年金生活者の国民健康保険料はいくらになりますか? 夫婦で月20万円ほどの年金です
2024年9月23日(月)21時20分 All About
今回は、夫婦の年金収入が月20万円ほどの場合の「国民健康保険料」についてです。
Q:年金生活者の国民健康保険料はいくらになりますか? 夫婦で月20万円ほどの年金です
「65歳からもらえる年金は、夫13万円、妻6万8000円。国民健康保険料はいくらになりますか?」(匿名希望)A:新宿区に住む夫婦と仮定すると、1カ月あたりの目安の国民健康保険料は約1万1221円です
国民健康保険料は、住んでいる自治体や、その人の所得金額、世帯人数などで異なります。今回は、夫13万円、妻6万8000円の年金を受け取る相談者夫婦2人世帯が、仮に新宿区在住とした場合の国民健康保険料を計算したいと思います。新宿区の国民健康保険料は、【1】基礎賦課額(医療分)、【2】後期高齢者支援金等賦課額(支援金分)、【3】40〜64歳まで支払う介護納付金賦課額(介護分)があります。これら【1】【2】【3】それぞれに、均等割額と所得割額が設けられており、全てをあわせて国民健康保険料とされています。今回は、令和6年度の保険料率で試算してみます。
前年中の所得が一定の基準以下の世帯については、均等割額が減免(減額賦課)されますが、今回は、昨年まで働いて一定の給与収入があり、減免措置の対象には該当しない世帯とします。国民健康保険料の計算のもとになる金額として、前年中の総所得金額等から基礎控除額(43万円)と公的年金等控除額(110万円)のみを控除した金額を用います。
【所得額(雑所得)の計算】
国民健康保険料を算出するために、まずは相談者夫婦2人の所得額(雑所得)を計算します(年金収入のみ)。
●夫65歳:年金月額13万円×12カ月=156万円(公的年金等控除額(110万円)控除後の雑所得は46万円)
●妻65歳:年金月額6万8000円×12カ月=81万6000円(公的年金等控除額(110万円)控除後の雑所得は0円)
では、国民健康保険料の均等割額と所得割額をそれぞれ計算していきます。
【均等割額の計算式】
医療分:4万9100円×世帯の加入者数
支援金分:1万6500円×世帯の加入者数
介護分:該当せず
【相談者夫婦世帯の国民健康保険料の均等割額】
医療分:4万9100円×2人=9万8200円(a)
支援金分:1万6500円×2人=3万3000円(b)
合計(a)+(b)=13万1200円(ア)
【所得割額の計算式】
医療分:世帯の加入者全員の算定基礎額×8.69%
支援金分:世帯の加入者全員の算定基礎額×2.80%
介護分:該当せず
上記の計算式で使用する算定基礎額は、以下のように計算します。
夫:雑所得46万円−基礎控除額43万円=算定基礎額3万円
妻:雑所得は0円ですので、算定基礎額は0円
世帯の加入者全員の算定基礎額:3万円+0円=3万円
【相談者夫婦世帯の国民健康保険料の所得割額】
医療分3万円×8.69%=2607円(A)
支援金分3万円×2.80%=840円(B)
合計(A)+(B)=3447円(イ)
【年間の国民健康保険料:均等割額(ア)+所得割額(イ)】
13万1200円(ア)+3447円(イ)=13万4647円(1カ月あたり保険料は約1万1221円)
偶数月に支給される年金額からおよそ2カ月分ずつ引かれることになります。
以上は、あくまでも試算です。正確な保険料は、必ず住んでいる自治体に確認しましょう。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)