! そう思っていた日本ワインを牽引し続けるワイナリー、とうとうやってきました。

 ここは心地よい日があたり、風が抜け、雄大な富士山と甲府盆地を一望できる「サントリー登美の丘ワイナリー」(山梨県甲斐市)。このロケーションのもと、日本ワインの歴史が刻まれてきました。

 訪れた日は台風が近づき、曇天でポツポツと雨が降っていましたが、眺望台から見渡せる約150ヘクタールに及ぶテロワールは息を呑む壮大な美しさ、ワクワクしないわけがありません。


晴天時の眺望台からの見晴らし

 今回のツアーに参加した理由の一つは2024年6月、世界最大のワインコンペティション「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード(DWWA ) 2024」で、同地で誕生した一本のワインが最高賞(世界の50本)を受賞したから。その快挙を成し遂げたのは、「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」。このワインがどのように育まれたのか、気になりますよね。

「ワインをより知っていただくにはワイナリーに実際に来て、この土地の空気を吸って、肌で感じていただくのが一番です」。そう語るのは今回の案内役であり、登美の丘ワイナリーの栽培技師長・大山弘平さん。


サントリー(株)ワイン生産部 登美の丘ワイナリー 栽培技師長の大山弘平さん

 ワイナリーから熟成庫めぐり、試飲会を通して、「甲州」ワインの魅力にどっぷりと浸かることができました。では早速、甲州が育まれるワイナリーへ出掛けてみましょう。

日本ワインの歴史を更新し続ける「登美の丘ワイナリー」

 日本のワイン市場はここ10年で急成長を遂げ、国内のワイナリー数は500軒にまで達し、国際コンクールの受賞数も年々増加。日本ワインは今、世界に注目される存在となっています。

 そんな日本ワインの発祥の地が、山梨県甲府盆地。ワインづくりに最適な環境で、常に新しい日本ワインを生み出し続けているのが、115年以上の歴史を誇る「サントリー登美の丘ワイナリー」なのです。

「山や谷のアップダウンがあって、細かく分かれた50区画それぞれに特徴があります。それを一つひとつ、大事にするのがサントリーのワインづくりのモットー。品種を細かく分けてつくることで個性が立ち、味わいの輪郭となる。ワインを飲んだときに、その景色が心に浮かぶようなワインを目指しています」(大山さん)

 先人たちがトライ&エラーを繰り返してきたことで、どこにどの品種を植えたらいいのかがわかってきた。それに続くつくり手たちが、更なるおいしいワイン作りに努力する。こうした積み重ねがサントリーの甲州ワインをアップグレードされていくのでしょう。

世界の「甲州」ワインを目指して


甲州の棚仕立ての様子(熟成期)

 甲州ワインは際立った柑橘香があり、クリーンな味わいが魅力です。日本ワインでイメーされるすっきりとした味わいは、日本料理をはじめ、世界中の料理ともよく合います。ただ、水っぽいと評されることもしばしば……。

 ではサントリーはどのように世界品質の「甲州」を育てているのでしょうか?

 まずは先述のとおり、目指すワインにぴったりの「畑」を選ぶこと。そこに適した品種を植え、完熟ぶどうだけを収穫すること。甲州は登美の丘の中でも水はけがよく、赤ワイン用として利用されていた2区画に植えています。


垣根仕立ての甲州(熟成期)

 甲州はメインが棚仕立てですが、もう1区画は垣根仕立てで栽培しています。これはとても珍しいこと。棚とは違う甲州の味がでてきて面白いと言います。

「お日様の力を味わいに変えるため、垣根式ではどんどん日を当てていきます。日をいっぱい当てると甲州は渋みが増して赤ワイン寄りになる。それを恐れず、エネルギッシュなぶどうを育てることで旨味が濃いワインが作れるのではないか」

 このように常に辿り着きたい答えを求めてぶどうを育て、2区画のぶどうをブレンドし、多層的な味わいの「登美 甲州」を作り上げていくーー。ぼんやりしていた「登美 甲州」の味わいが、徐々に輪郭を帯びてきました。

