【ガチ】我々は今を生きていない、80ミリ秒前を生きていることが判明! 実験「フラッシュラグ効果」が証明、過去を改変する認知作用とは?

9月17日(日)8時0分 tocana

イメージ画像は、「Thinkstock」より

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 我々は“今”を生きていない。我々が今と感じる今は、実際の現在から遅れているという驚きの事実が明らかになった。


■フラッシュラグ効果

 遅延は80ミリ秒(1000分の80秒)ほどで、「フラッシュラグ効果」と呼ばれる簡単な錯視実験で誰でも実感することができる。「フラッシュラグ効果」とは、“対象A”が左から右へ移動する過程で、ちょうど真ん中に達した時に中央にある“光点B”が光る、というもの。実際のところ、BはAが真上に来た瞬間に光るわけだが、刺激から知覚までの80ミリ秒の遅れにより、Aが真ん中より右の位置に来たときに、Bが光ったと誤認する、というのだ。僅か80ミリ秒とはいえ、意外と“ズレ”ていることに驚かれることだろう。

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 なぜこのような遅延が起こるのだろうか? 米スタンフォード大学の神経学者デイヴィッド・イーグルマン博士の説明を見てみよう。

「物体Xがあるとしましょう。それが動きながら光を発すると、その刺激は私の目の網膜を通って脳で処理されます。しかし、この時すでにXは光を発した位置から移動してしまっています。ですから、脳の視覚システムは物体が未来においてどう動くか予測し、当てる必要があるのです」(イーグルマン博士、米生物医学系研究所「Salk Institute」のニュースより引用)

 現在知覚していると感じるものは脳が過去の情報から未来を予測したものに過ぎないというわけである。このプロセスは我々の日常生活において常に脳内で行われており、たとえば、サッカーの試合におけるオフサイドの誤審もフラッシュラグ効果のせいであるとも言われているそうだ。


■過去を再構成する「ポストディクション」

 ただ、イーグルマン博士はこういった「予測(prediction)」に基づいた解釈が直観的に理解しやすいと認めるものの、2000年の論文では、フラッシュラグ効果においては「ポストディクション(postdiction、後測)」という認知作用も働いていると指摘している。予測は過去の情報から未来を推測することであるが、ポストディクションは未来の情報から過去を後付けで再構成する働きだという。

 このことを実証するため、イーグルマン博士は、フラッシュラグ効果の実験にわずかな変更を加えた。上述の実験では、対象Aは左から右へ直進するだけだったが、直進するはずのAの動きをちょうど中央で止めたり、逆向きに動くようにしたのだ。もし「予測」に基づいた解釈が正しいとすれば、たとえAの動きが光点Bの発光とともに動きを変えたところで、「脳はAが右向きに直進し続けるはず」だと予測するだろうというわけだ。

 だが被験者らは、Aが中央に止まった時、Bの発光はAが中央に来た時に起こり、Aが逆向きに動いた時は、Aが逆向きに動いてからBが発光したと認識したという。このことから、フラッシュラグ効果において、脳では予測だけではなく、ポストディクションも働いていることが明らかになったと言えるだろう。光点Bが発光してから、脳がその情報を処理するまでの80ミリ秒の間に、追加で入ってきた情報と一緒に統合され、知覚が遡及的に加工されたということだ。

 さて、我々が知覚する現実が、80ミリ秒遅れているのみならず、過去も改変されているとなれば、現実の現実と我々が知覚する現実の間に大きな乖離があるとしてもおかしくはないだろう。以前トカナでもご紹介した、英・サセックス大学の神経科学部教授であるアニル・セス氏が言うように「我々は常に幻覚を見ている」のだろうか……?
(編集部)


※イメージ画像は、「Thinkstock」より

tocana

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