子どもを怖がらせ、村の中を走り回る……三ツ屋野町の秋祭りに出没する謎の存在「ニワカ」とは

9月23日(月)11時0分 文春オンライン

 日本三霊山に数えられる白山の麓(ふもと)の町・三ツ屋野の秋祭りに、ぼろをまとった異様な姿の「ニワカ」が出没するのをご存知だろうか。地元の人に畏れられ、親しまれる「ニワカ」や、「お盆よりも帰省する人が多い」という三ツ屋野町の秋祭りを取材した。




大の大人が「今でも怖い」と語る「ニワカ」


「ニワカ」について知ったのは、「文春オンライン」編集部が“出張編集部”として利用している「岩間山荘」の女将さんの一言がきっかけだった。週末、ご実家がある三ツ屋野町で秋祭りを案内してくださるというお話の後、女将さんがぽつりとこう漏らしたのだ。


「でも午前は行きたくないなあ……『ニワカ』が出るから」


「ニワカ」? 耳慣れない言葉に、編集部一同の頭の中には「?」が浮かんだ。


「赤いお面にボロボロの布をまとって、走り回ってるのがおるんですよ。何をするかわからないから、すごく怖いの」


 詳しく聞くと、三ツ屋野町には秋祭りを運営する若い衆の中から酔っ払った人を選び、衣装を着せて「ニワカ」に変身させる風習があるという。一旦「ニワカ」に変身してしまえば、中の人が誰かは秘密。この「ニワカ」が、子どもを怖がらせたり、家を回ったりするらしい。しかも、常時2〜3匹、町内を走り回っているという。


「大人になった今でも嫌だ」という女将さん。しかし、「ニワカ」は町の人を困らせるだけの存在ではないそうだ。


「『ニワカ』って神様の遣いなので、すごくありがたいものでもあるんです。触られたり、抱っこされた子どもはすくすく育つし、ニワカが来た家には幸せが訪れるといわれているんですよね。そうは言っても、やっぱり会いたくないんだけど……(苦笑)」


 町の人たちにアンビバレントな感情を抱かせる「ニワカ」。ぜひ朝からお邪魔させてください、とお願いした。


秋祭りの日の朝、すでに異様な雰囲気が


 秋祭りの日の当日。三ツ屋野町に到着すると、すでに異様な雰囲気が。




「ニワカ」は常に町内を移動していると聞いていたので、探さなければ取材できないかも……そう考えていたが、数分も経たないうちに「ニワカ」を発見!



ちびっ子にロックオン


 想像以上に独特の容姿で、大人でも恐ろしい。大人にとってこれだけ恐ろしかったら、子どもにはどれだけ恐ろしいだろう……そんなことを考えていたら、あっという間に「ニワカ」がちびっ子にロックオン。




 あれ、意外に大丈夫……?




 やっぱりダメだった(結局ちびっ子は泣いてしまった)! そうだよね、そりゃ怖いよね。


 そうこうしているうちに、2匹目が登場。




 取材していて分かってきたのは、「ニワカ」の怖さはその容貌だけではないこと。ぬめっと歩いていたかと思うと急に猛スピードで走り出したりするから、次の動きがまったく予測ができない。緩急の差が怖い。





 事前に聞いていた通り、町内のお家にもお邪魔する。




 三ツ屋野町のサイズ感は、端から端まで歩いて10分程度。そのうち子どもの泣き叫ぶ声で「ニワカ」が町のどのあたりにいるのか見当がつくようになってきた。


 事前に50世帯前後の町だと伺っていたが、人通りも、赤ちゃんの数も多い。帰省している人だけでなく、隣町から見学しにくる人も多いのだそうだ。



 最終的に編集部が目撃した「ニワカ」は5匹。太陽が真上に昇る頃、「ニワカ」たちは撤収していった。




(「文春オンライン」編集部)

文春オンライン

「祭り」をもっと詳しく

「祭り」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