「垣根式で育った甲州は白ワインだけど渋さが出るので要注意。赤に近いブドウを作って優しく絞る。絞った最初の果汁だけが『登美 甲州』というトップレンジに使われています」(大山さん)

 多層的な香りと凝縮感のある、柔らかく気品に満ちた甲州ワインへ。この凝縮感のある味こそ、世界の白ワインと肩を並べる鍵だと言います。

約200樽が眠る、ワイン熟成庫へ

 このあとは地下にある石造りのワイン熟成庫へ。ワイナリーツアーには欠かせない熟成庫の見学は、まるでテーマパークのようでワクワク! 希少な貴腐ワイン、数十年前につくられたワインが眠る倉庫、壁一面に並ぶワインボトルたち、200ものワイン樽がゆっくりと熟成を重ねている様は圧巻の一言です。


ぶどうの特徴を生かしたワインに育つように熟成させながら、白ワインは翌年、デビューを果たす

 荘厳な雰囲気の中、ひんやりとした最適な環境で熟成が終わるのを待つワインたちに、夢を馳せないわけにはいきません。

 さてツアーの最後は試飲会。甲州の育つ様を見て、感じた後に味わうワインの楽しみと期待は格別!

最後はテイスティング! “このワインは点描画のよう ”と評された「登美 甲州 2022」とは


試飲会の様子

 今回の試飲会でいただいたのは「SUNTORY FROM FARM」ブランドの7種のワイン。そのうち甲州ワインは5種類も飲み比べできるという贅沢なひとときとなりました。

※今回の試飲会(テイスティング)はプレスツアーのため、通常のワイナリーツアーのテイスティング内容と異なります。


サントリー(株)ワイン本部 シニアスペシャリストの柳原 亮さんが今回のテイスティングパートの案内役。丁寧で楽しい説明に初心者から上級者まで大満足

 ワインの色を見てからグラスを回し、香りを試して口に含む。チーズなどのおつまみと一緒に楽しみながら、エントリーモデルから段階的に甲州ワインを味わうと、それぞれのワインの個性がくっきりとしてくるから不思議です。

 スタートは品種シリーズの「甲州 日本の白」。柑橘にフラワーの香りがたち、かなり軽やかですっきりと爽やか。

 甲州ワインの4杯目、登美の丘ワイナリーのぶどう100%で作られた「登美の丘 甲州 2022」(9月10日発売)を試飲すると、つくり込んだ複雑かつまろやかな味わいをはっきりと感じることができました。

 そしていよいよ、サントリーの日本ワインのフラグシップ“登美 ”の名を冠する初の一本「登美 甲州 2022」。その際立った香り、味わいに「これは美味しい、味わい深い!」と思わず感嘆。甘くてボリュームのある香り、凝縮感のある多面的な味わいが広がり、ワイナリーの光景が目の奥に浮かび上がります。

 そして、先ほどのツアーで聞いた言葉が蘇りました。

「 ”The result is almost pointilliste ”(このワインは点描画のよう)」

 これはDWWAを受賞した時の審査員のコメントで、「何かの香りや味わいが突き抜けているような分かりやすいワインではなく、いろんな味わい成分が集合して溶け込んだ、球体みたいなワインを目指しています。それが少しでも伝わったと思うと嬉しいですね」と大山さんが語っていました。

「SUNTORY FROM FARM」のハブメッセージである「水と、土と、人と」。海外のテロワールでは土地が重視されますが、ツアーを通して感じたのは日本ワインは「人」も重要な要素だということ。世界に誇る日本のものづくりが、日本ワインの世界にも共通して評価される点なのだと、感じずにはいられません。

(取材・文◎編集部)

●DATA

サントリー 登美の丘ワイナリー

https://www.suntory.co.jp/factory/tominooka/

SUNTORY FROM FARM
https://www.suntory.co.jp/wine/nihon/

SUNTORY FROM FARMオンラインショップ
https://japan-wine.direct.suntory.co.jp/

※「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」は9月10日より全国にて数量限定で発売

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