来年の年賀切手に選ばれた「八橋人形」 存続の危機を乗り越え、いまや「制作が追いつかない」

2018年9月18日(火)6時0分 Jタウンネット

毎年、年賀状の話題が出始めると、「え! もうそんな時期?」と思ってしまう。それはさておき、2019(平成31)年用の年賀郵便切手のデザインが2018年8月30日に公開されたのだが、それを受けて急に人気に火がついた人形があるのをご存じだろうか。


その人形とは、82円の絵柄に選ばれた亥(いのしし)の土人形。日本郵便のサイト「ゆうびん.jp」によると、江戸時代中頃から秋田市に伝承されてきたもので「八橋(やばせ)人形」という。


今回選ばれたことで、どのような反響があったのか。Jタウンネット編集部は、八橋人形の制作を手掛けている「八橋人形伝承の会」にメールで問い合わせてみた。


危機を乗り越えてきた


ご回答いただいたのは梅津秀会長。そもそも、八橋人形とはどういうものか伺うと、江戸時代に京都の人形師が現在の秋田市に窯を開き、人形を焼いたのが始まりと伝えられているとのこと。


「八橋には天神様を祭る菅原神社や日吉(ひえ)八幡神社があり、男の子が生まれると天神参りをして天神人形を買い求め、女の子の節句には雛人形を飾る習わしがあったため、多い時には人形工房が10以上も軒を並べていたといいます」

200年以上続いてきた八橋人形は、2014年にただ1人の伝承者だった方が亡くなられ、存続の危機に見舞われたという。そこで2015年に有志が集まり「八橋人形伝承の会」を発足、八橋人形の保存や継承を続けてきたそうだ。


「制作工程は、型取り−乾燥−窯焼き−絵付けに分かれ、型に粘土を詰めて張り合わせ、抜き出した後、自然乾燥し約800度で素焼きし、彩色して完成します。現在、天神人形や花嫁、舞妓などのほか、えびす、大黒、招き猫などの縁起物など約80種を制作しています」

と梅津さん。


今回、干支シリーズのひとつが年賀郵便切手に選ばれた。感想を聞くと「八橋人形が全国の多くの人に知っていただくことはうれしい限り」だと答えた。


「秋田ではよく知られた八橋人形ですが、全国的にはそれほど知名度が高いとはいえません。年賀切手の発表以来、全国の郷土玩具館や民芸店、それに年賀切手に採用された人形を収集されている方などから注文が舞い込んでおり、制作が追いつかないほどです」

年賀郵便切手の発売開始は2018年11月1日から。全国の郵便局や郵便局のネットショップで販売される。


その前日、10月31日から5日間、ココラボラトリー(秋田市大町3-1-12)で「第4回新生八橋人形展」を開催予定。実物を間近に見られる機会だ。お近くの方は、足を運んでみては。

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